第八話〜珠の正体2〜
現在、ここより未編集。
「それは――」
神官は、突然話をさえぎった。
突然、周囲で音がした。
「それを――返せ――さもなくば――死んでもらう――」
だが、声の主の男は見えなかった。
「あらあら。やはり、この珠はアレに使うのでしょうか?」
神官は、空に向かって話しだした。
何かを知ってるような、そんな言い方だった。
「そこの――神官――それ以上――喋ると――お前も――殺す――」
声の主は、恐ろしい声でそう言った。
「あら、宣戦布告でしょうか?なら、受けてたちますよ?」
突然、周囲の空気が一変した。
「小癪な――八つ裂きにしてくれるわ――」
神官は、ミールのほうを見た。
それに気付いたミールは、木の陰に隠れると、神官をじっと見詰めていた。
「まずは、そのお姿を拝見させていただきます。」
そう言うと、神官は呪文を唱え始めた。
いくつもの閃光が神官の周り一帯を照らした。
「何!?――おのれ・・・・・・」
声の主の姿は、黒のローブを纏っていた。
体格と声からして、男だろう。
黒のローブの男は、神官に斬りかかった。
手には、大きな剣が――いや、大剣じゃなかった。
ナックルに大剣をつけたら、きっとああなるんだろう。
そんな、変わった形のナックルをしていた。
「その程度で私に挑みに来たのですか。」
いつもの透き通った声だったが、あきらかに怒りが混じってる声だった。
「ロックスキン・・・・・・プレイア・・・・・・」
神官が静かに唱える。
黒フードの男のナックルが折れた。
それと同時に、眩しい閃光の中で、黒フードの男は十字に刻まれていた。
「ぐ・・・まさか・・・・・・これほどの・・・・・・もの・・・・・・だったとは・・・・・・一旦・・・・・・退却だ・・・・・・」
声の主はそう言い残すと、姿が見えなくなった。
「神官よ・・・・・・お前の実力は見せてもらった・・・・・・なかなかのものだ・・・・・・
だが・・・・・・あのお方には勝てないだろう・・・・・・」
黒フードの男は、どこかへ行ってしまったらしい。
神官は、やれやれと言った感じだった。
「もうでてきても大丈夫ですよ。あの人の気配は遠のいています。」
いつも通りの透き通った、優しい声だった。
「あ・・・・・・あれは、なんだったのでしょうか・・・・・・
何か・・・・・・私、昔見たことがある気が・・・・・・」
怯えながらも、ミールは問いかけた。
「あの方はどなたか知りませんが・・・・・・
もしかしたら・・・・・・あれを復活させる気なんでしょうか?」
神官は深刻な顔をした。
「あれとは何ですか?」
怯えながらも、ミールは好奇心のために、訊きたくなった。
「サタン・・・・・・」
神官はそう言った。
「ま、まさか・・・・・・世界を崩壊させた、あの大悪魔ですか!?」
ミールは、驚きと恐怖で震えていた。
「昔、神や神官、賢者によって、やっと封じ込めた大悪魔です。」
神官は静かに答えた。
「その黒光りする珠は・・・・・・サタンの魂です。」
神官は、表情一つ変えずに言った。
「サ・・・サタンの魂!?」
ミールは驚きのあまり、珠を地面に落としてしまう。
「大丈夫です。よっぽどの神官や賢者じゃないと、魂を解放することはできません。」
神官は、落ち着かせるように語り始めた。
「あの人が何故、サタンを復活させようとしたかはわかりません。
ですが、それは阻止しなければなりませんね。」
「こ・・・・・・これは私が持ってていいのですか?」
ミールは、今にも泣きそうな顔だった。
「大丈夫です。あなた方なら必ずや阻止できるでしょう。」
だが、神官は相変わらず深刻な顔をしていた。
「当分は周りを注意してください。
いつ、先ほどのような者が襲ってくるかわかりませんからね。」
「は――はい!!」
ミールは、いそいでメルスの家に帰った。
そのころ、メルスは一人、生まれ故郷であるマサイを目指して歩いていた。
今回の編集候補その1
手には、大きな剣が――いや、大剣をつけたような、変わった形のしたナックルを装備していた。