Mana of Saga 参


レオンの悪い予感も外れ、あの日から一ヶ月があったある日だった…。

ヨハンは講座が終わると、いつも狩りに行っていた。

だが、その日はそのようにいかなかった。

「おい!そこの君!ちょっと!!」

低くてよく響く声だった

「ん?なんだ?」

そう言いながら振り返ってみると、そこには「盗賊」が立っていた…。

「ここのアカデミーに「シン・ニコルソン」という男がいるはずなんだが、知らないかね?」

ん? シン・ニコルソン? 聞いた事の無い名前だな…。

「私は知りませんが、先生方なら知っていると思うので教生控え所に行ってみては?」

適当なことを言って、立ち去ろうとしたときだった

「ありがとう。ヨハン・ヴァーミリオン君」

そう言って、盗賊は去っていった…。

盗賊が視界から消えて随分たった後で思った…。

「ん?なんで奴は俺の名前を知っているんだ?」

少しだけ立ち止まって悩んでみたが、出てきた答えは一つだった…。

「こんなことよりも狩りに行って金を稼がなきゃ」

自分への戒めの意味をこめた言葉を放って、ヨハンは走り出した

「おい!君!!ちょっと待ってくれ!!君!!ヨハン君!!」

そう叫びながら、さっきの盗賊が走ってきた。

よく見ると、シェリフ先生も一緒だ。

「なんでしょうか?」

「ヨハン君、君に頼みがある。私と素手で戦ってくれ…。」

世の中には変わり者がいるんだな…と久しぶりに感心した。

「私からも頼む、戦ってやってくれ」

先生にまで頼まれてしまった…。

頼まれてしまったものは断れない…。

「はい…わかりました…。いいですよ

 わかりましたが、その前に質問してもよろしいでしょうか?」

「なにかね?」

「シン・ニコルソンとはだれなのでしょうか?」

「ん?ヨハン、お前なら知っていると思ったのだが知らなかったのか

 シン・ニコルソンは5年ほど前の卒業生で魔術師なのに格闘術に長けた男だった」

それにしてもこの盗賊、何を考えているんだろうか?

見た目はいかにも盗賊といった感じの痩せた体で、腰にはナイフを下げている

何故こんな男が俺に「素手」で勝負を挑むんだろう?

そんな事を考えていたら、アリーナについていた。

「じゃあ早速始めようか」

言うと同時に、男はナイフを地面に置き、戦闘体制に入ったようだった。

「始め!!!!!!!!」

良く響く声で先生が合図をしたと同時に、男は間合いを詰めてきた

(間合いの詰め方が全然ダメだな…コイツは盾を持って戦うのが主らしいな)

(一撃一撃はしっかりと急所を狙ってきているが、ガードがまるでなっちゃいない)

(こいつ、本当に盗賊なんだろうか?殴ってもいいのだろうか?)

いくばくか無駄な事を考えたりもしたが、結論は一つしかなかった…。

(一撃でしとめる!)

相手が得意と思われる左足へのローキックを軽く受け流し、

水月のあたりをめがけて左拳を放った。

 バキ、ボキ、ズザザァァァ 

ありがちな音を立てて男は地面に臥してしまった…。

シェリフ先生が倒れた男に向かっていった。

「ヨハンじゃしかた有りませんが…それでも貴方は盗賊にむきません。

 あきらめてください…。」

「いや…まだ終わっちゃい・・な・いよ・…」

強がりを見せた直後に男の視界は真っ暗になり、次の瞬間にはベットの上だった…。


しばらくしたら、その男は去っていったが・・・一体だれだったのであろう?

先生に聞いても、答えはいつも一つだった…。


作者の逆毛です…。 今回は単にヨハンの格闘術の腕前を見せる為だけのお話でした…。 何か上手にまとめる事が出来ませんでした…。 やっぱり修行がたりません 山にこもってきます…。 マターリ聖さんレスありがとうございました。 これからもお互いに頑張っていきましょうね!