I WISH ・・・35 〜幕開け〜 その日もいつもと変わらぬ朝のやさしい光と、 小鳥のさえずりがルアスの町をつつんでいた。 6人は、ルアスの開閉門前へ集まっている。 モンスターの暴走騒動以来、 夜はここは跳ね橋があげられ、渡れないようにされている。 「・・・いよいよだな、みんなじゅんびはいいか?」 流れる黒い長髪、背中に2本の大剣をつるした男、レヴンが全員に声をかける。 「もちろんだ、僕達で、今日終わらせよう、戦争を」 「うん! もちろんだよ〜、いこう!」 「・・・いきましょう」 今、開閉門の上がっていた橋が、ゆっくりと下ろされていく。 段々と視界が開けていき、はてしなくルアス平原がみえてくる・・・ が、次の瞬間、戦慄の光景が目に飛び込んでくる。 「!?」 視線の先にあったもの・・・ それは遠くで、地を埋め尽くさんばかりに向かってくる人型の魔道兵器のむれと・・・ 空に浮かぶ巨大な城の姿、そう、王都ミルレス城が宙に浮かんでいる!! それは漆黒の球体につつまれながら、ゆっくりとこちらへむかってくる! 「へ、陛下! 報告します、ミルレス城が飛んでこちらへきます!!」 「なっ!?」 ザックスは椅子からとびおり、辺りを一望できる窓へ向かった。 「ぉぉ・・・」 目の前に広がるのは、まさに絶望的な光景だった。 何万ともとれる、人の形をし、 等身大の大きさの、鉄でできた歩兵が、隊列を組んでやってくる。 そしてその上に・・・ とてつもない大きさの漆黒の球体のなかに、 たしかに浮かぶ城の姿・・・ それは、町に住む全ての人々にも、大きな衝撃と、恐怖を与えた。 人々は、王宮の庭へ避難していった。 町へ残ったのは、静寂と、闘える人間のみである。 門の前、そこに闘える人々が集結していた。 そう、今は町を守っていた騎士団ももうない、町を守るのは市民の手にゆだねられた。 「敵の数はどれくらいだ!?」 「俺達が、みたこともない敵に通用するのか・・・?」 「ごちゃごちゃ言うな、闘わなければ誰が町を守るんだ」 混乱と絶望、そして恐れが支配しているような空間。 そこに彼ら6人は立っていた。 「レヴン・・・、僕達はどうする? 町の人たちと一緒に、あの人型を倒しに行くか?」 さすがのスルトも不安そうな顔をしている。 「・・・・いや、俺達は城へ!中であれを操っている術士を倒す。」 「それはいいけど・・・レヴン、浮いてる城にどうやってはいるわけ?」 「それは心配ないわよ、レイチェル。マイトのあれがあるわ。」 魔法障壁をうちやぶるために作られた魔砲。 それで城を地へ撃墜する。 それがあの城、へ乗り込む唯一の方法だった。 「・・・俺達は、あれが落ちてから突撃する、あとはマイトを信じよう・・・」 「前をあけなさい!」 急にドタドタしだした開閉門前。 むりもない、いきなり近衛兵が槍をかまえて列を組んで歩いてくる。 その中央にいるのは・・・ 黄金の大槍をもち、全身を白銀に煌くフルアーマーを装備し、 頭上にはこの国の“王の証”クラウンを被った男があるいてくる。 「へ、陛下だ・・・」 一瞬で、辺りは沈黙に包まれ、その行進をみていた。 ザックスは門の一番前までやってくると、全員の目をみながら話し出した。 「おはよう、諸君。俺がこのアスク帝国の支配者、ザックスだ。 皆も知ってのとおりだが、敵が最後の攻撃をしかけてきた。 自らの城をとばし、何万もの兵器がこちらへむかってきている。 まさにこの国創立以来、最大の危機だ。」 ゴクッ、全員が息をのむ。 危険なことはわかっていた、 しかし改めて支配者の彼からその言葉を聞くと、さらに恐怖感がつのってくる。 「・・・すでに先日の戦いで、王宮騎士団は壊滅状態にある。 この国に軍隊はない・・・そこで諸君らに頼みがある。 この国、いや、人類最後の地を守るために、力を貸してもらいたい! 俺について来い、外へ出てあの攻め寄るものどもを滅するぞ!」 