My Way 形見と安らぎ
「ん〜・・・・・・あぁ!?」
いつものように目を覚まし、背伸び
見慣れた宿の風景・・・・・・!?
「あぁ!?」
もう一度怒鳴ってあたりを見回す
「あ〜・・・・・・あ〜・・・・・・ぁ〜・・・・・・」
まだ少しおかしい脳内を整理しながら思い出す
そうだ・・・・・・ルアス城に泊まったんだ
昨日のこと
レイレンパパや、アリスさんに出会い
でっかいかぼちゃとネクロ、そして猫・・・・・・
全てが片付いたころは深夜に近く、パパさんのご好意で泊めさせてもらったんだっけ?
「お目覚めでしょうか?」
お付のメイドさんと思われる人に声をかけられる
「あ〜・・・・・・おきました〜」
「お風呂になさいますか?着替えでしょうか?」
4人もそろうメイドさん
「お風呂〜・・・・・・かなぁ」
ロクに考えれないような思考回路を必死に働かせる
「かしこまりました、どうぞこちらへ」
メイドさんに連れられ、部屋についているお風呂場へ
スポーンと服を脱がされ、宿の部屋ぐらいのお風呂に入れられる
「!?」
あたしがびっくりしてる間に、彼女たちはあたしの頭を洗い始める
「?!」
「痒いところはありませんか?」
「あ。ありません・・・・・・」
あ〜・・・・・・何かの本で読んだぞ
あれだ、あれ。
メイドさんが全てやってくれるってわけね
あ〜・・・・・・きもちい〜
花びらの浮かんだお風呂
お湯は薔薇の香り
お姫様って・・・・・・いいなぁ
ボーっとモノを考えてるうちに、身体も洗われる
薔薇の香りのするセッケンで、身体のすみからすみまで
ちょっと、恥ずかしいかも
「こちらへどうぞ」
脱衣所で身体を拭いてもらい、髪の毛を乾かす
極力丁寧に、出来る限り迅速に
メイドさんのお仕事はすごい・・・・・・!
下着をつけ、いつもの法衣ではなく・・・・・・ドレス!?
淡いピンク色、肩丸出し、腰まではキュっとスマートに、それから下はふんわりと・・・・・・
これぞお姫様のようなドレス
少し長い髪の毛を手馴れた手つきでまとめ、花飾りでとめる
「広間で殿下たちがお待ちです」
あたしが着替え終わり、鏡の前で自分を凝視していたとき
スーツを着た執事さんが迎えに来た
流石ルアス王宮・・・・・・タイミングがいい
不慣れな少し高いヒールの靴に戸惑いながら進む
昨日は夜だったから気づかなかったが、中の装飾は凄い
赤と、金で彩られた壁、豪華なシャンデリア
この中をどうどうと法衣じゃ歩けない・・・・・・かも。一応客人扱いだしなぁ
執事さんの後ろをおとなしくついていく
絢爛豪華な、大扉
「こちらです」
ニコリと笑い、扉を開ける
「みゆちゃん!可愛い!」
入ったとたん、ユエの声
長机の正面の席には真っ白いドレスをきて、金髪になっているユエ
右側には正装をしたパパさんと、見たこともないような騎士服を着たレイレン
左側には、タキシードを来た淕
あたしは小走りで、淕の隣に座った
「似合うなあ、毎度のことながらよく寝るなーお前は」
隣の淕に頭を叩かれて言う
「あう、そんなに寝てたぁ?」
「もう、昼だぞ?」
笑いながらレイレンが言う
「みゆちゃん可愛いー」
机から身を乗り出してまで言うユエ
「そう?ユエも可愛いよーっ!ってユエ金髪・・・・・・?」
色鮮やかに輝く、金色の髪の毛
「そうそう、目立つから染めてたんだよ」
顔の近くに落ちる髪の毛を手でもてあそぶ
「お母上譲りの金髪ですよ」
パパさんもご機嫌そうに言う
「お母様も、金髪だったね」
「見事な金髪でした」
しみじみ呟くパパさん
「で、ラガー・・・・・・。みんなを集めて何の用?」
パパさんを見てユエが言う
「これからのことについてです」
まじめな顔で言う
「ボク、まだ王座につく気なんてないからねー?」
嫌そーな顔をして呟く
「そう言われるのは覚悟済みですよ
あなたのお父上も若いころ私と旅に出てましたからね」
思い出を語るような、パパさん
「お父様が?」
「えぇ、その旅先でお母上と出会ったのです
王妃様は素晴らしい腕をもった盗賊でした」
え・・・・・・?
「えぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
あたしも、ユエも、叫ぶ
「ミュリエル姫が盗賊になったもの、やはり『血』なのかもしれません」
クスリと笑うパパさん
レイレンと淕は叫んだあたしとユエをみて笑っていた
「お母様も・・・・・・」
「有名な話ですよ
王室のマナーを学ぶのを面倒くさがって抜け出したり・・・・・・私はよく探しに出かけました」
トオイメをするパパさん
ぶふ
吹き出すユエ
「だから、私は止めません
いい社会勉強になると思いますし
お母上のような立派な盗賊になってください」
そういい、席を立つ
「?」
そのまま部屋を出る
「親父・・・・・・なんだ?」
怪訝そうな顔をするレイレン
「何かあったんじゃねーの?」
気楽な淕
「淕ぅ・・・・・・タキシードとか・・・・・・」
直視して、吹き出してしまう
「あ!?何だよ!」
「意外と似合うんだな〜って思ってさ」
あたしは笑いながら言う
「ボクも思った〜、馬子にも衣装って奴?」
ユエも笑って言う
「けなしてんのか?ほめてんのか?」
ちょっとキレそうな淕
コレも冗談だろうけど
「いや。どう考えても・・・・・・」
ぷっと吹き出すレイレン
「あぁ!?」
怒鳴る淕
やっぱり、幸せだなぁ
久々に、休んでるような気がする
ギギギギギ
扉が開く、鈍い音
「姫、これを」
凄い装飾の施された箱を差し出す
「何?」
パパさんは箱を開ける
「あ・・・・・・」
ユエは目を見開く
「お母上様のです、どうぞお使いくださいませ」
ドレスの袖をまくり、ダガーを手にする
「あう!」
両手で持つ
「お、重たい・・・・・・。まだ無理だなぁ」
苦笑しながら、箱へ戻す
「いつか、役に立つと思います」
ユエは箱ごと受け取る
「ありがとう」
「親父、俺も旅続けるから」
そっけなく言うレイレン
「当たり前だろう!お前以外に誰が姫を守るんだ!」
怒鳴るパパさん
「分かってるって、母さんを越える魔術師になるよ」
笑う、レイレン
「あぁ、帰ってくるときは姫も一緒だぞ
任せた」
パパさんはレイレンの頭を乱暴に撫でる
「任された」
くしゃくしゃになった髪を撫でつけながら笑って答える
ガタン
騒々しく扉が開く
「何だ!」
兵士がやってくる
「ディグバンカーの龍討伐部隊が壊滅の危機という知らせが入りました!」
あわただしく報告する
「・・・・・・師匠!」
ユエが立ち上がる
「行くか」
淕、レイレン、そしてあたしも立ち上がる
「ラガー、行ってくる
お世話になった人が居るから」
扉から出ようとしながら呟く
「わかりました、貴女が帰ってくるまでこの城は私が護り続けましょう」
返事を聞く前に、ユエもあたしたちも準備をするために広間から出た
少しの安らぎがあればいい
長いすれば、辛くなるだけだから
ユエの目に、涙がにじんでいた
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久々にお茶らけを書いたような気がします・・・・・・
最初はギャグだったのになぁ〜・・・・・・(トオイメ
シリアス路線爆進しますがよろしくお願いします♪