第4話


「退屈だね。」

夕方のミルレスの町の中、何もする事がなかった吟遊詩人が一人ごちた。

「そうねぇ。じゃあ何か歌でも考えて歌ったら?」

と近くを通りかかった『何でも屋』のマリがそう投げかけた。

「では、即席で。」と言うと吟遊詩人は歌い出す。

〜神々の町の黄昏に 静かにたたずむ日の光 明日もきっと何かが待ってる〜♪

・・・と心地よさそうに歌う。

周りの人達もそれぞれに足を止めて歌に聞きいっていた。

が、一通り歌うよりも前に歌う声が止まった。

「?」と周りの人が不思議がる中で、
「あ。ゴメン、ここまでしか考えてなかった」と詩人は苦笑した。

「またいい歌が思いついたら、聞かせてくれよ」「いい歌でした。」
と一様に散り散りに人が散っていく。

詩人は、人がかなり減ってきたのを見計らって、一人の聖女の許へと歩いて行った。

当の聖女は、Lv21服にジャグルヘダーを被った格好でその顔は、どことなく寂しそうだった。

「お一人ですか?」と声をかけられて、聖職者の女性は詩人に気がついた。

「あ、こ…こんにちは」と少々動揺しながらも詩人に挨拶している。

「何かおありですか?」そう聞かれて少し黙った後、
「実は、兄を探しているんです。えと、職業は私とは違うんですが。」と聖女は話し出した。

兄が魔であること・スオミに住んでいたけれど、今はどこにいるのか分からないこと

「…そうですか。でも、今は見つからなくともいつか見つかる日が来ますよ。」と励ました。

「私もそう思いたいです。」と聖女は祈るような心境でミルレスの空を見上げた。