第9話


「……」とボーッとしている頭で周りを見て、
ここが自分の家の中だと気がつくのに少々時間がかかった

「あ。おはようです」
「よぉ、やっと目を覚ましたな!」
と2人の声がする。

一人は聞き覚えがあるけど・・・?

ボーッとする頭のまま、起きるとやはり見知らぬ女性が一人いた。

「えっと、どなたですか?」とクーリエは訊いた

女性は手紙をスッと出して
「これを見れば分かりますわ」とだけ答えた


手紙の差出人は…意外なことに父さんだった。

余談だが、オレの父さんは戦士で、母さんは聖職者だったりする。

普段、手紙なんてあまり書かない父親なので
今差し出された手紙も、オレにしてみればかなり珍しかった。

『我が息子 クーリエへ』

『お前が魔術師として転職したことを聞いた時は、複雑だった』

(その割に戦士になれとは一言も言ってなかった気がするが?)

『あれから2年以上経ったが、元気にしていると思って話を進める』

『お前に手紙を渡した人は私たちの娘…つまりお前の妹だ』

「はぁ?!」思わず驚いた。
慌てて、妹と思しき人の顔を見た

・…目の色が同じだった(汗

そしてさらに驚いたのは、手紙の文章の・・・

『そうそう、吉報だ。3人目の子が出来そうなんだ。』

『オレは、その子に戦士になってもらう事にしようと思う』

・・・というトコだった。

(父さん、もはや言葉が出ないよ)
クーリエは呆れかえっていた

「んー?どれどれ。」と横から修がひょっこり現れた。

そして、クーリエの持ってた手紙をパッと掴み
コホンと咳払いすると朗読しだした

「『クーリエ。魔術師は、体力の上で厳しいぞ。

だが、魔力は大いなる力だ。今のお前がどれほどかは測れない』」

「『しかしオレは、お前にただ強くなれとは言う気はない。

時間をかけて自分が願うとおりの強さになれ。』・・・だとさ」


言葉が…なかった。

オレはライズの事を思い出そうとして必死になってたけれど
この父さんの手紙のように、時間をかけて待つことにした。


この決断がある時、オレにとんでもない事実をもたらすとは
この時のオレは気がつかなかった