第九話〜廃墟の故郷〜


そのころメルスは一人、生まれ故郷を目指して歩いていた。

「もうじきでマサイの村だな。ミールをほっといて来たが、大丈夫かな?」

心配しながらも、メルスは足を進めた。

「な・・・な・・・何で・・・・・・」

マサイに着くや否や、メルスは驚いた。

無理は無い。

かつて村だったその場所は、今は廃墟と化していた。

「なんでだよ!おぃ、誰がこんなことをしたんだよ!」

もう、ここには誰もいないのだろう。

メルスの叫び声は、虚しく響き渡っただけだった。

「誰だよ・・・・・・こんな事した奴は・・・・・・」

メルスは膝をついて泣き出した。


しばらくして――

すこし気持ちが落ち着いたメルスは、かつて村だった所をあちこち回り始めた。

勿論、何処にも人は居ない。


何時間も経った。

そろそろメルスは疲れてきたらしく、ミルレスに戻ることにした。

ゲートを使い、一瞬にして町についた。


日が暮れかけていた。

メルスはトボトボと家に帰っていった。

「ただいま。」

メルスが扉を開けた。

返事は返ってこなかった。

「ミールいるのか?お〜〜い。」

それでも、返事は返ってこなかった。

メルスは少し焦って部屋の中に入った。

部屋の中に入ると、既にミールはベットで寝ていた。

「なんだもう寝てたのか^^;」

メルスは安心して、寝ることにした。


「明日起きてから話そう・・・・・・ミール、どんな反応するかな。」

メルスは色々考え込んでしまい、あまり寝付けなかった。


そして、朝が来た。

メルスは起きると、ミールを見た。

今回は悪夢を見なかったらしく、ミールはまだ夢の中だった。

「今までうなされていたんだし、もうちょい寝かしとくか。」

メルスは、そっとミールを撫でた。

「それにしても、なぜマサイの村が破壊されていたのだろう。」

メルスはずっと考えていたが、答えはでてこなかった。


数時間後、ミールが目を覚ました。

まだ寝ぼけてるらしく、あたりを見渡していた。

「ここ何処〜?」

「おはよう。何ねぼけてるんだよ。」

笑いながら、メルスはそう言った。

「あぁ、ここはメルスの家ね。おはよう。」

やっとわかったらしく、ミールはゆっくりとそう答えた。

「ミール・・・・・・俺、昨日故郷に帰ってみたんだ。」

「どうだった?どうだった?綺麗なお花咲いてた?お祭りでもやってた?」

ミールは、わくわくして答えを待った。


「滅んでいた・・・・・・」

「え?」

つかの間の沈黙。

ミールは、メルスの意外な答えに驚きを隠せなかった。

「う・・・嘘ならもっと上手くつくものよ?メルス。」

ミールは、絶対ありえないと言いたいような表情だった。

「嘘じゃない。跡形も無く、廃墟になっていた。」

メルスは、悔しい気持ちを押し殺して話した。

「まさか・・・・・・サタンの手下が町を・・・・・・」

ミールは、ふとそう思った。

「サタン?おぃそんなまさか・・・・・・なんでいまどき手下がいるんだよ!?」

メルスは困惑していた。


「あれは、数千年前に神や神官や賢者によって封印されたはずなんだろ?なぜ・・・・・・」

メルスは、もう何が何だかわからない感じだった。

「メルス、私ね、昨日、サタンの手下らしき人に襲われたの。」

ミールは、恐る恐る話し始めた。

そして一通り、昨日の出来事をメルスに教えた。

メルスは、信じられないと言うような顔で、こちらをじっと見つめてきた。