一国の王が自ら戦場へ出て未知の敵とたたかう・・・? 誰がそんなことするだろうか、もはや諦めているようなもの・・・ しかし、もう、その場の人間に、王だの平民だの、そのような位の違いはない。 ただ、己の大切なものを守るため、攻め寄る敵を砕く。 「お〜!!」 冒険者達は声を上げて叫んだ。 ただ、勝利を信じて・・・ 身分の違いをも超えて、みなの意思が一つ担った瞬間だった。 「よし、城門をあけろ!我らは外へ出て敵を迎え撃つ! 皆のも・・・ともに人類の明日をつかむぞ!」 「ぉ〜!!」 「陛下に続け!」 今、その軍団が門を飛び出て、敵の大群にぶつかっていく。 ギギギ・・・ 金属音を響かせながら、名もなき魔道兵器 それは無機質で、生命というよりはもはや機械に近い。 しかし的確に、迅速にてにもつ剣を振るう。 それを迎え撃ち、圧倒的な戦力差をかかえながらもひるまず突っ込んでいく冒険者。 人vs魔道兵器の戦いがあちこちではじまった。 「レヴン! はじまったよ・・・」 「あぁ・・・、マイト、魔砲の準備はどうなっている?」 「もうすこし、・・・」 ドドドドド!! 町へ突然の砲火がおそった。 敵の浮遊する城の城壁より、数多の砲身がつきでてきて、魔法弾をうちだしてくる! それは民家を直撃、全壊させ、城壁を抉り、城の塔をくずす、 闘う手段をもたない市民は、王宮の中で震えながら神に祈っていた。 ドドド、ドーン!! 砲撃の音が町にこだまする! 「マイト! まだうてないの!」 エオリーンの声が爆音にまけじと通称WIS、 魔法の力が込められた魔法石へと発せられる。 「・・・まだだ、もう少しで射程につく…たえるんだ!」 空中に浮かぶミルレス城、その王の間より、ガルフラントは地上の光景を見ていた。 「ふ・・・、現代人どもよ、無駄な抵抗だとしれ。 今日、お前達の歴史は幕を閉じる。 クククク・・・」 砲身からの攻撃が激しくなる もはや町の半分は吹っ飛んでいる。 町の外へ闘うものえも影響が出ているようだ。 レヴンたちは、大剣セルティアルによって張られた魔法障壁で魔弾をふせいでいた。 「もう! 町が・・・町がきえちゃうよ、マイトぉ!」 エイリーンの悲痛な叫びが響く。 「・・・よし、射程に入った、いくよ!」 彼は、そのルアス城に設置した砲身の中へはいった。 中には古代文字で、数多の魔方陣が書き記してある。 その中に、マイト、エリク、そしてスオミ魔術師団の生き残りがあつまっていた。 「では・・・、エリクさん、そしてみんな、魔法の暗唱をおねがいします」 「おう!」 狭い砲身のなかに、何十人分もの暗唱の声が響く、 その声は、砲身で拡散され、町全体へひろがっていく! 「いきますよ、“アブソリュート・クラッシャー!!”」 全員の魔力をあつめ、マイトが魔法をはなつ! 今、砲身の先端に強烈な魔力があつまり、 周囲へ青い光を放ちながらその球体が徐々に肥大していく! そして・・・ ビィィィィィィィ!! 砲身の先端より、凄まじい光をはなちながらレーザー砲が発射された。 それは真っ直ぐにミルレス城を包む、漆黒の魔法障壁へと突進していく! ぶちやぶれぇぇぇぇぇぇ!! マイトの声が砲身にひびきわたった。
補足 今回も滅茶苦茶なこと書いてしまったので補足(ぉ まず、城が空を飛ぶ もともと巨大な魔法障壁(バリア)につつまれていた城が、 バリアごと浮かび上がった、大きな球体が空に浮かんでいるようなイメージです。 魔道兵器 これはもはやロボットに近いかな〜^^; 金属でできた人型、それが魔力で操られている。 もとのイメージはターミ○ーターの骨組みだけのやつみたいなw ちなみにレーザーとか銃とか、グレネードランチャーとかはうちません。 人の皮も被っていませんとも!w 滅茶苦茶なところもありますが、おゆるしを〜
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