I WISH ・・・36 〜侵入、そして〜


はぁあああ!! “スラストスピア”」

 ガシャン!!

ザックスの放った槍が、確実に魔道兵器の中心をぶち抜いた。

 ガガガ・・・ボン!

軽い爆発音をのこして、そのものは吹き飛んだ。

「ふぅ・・・きりがないな・・・」

「陛下! あぶねぇ!」

 ドゴッ!!

ザックスの後ろから飛び出てきた修道士が、
ザックスを狙っていた魔道兵器を蹴撃でふきとばした。

「・・・礼を言おう、お前もいい腕をしている。」

「・・・ヘヘ、俺にしてみりゃ、国王さまがそんなに強いってほうがおどろきだ」

「フ、我が祖父は己の武力でこの国を創設した、俺にもその血がながれている。」

「じゃんじゃんいきましょう、国王様よ!」

バシッ、ガクッ!

金属が破裂する音がこだまする。


 ─ピィィィィ

突然空気が張り詰める。

何か巨大な力が蠢いているような・・・

「陛下、こりゃあ・・・」

 ふ、マイトがいってたあれか・・・ 想像以上だな。

「うちの魔術師が作った兵器だ、城をうちおとすぞ・・・!」


 ビビビビビビビビ!!

ルアス城の砲身より、凄まじい魔力のこもったレーザー砲がはなたれる!

それはミルレス城の風と雷が渦巻く魔法障壁と衝突する。

 ズガガガガ!!

天を切り裂くほど爆音をとどろかせ、二つの力は拮抗する。

が! 

 バリィン!!

ガラスの砕け散るような音を出し、ミルレス城の魔法障壁が崩れた。

極太のレーザーがミルレス城を貫く!

 ドガアアアア!!

ミルレス城の底辺が爆発し、ものすごい音をだす。

そのまま、浮力を失った城は地面に墜落していき、
魔道兵器を巻き添えにしながら地面へと落ちた。

「今だ! いくぞ!」

その様子を見ていたレヴン一行は城の墜落地点へと走り出した。

押し寄せてくる魔道兵器を散らしながら、
今では地面へついている、ミルレス城城門より中へ侵入した。



「・・・これは・・・すごいわね、どんな遺跡よりも・・・」
レイチェルが城内を見渡し、呆れながらつぶやいている。
床には、古代の魔法文字で何かがかかれ、
天井では魔力の炎が燃え、床を明るく照らしている。

まさに、全てのものに魔力がこめられている城。

メント文明時代の魔法力のすごさを物語っている。

「ねぇ・・・、どういくのかわかるの? レヴン」
やはり見慣れぬものにかこまれ、少し不安そうになりながらミレィがきく。

「あぁ、一度ここに忍び込んだことがある。
ガルフラントの王の間まではしっているさ。」

「!?忍び込んだって・・・」

「あ、そこは気にするなよ」
レヴンは声を出さず苦笑した。

 まえも、やつを殺すために忍び込んだのだが…

「愚かなる侵入者よ、そこまでだ・・・」

「!?」

虚空より声が響く。

スッと、彼らの目の前に黒いローブをきた姿が浮かび上がる。

「・・・雑魚に用はない、どけ」
彼らは各々の武器を構えた。

ところが・・・

「ハッ!」

いつの間にか各自の足元に魔方陣が形成されている。

ピカァアア!!

妖しい光を放ちながら魔方陣は6人を一人一人とりまいていく。

「ち・・・これは転移系の魔方陣。油断した・・・」

「きゃああ、みんな〜!」

一人一人、魔法陣が消えるとともにどこかへ飛ばされた。

残ったのはそのシルエットと、静寂のみ。

「・・・ガルフラント様もおつなことを・・・
我々も久しぶりに殺し合いを楽しませてもらいましょうか」

シュン!

その影も、自ら魔方陣につつまれきえていった。