My Way 初めての混乱


「俺が寝てる間に・・・・・・」

Gキキの遺体を見て言うレイレン

レイレンがおきたのは、Gキキを倒して1時間後ぐらい

あたしとユエが寝ようか迷って、ごろごろしてたときだった


「あの騒ぎで起きろよ」

冷たいツッコミを入れる陸

「・・・・・・疲れてたんだよ」

頭をかきながら言うレイレン

「まぁまぁ」

毛布をたたんでいるワンが、2人を止める


「なぁなぁ」

そのあと思い出したように、ワンが呟いた

「ん?」

「荷物、宿屋のままじゃないか・・・・・・?」

「・・・・・・あ」

陸とレイレンが顔を見合わせ、あたしとユエはぽかぁんと口を空ける

「そーいやぁ・・・・・・、大半はまだ宿屋だなぁ」

レイレンは顔を引きつらせながら言う

「何で毛布とか持ってたの?」

不思議そうに言うあたし

荷物をみんな持ってきてるかと思ってたから・・・・・・


「宿舎から盗った」

サラリという陸

「え?」

「何時の間に・・・・・・」

苦笑しながら言うワン

あたしもびっくりした・・・・・・

「いや、なんとなく。野宿になりそうだったから」

「野生のカンか・・・・・・?」

言った陸の言葉に、笑いながら言うワン

「誰が野生児だよ!!」

「お前以外に誰が居るんだよ〜」

「あははっ」

あたしも、ユエも、つられて笑う


「で、誰が荷物取りに行くんだ?」

真顔に戻って陸は言う

「・・・・・・」

黙る、ワン

「あ、ボクが行こうか?」

「え?」

びっくりしてあたしは聞き返す

「だって、ボクが一番ルアスの土地を知ってるし、みゆちゃんと服交換したら分からないでしょ」

あたしの心配をよそに、平気そうな顔で言う

「いや、バレたらどうするんだよ・・・・・・」

心配を、顔に出しながら言うレイレン

「そのときは逃げるよ、逃げ切れる自信はある」

そういって、笑う

「だが・・・・・・」

「分かった、行ってこい」

引きとめようとするレイレンの言葉をさえぎり、陸が言う

「俺たちはお前を信じてるから、やり遂げて来い」

「うん、わかった」

陸の言葉に、満面の微笑みで答えるユエ

「みゆちゃん、服貸してね?」

「あ、うん」

ユエに引きつられ、3人から離れる

「サイズ合うかな?」

「大丈夫でしょ〜」

「あ」

何かを思い立ったように言うユエ

「へそ、出せる?」

「・・・・・・。頑張る」

へそを常に出しているユエと違って、あたしは初へそだしだ・・・・・・

こそこそ、3人に見えないように着替える


 ・・・・・・


「に、似合わない・・・・・・かな?」

「かわいいよ〜」

笑って言うユエも、可愛かった

「さ、みんなのトコに戻ろう」

あたしの手を引いて、3人の元へ戻る

うぅ、恥ずかしい・・・・・・


「・・・・・・」

黙る3人

「・・・・・・」

黙るあたし

「何か言ったらどーだよ、スケベ面浮かべてないで」

ニヤニヤ笑いながら言うユエ

「だっ、誰がスケベ面なんかっ・・・・・・!」

淕が怒り、立ち上がる

「鼻の下のばすのは違うのかなぁ?」

つかみかかる淕の手を、見事にかわして、笑うユエ

「よく似合うよ〜」

放心状態から抜けたワンが笑って言う

「恥ずかしい・・・・・・」

「すぐ慣れるよ〜」

淕と追いかけっこをしながら言うユエ

淕も足が早い方と思ったんだけど、ユエはもっと早い

「ユエも似合うよ」

穏やかに笑いながら、言うレイレン

「ボクはスタイルが良いから何でも似合うのさ〜」

歌うような口ぶりで、レイレンの元へ行き、ひざに座る

「?」

「久々だろ〜?昔に戻ったみたい」

レイレンのひざに座り、レイレンの髪をいじりながら言うレイレン

「だなぁ・・・・・・」

相槌を打つ、レイレンの声は優しい

ほほぅ・・・・・・



「まぁ、昔話は後で、さっさと荷物とって来るよ〜」

ピョンっと跳ねるように立ち上がり、ニッと笑うユエ

「おう〜、頼む」

走って疲れた淕は、あたしの隣で寝転がっていた

「みゆちゃん襲っちゃダメよ〜」

