第10話


頭の中で割り切る事ができた途端
気分が落ち着いてきた

「さっきはありがとう。」そんな言葉が出た
「いやー、オレの朗読力も捨てたもんじゃないね」
と修が一人ごちる

「君の朗読力にも感心したが、妹にはもっと感心したよ」
そう言い返した

「は?!」修が何で?!と言いかねない顔でオレを見た

「忘れてないからなぁ〜、さっきイミット撃ったのは。」
ちょっと逆襲。

そんな2人の様子が面白かったのか
「ぷっ・・・。」とラファンが噴きだしてる

なんとなく気分が軽くなってたせいか
オレも修もいつの間にか笑ってた

「あ、そう言えば。」思い出したようにラファンが切り出す
「?」と疑問に思ったオレと修の2人

「私の名前は、ラファンです」と自己紹介をしたラファン
「オレの名前は、クーリエです」とオレもつられて自己紹介。

しかし・・・修は何故か黙っていた

「あのぉ、修さん?」ラファンがすぐに気がついた
「何ですか?お嬢さん」修は、そう訊いた

「お名前は?」と切り返すラファンに、修はそっぽを向いた

「言わなかったら、りんご60個おごりだな」
とオレの2回目の逆襲。それに負けたのか

「オレの名前は、修ユアンだ。」とようやく修が答えた

「ほほぉー。」とオレとラファンの2人が同時に頷く
こういうトコはやっぱり兄妹だ。

それから延々と3人で話をしていたが、
夜になってきたので、修やん(←あだ名)は帰宅した

オレの家は部屋が2つあるので、ラファンに1部屋貸して
その日は、夜の更けるのと共に眠りについた

次の日、ラファンはミルにある自宅へと帰り
オレはまた一人になった


それから数日後・・・。

なんとなくのんびりしたくなってミルレスの森へと出かけた

ナイトモスの出るエリアでそこそこにまったりしていた時、
ふいに風を切って現れたのは、盗賊の・・・。
Lv1服の格好の女性だった。


「クーリエさんですか?」
穏やかに質問してくる盗賊の女性

「そうですが。」

穏やかに返事を返すものの・・・。
オレは目の前の女性から、緊迫したような空気を感じていた