『神々のその後〜日食の終わり〜』 マイソシア大陸、午後11:15. 日食が始まって、太陽と月が重なった。 空がわずかな間、真っ暗になる。 そして、再び太陽の光が地上にむかって徐々に差し込んでいこうとする瞬間。 空を見上げる人たちは、ただじっとその様子を眺めていた。 無言で・・・。 同じ頃、太陽の世界…サンルーフ内。 (くっ!あともう少しっ!!(><;)) 右手を固定する為に左手でおさえるようにして、意識を集中するエリア。 ふっと外の様子を見ると月がゆっくりと動き出していた。 (あの様子からして、最低でもあと5分。 それまでこの魔法を途切れさせないようにしないと(・・;)) エリアは自分に流れてくる月の魔力でなんとか持ちこたえていた。 マイソシア大陸、PM11:25. 月が太陽からかなり離れていこうとしていた。 あともうちょっとで、月が太陽と分離する。 今までずっと空の様子を見ていた人たちも またいつもと同じ日常に戻っていった。 太陽の世界…。 (やっと…日食が…終わった。(・・;)) 顔の周りが汗だくになっているエリア。 さっきまで感じていた違和感はなくなり、あとに残るものがあるとしたら… それは、月の魔力が空っぽになった自分。 (さて、グレゴリは大丈夫だったんだろうか?(・・?)) 再び右手でグレゴリの額に手をのせると さっきまでの熱は、なくなっていた。 (良かった。だが…。私の手のヤケドは、治るのが遅くなりそうだ。(・・;)) エリアは自分の右手を見た。 白く見える手がヤケドの影響で部分的に真っ赤になっていた。 (不幸中の幸いは、混血だったことかもしれないな(−−)) エリアは自分の手のヤケドがわずかに治っていくのを見ながら思った。 言い忘れたが、エリアは両親が太陽と月の人だったりする。 エリアの目が黒に黄色のタテ線がスッと入っているのは、混血故の特徴だった。 黒は太陽の人、黄色は月の人の目の特徴である。 その中間のエリアは、半々でそれぞれの力が使えるのだが…。 (しかし、それでもこの手ではグレゴリを引っ張っていくだけの力が足りない。 誰かを呼ばなくては…(・・;)) 立ち上がって、少しフラッとしたものの エリアは誰かを呼びにサンルーフ内を出て行った。 そのエリアが人を呼びに行こうと歩き出していたのとは反対に 一人の男がサンルーフの方へと向かって行った。 しかし、それに気が付く者はいなかった。 サンルーフに入った男は、まだ意識の戻っていないグレゴリを見るなり ニヤリと笑った。 (こいつを殺せば、王位は白紙に戻る。そうなったら…ククク。) どうやら王位継承問題の時に他の候補者を応援していた者のようだ。 (さらばだ、新たなる王よ!) 男の手でギラリと光る刃物が振り下ろされた。
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