『神々のその後〜日、欠ける時〜』


マイソシア大陸、午前11:00.

「ねぇ、太陽が欠けてない?」ミルレスの町の広場で誰かが空を指差した。

つられるように空を見上げるのが数人。

そして、その数人が「ホントだ。欠けてく」と言い出した言葉で広場に居た人が

それぞれに空を見上げた。

そして、それと似たようなことがスオミ・ルアスの町でも起こった。

月がゆっくりと動いて、太陽の前を通り抜けようとしていた。

『日食』という現象によって・・・。


その頃、太陽の宮殿のサンルーフ。

(そうか。今日は、日食だったのか。どうりで力がみなぎる感覚がしたわけだ。)

サンルーフ内から外を眺めるエリアは、やっと違和感の原因が分かったようで

納得していた。

・・・とそこへ。


「あっ!エリア、ダメだよ部屋に戻ってないと><」と慌てるようにして

グレゴリがやってきた。 

「私なら大丈夫だ。それよりもグレゴリ、君の方が危険じゃないのか?(・・?」

日食だし。と言うエリアの目の前の状況を見るグレゴリ。

そこには大きな月が見えて…。


どくん…何かがおかしくなっていく。…気分が…。

「グレゴリ?(・・?」

この声は…そう、エリアの声で…。

「グレゴリ、グレゴリ?(・・;」

あ・・・なんか意識が・・・。

「煤i・・;あ、倒れた。おーい!起きてくれ!!(><」

なんか言ってる…けど、分からな・・・。


「グレゴリ、しっかりして!!(・・;」

いきなりのことにビックリしたエリアは、倒れたグレゴリを何とかしなくちゃ!と

必死に考えていた。

しかし慌てれば慌てるほど、いい案を思いつくはずもなく。

「…っ!困った(><;」と頭を抱えるエリア。


しかし、それでもとりあえず原因を探るためにエリアはグレゴリの様子を見た。

ソッと右手をグレゴリの額にのせるとジュワッとくるくらいの熱さだった。

「あつっ!><」と慌てて手を引っ込めたエリア。

けど、その時フッと記憶の中から思い出した。


『太陽の世界の者は、日食になるとまれに熱病にかかるんじゃ。

場合によっては、それで命を落とす者もたまに居る。

それを救えるのは、月の世界で生まれた者だけじゃ』

幼い頃に誰かから聞いた話。

でも、何となく聞いていた話をフッと思い出すと

エリアは一か八かで


「月の地に吹く、凍てつく風よ。我が右手を通してこの場に吹きぬけろ!」

と言うと、右手をグレゴリの額のあたりでかざした。

エリアの手からものすごく冷たい空気がゴオッ!と流れてくる。

しかし、グレゴリには全く効果がないのか

グレゴリの周りが凍ってきた・・・と思ったのも束の間。

すぐに蒸発してしまうのだった。

(日食が過ぎるまで持ちこたえないと!(><;))

エリアは必死に魔法を使う方に意識を集中した。


マイソシア大陸、午後11:05.

「すごいねぇー。」

「お日様、かくれていく。」

わぁー。と不思議そうな顔で日食を眺める人たち。

原因を知ってる人もそうでない人も自然の不思議な流れを眺めている。

そんな中、月は太陽の前を今もゆっくりと動いていた…。