第8話


ミルレス町・・・昼過ぎ

「兄は、どこに?」と不安そうに聞く聖女に


「まぁまぁ、落ち着いて。君のお兄さんは、この町に住んでいるよ。」と言うと

「良かった・・・。やっと見つかるんですね・・・。」
と安心しきったのか、聖女は嬉しそうな表情で笑っている。

「そう言えば、聖女さん。」
「はい。」

「名前は?」
「あ・・・。私の名前は、ラファンと言います。」
「へぇ、いい名前だね^^」

「・・・私も気に入ってます。」
「そっか。…さて、それじゃあアイツの家にでも行きましょう」
と修は、歩き出した。ラファンも一緒に歩き出す・・・。


クーリエの家・・・昼下がり

過去の記憶を思い出そうと焦っているクーリエは、一睡もしていなかった。

眠いとは思わなかった。

頭の中は、思い出せない記憶がほとんどで、それが余計に悔しかった

「ドンドンドン!!」ドアを叩く音がした
今はそれすらも気が付かない。

「全く、寝てんのかよ。」ドアの前でムスッとしているのは一人の修。
「お昼寝でしょうか?」とトボケてるのは、聖女ラファン。

「アイツ、昼寝はしませんよ」
平然とそう言うと 修は、持ってたバッグから鍵を1つ取り出した。

「鍵?」きょとんとするラファンに修は
「ここの家の鍵です。かなり前に、アイツの鍵束から1個もらっときました」
と苦笑して、鍵を使った。


「ギィ・・・」と軋むような音と共にドアが開いた
昼下がりにも関わらず、部屋のなかは暗かった

「真っ暗・・・。」周りを見回して、ラファンが呟く。
「またか・・・。」呆れた表情で修は部屋の中を歩き回る

「ったく、また何か落ち込みやがったな?」
それだけごちると、部屋の周りのカーテンを全部引いていった

数分後、クーリエが見つかった
しかし、周りのことには何一つとして気が付いていなかった。


「あっちゃー、こりゃ重症だな^^;」修が苦笑した
「何とかしてください(^^;)」ラファンは、困った


「何とかっつーたって、いい方法がな・・・あった」と思いつくと
修はとっさに『イミットゲイザー』をクーリエに向け

「いい加減起きろ!」というのと同時に撃った!
「ドッ!」と鈍い音の後に

「う・・・。これはイミット・・・修・・・」
と何かを言い残して倒れた。

「わー!しっかりしてー!!」と慌ててラファンは、
クーリエの側まで寄るとリカバリを唱えた。

怪我は治ったものの、クーリエの意識は戻らなかった


無意識の中・・・クーリエは夢を見ていた

「いつかね。僕は、強いINT魔になるんだ。」
「あのねっ、あのね。僕はWIS魔になる!」

2人の幼い魔が夢を語っている。

そうだ…確かあの時にオレはWIS魔になるって言ったんだっけ。
ライズと狩りやって…アイツを助けなくちゃって思ったんだ。

懐かしい…。久しく忘れていた、こんな過去のこと。
いつの間に忘れちゃったんだろうか?

ふと空を見上げると、優しい光が降ってきて…。

「・・…」目を開けるとそこは、いつもの家の風景だった