第十一話〜襲撃〜


突然、神官の顔つきが変わった。

何か嫌な気配を、神官三人は感じ取った。

「あらあら、昨日やられたばかりだと言うのに、また来るとはすごい方ですね。」

相変わらずにこやかにミルレス神官は答えた。

「や・・・・・・やはり、あの珠狙いでしょうかね。」

怯えながら答えるスオミ神官。

「今、その珠はどこにある。」

ルアス神官が、怒ったような口調でミルレス神官に訊いた。


「珠ならミールって方がもってますわよ。」

ミルレス神官は、表情を変えずにそう言った。

「行くぞ。早く行かないと奪われてしまう。」

ルアス神官が二人にそう言うと、風を切る音を残して消え去った。

「ま、まってくださいよ〜。」

怯えながら、スオミ神官はルアス神官の後を追った。

「もぅ、ルアス神官は落ち着きが欠けてますね。」

あきれたようにそう言うと、ミルレス神官もその後を追った。


場所は変わって、メルスの家。

「さて、どうするかなぁ。」

メルスは困り果てていた。

「でも、私たちじゃこんなの出来ないよ・・・・・・神官に任せた方がいいのかもしれない。」

メルスに聞こえないくらい小さな声で、ミールはつぶやいた。



そのとき、二人はハッとした。

何かがいるのに気がついたからだ。

「おやおや・・・・・・今は・・・・・・お二人だけかい・・・・・・珠は・・・・・・もらっていく・・・・・・」

何処からとも無く、聞き覚えがある声が聴こえた。

「あ!昨日のサタンの手下!」

ミールは大声で叫んだ。

「何!?どこにいるんだ。姿が見えないぞ。」

メルスはキョロキョロと辺りを見渡した。

「ククク・・・・・・神官でしか・・・・・・破られた事が無い・・・・・・この術を・・・・・・破れるかな・・・・・・」

そう、あざ笑った。


「まさか、お前がマサイの村を壊滅させたのか!」

メルスは、サタンの手下に聞こえるように叫んだ。

「マサイ〜?・・・・・・たしか・・・・・・そんな村が・・・・・・あったな・・・・・・

元は・・・・・・あそこに・・・・・・サタン様の魂が・・・・・・あった・・・・・・」

声は話し始めた。

「だが・・・マサイの餓鬼が・・・・・・サタン様の魂を・・・・・・持ち去った・・・・・・だから・・・・・・滅ぼした・・・・・・」

そう言うと、サタンの手下はまたあざ笑った。

「貴様・・・・・・それが理由か?」

メルスは、全身に怒りが立ち込めるのがわかった。

「ククク・・・・・・小僧・・・・・・お前じゃ・・・・・・わしにすら・・・・・・勝てないじゃろう・・・・・・」

笑いながら、サタンの手下は言った。

「やってやろうじゃないか!出て来い!」

メルスは、すでに怒りで我を忘れている様だった。


「よかろう・・・・・・相手になってやる・・・・・・」

サタンの手下がそう言うや否や、周りが暗闇で包まれた。

ミールは困惑しながらも、辺りを見渡していた。

「な、なんだこれは。」

メルスは驚いた。

「邪魔が入らないようにする結界さ・・・・・・さぁ・・・・・・始めようか・・・・・・」

「く、くそ。姿が見えない!どこだ!どこにいる!」

メルスは辺りを見て攻撃をしたが、当たる事は無かった。

「どこを・・・・・・殴っている?・・・・・・体力の無駄だぞ・・・・・・」

あざ笑う声。

「一発で・・・・・・けりを・・・・・・つけてやる・・・・・・」

そう聞こえるや否や、呪文を唱える声が聞こえた。

「エネミーレイゾン・・・・・・」

「お、お前も修道士なのか!?」

メルスは驚いた。

避ける事が出来ずに、エネミーレイゾンはメルスにあたってしまった。


メルスは吹っ飛ばされ、壁に激突した。

「く、くそぉ・・・・・・」

壁にあたった衝撃から立ち直る事が出来ず、メルスは気絶した。

「さぁ・・・・・・お嬢ちゃん・・・・・・サタン様の魂を・・・・・・渡してもらおうか・・・・・・」





ミールは抵抗する間もなく、珠を奪われてしまった。

「サタン様・・・・・・もうじき・・・・・・復活ですぞ・・・・・・はっはっはっは」

サタンの手下は笑いだした。

「これで世界は崩壊だー!あっはっはっは・・・・・・」

「さぁて、その珠を返してもらいましょうか。」

何処からとも無く声がした。

「フ・・・・・・神官ドモか・・・・・・もう遅い・・・・・・サタン様の魂は我が手に!」

声の主は、闇と共に消えた。