笑いながら走っていくユエ



「・・・・・・元気だなぁ」

後姿が見えなくなったぐらいで、つぶやいたのはワン

「・・・・・・だなぁ」

疲れたように言う、淕

「昔から、あんなのだったよ」

微笑んだままの、レイレン

「あ〜・・・・・・恥ずかしいなぁ」


あたしの1言で、3人はふきだした






「ユエ、大丈夫かなぁ・・・・・・」

あたしは心配だった

多分、あたしたちはルアスに近づけないだろう

今頃指名手配とかされてそうだし・・・・・・

「大丈夫だろ、本人が大丈夫って言ってんだし」

淕は軽く言う

「身は軽いし、つかまったとしても大丈夫そうじゃん」

「今朝の戦いぶりから見ても、弱くは無いだろうし・・・・・・俺たちは待つしかないさ」

ワンは優しい微笑を浮かべて言う

いつもの、笑み

これは相手を信頼してる証だ


「そーだね・・・・・・」

あたしも力を抜いて言う

待つしかない・・・・・・、信じるだけ・・・・・・


あたしやワン、淕は気を抜いてるのに、レイレンはまだ張り詰めたままだ


「心配なんだろーなぁ・・・・・・」

あたしは声をひそめ言う

「だろーなぁ・・・・・・」

苦笑して、言うワン

淕は1人、拳を振るっていたが・・・・・・

「腹へった――――――!!」

と、イキナリ叫ぶ

「だねー・・・・・・」

あたしはカバンの中身をあさろうと思い、カバンを探す・・・・・・が

「・・・・・・」

淕もワンも同じ事をしていたようで、一気に黙る


「ユエぇぇぇっ!早く帰ってこ――――――い!」

空しい淕の叫びが、ルアスの森に響いていた


ガサ、ガサガサッ

声に反応し、茂みが動く

「う?」

あたしはその方向を見る


ガサガサッ

出てきたのは・・・・・・

ペンギンとも、なんとも言えない動物だった

「可愛い〜〜っ!」

あたしは急いで駆け寄る

「おい!ちょっ!!危ねぇぞ!」

淕が言う前にあたしは、その動物を撫でていた

「可愛い〜」

顔がにやけてしまう

淕は少し不服そうに、近づいてくる


その瞬間


地面が揺れた

なんていうんだろう、視界が歪む

宙に浮いてるような感覚


気分悪い・・・・・・


「あぁ!だから言ったのに!!」

淕が2人、3人に見える


バヂバヂィ


視界のどこかで、雷が光る

「おい!どうした!?」

ワンの声、ワンが一杯居る


最初よりマトモになったが、まだ視界は歪んだままだった

気分悪いです・・・・・・



「おい!おい!!」

淕に揺さぶられる

歪みが・・・・・・酷く・・・・・・なる・・・・・・


と思った瞬間、ぱたりと止む

「え?」

あたしは淕の顔を見る

いつもどおり、淕の顔

少し、心配そうだけど・・・・・・


「混乱だろーなぁ・・・・・・」

苦笑するレイレン

「気持ち悪かった・・・・・・」

あたしは顔をしかめて言う

「だから近づくなって言ったんだよ・・・・・・」

「はい・・・・・・」

「ピンキオはな、逢えたら幸運なモンスターなんだ。その分危ないんだけどな」

ワンがあたしの手を引っ張り、言う

ワンの支えを受けながら、立ち上がる


「みんなーどーしたのー?」

ひょっこり戻ってきたユエが言う

「おかえり〜」

まだよろよろしながら歩み寄るあたし

「魅悠が、ピンキオに混乱させられた」

ニヤニヤしながら言う淕

「あはははっ!可愛いからってあんまり近づいちゃだめだよ〜?」

ユエはあたしを突っついて言う

「はい・・・・・・」

恥ずかしいなぁ・・・・・・

「ユエ!腹減った!荷物は!!」

「あぁ、荷物ってこれだろ?」

いくつかのカバンを、地面に置く

各自、自分のカバンをあさりだす

「変な光景だなぁ・・・・・・」

笑いながら言うユエ

「材料もあるし、飯にしよーぜぇ!」

「お〜!」

ルアスの森に、5人の声が響いていた



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昔、ピンキオに混乱させられたことを思い出しました・・・・・・