第8話『ネクロケスタ』


ミルレス〜ルアス4エリア。

入ってすぐの高台には、コポトモが配置されていて

プレイヤーを見かけると爆弾を投げてくる。

その高台にネクロケスタが現れたのだ。

「…とりあえず、高台に上らなければいいんだ(・・」

何とか落ち着いたであろうルークがそう答えた。

「そう…そうよね(^^;」

わずかに苦笑はあれども、コウリアは少しだけ安心した。


ところが…

何も知らない者ほど怖いものはない。

「あ…。」とコウリアは、声を上げた。

ネクロのいる高台に一人の戦士が上がってきた。

気配に気が付いたネクロは、背後の挑戦者に向かって歩いて近付いてくる。

「危ないよぉ!」とコウリアは叫んだ!!

しかし、戦士は人の話を聞かない。

ネクロは、杖をグルグル回すと、そのまま杖で突いた。

ネクロの杖の口がバクッと開いて目の前の戦士に噛み付く。

「くっ!スラッシュ!!」と戦士は、スキルを繰り出したが

ネクロの執拗な攻撃に倒れた。

そして、戦士は、光になってフッ…と消えた。

どうやら帰還したらしい。


「ああ、やっぱり(--;」とコウリアは、落胆した。

「でも、まだネクロは高台から降りてないから、こっちに向かってくる確率は

かなり低い。」とルークは、冷静に判断をしていた。


ネクロはまだ高台のあたりでうろうろと歩き回っていた。

人があまり通らないこのエリアで、

コウリアとルークは、ネクロの動きに注意しながら狩りをしていた。

と、そんな時にリーノアが戻ってきた。


「ただいまー。って、アレなに?(・・?」

高台のネクロを発見し、リーノアが訊いた。

「ネクロケスタ…とか言う名前のモンスターだよ。でも、残念ながら手が出せない。」

とルークは、きっぱりと言った。

「手が出せない…か。アッシュも居れば少しは抵抗できそうなんだけれどね。」

とリーノアは、何かを考えている。

「オレが何か?(・・」と3人の背後にアッシュが現れた


「って、キャー!出たぁ!!」と驚くコウリアとリーノア。

「『噂をすれば影』とか言われん?」とルークに突っ込みいれられて

「うるへー(^^;」とアッシュは、苦笑した。


「あのネクロとかいう化け物、倒すんかい?」とアッシュは、質問した。

「つか、アッシュ。いつから居た(^^;」

とルークに再び突っ込まれ

「言葉で言えば、リーノアの『手が出せない…か。』のあたりから」

とアッシュは、悪びれもせずに答える。

「ともかく倒せるかどうか試すか。」とルークが呟いた。

「そうだね。」とコウリアも頷く。


1分後。高台の至近距離へと移動した4人はPTを組んで

高台を上がって行った。

新たに来たであろう来訪者に、ネクロは杖で容赦なく攻撃してきた。

アッシュとリーノアはそれを気にも止めず、スキルを使う。

HPが減ってもコウリアかルークが回復してくれると踏んでのコトだった。

アッシュとリーノアの攻撃でネクロは徐々にHPを減らしていった。

SP回復を交代で飲みながらスキルを使う。

…やっと半分ほどネクロのHPを削った。

しかし、落とし穴はこの先に待ち構えていた。


数分後…

「ヤバイ。」小さくリーノアが呟いた

「どした?」スキルを繰り出しながら、アッシュが聞いた。

「ステリクシャが切れた。」とリーノアは、アタックに切り替えて攻撃する。

今のネクロのタゲは、アッシュだった。

それ故、油断すると危ない。

(困った。ステリクシャを渡そうにもチャンスがない。)

攻撃の手を止めることは、死を意味する。

Lv20になってしまったせいか、さすがに死にたくはない。

(オレもあと少しでSPが切れる!)内心、焦っていた。


そして、それはやって来た。

(もうだめだ!)と思った時、

「スーパーリカバリ!」と4人の居る高台の階段辺りで声がした。

(え?)アッシュとリーノアは、驚いた。

SPが半分以上、回復している。

(これならいける!)

確信と共にコークスクリューや稲妻パンチを繰り出す。

4人を回復する声は、ネクロを倒すまで続いた。


数十分後

「ズウウウウゥン!」とネクロが倒れた。

「やったぁ!!」

「何とかなったね!(^^」

「生きてて良かった!」

4人の声に振り返ることもなく、階段から降りて行く人。

「待ってくれ!」と呼び止めるアッシュの声で振り向いたのは

白い帽子をかぶり、水色の…胸元あたりに十字の模様の入った服を来た女の人。

「あ…あの、さっきはありがとう」

ぺこりと頭を下げてアッシュは、お礼をいっていた。

「さっきは、助かりました。」

「ありがとうです。」

「サンキュ!」

と次々にお礼を言う4人の言葉に女の人は、ニッコリと笑って。

「新たなる、アスにやって来た方々。あなた方とはまた会うかもしれませんね(^^」

と言い残すと女の人は階段を降りて、ミルレス町の方へと歩いて行った。


ミルレス町広場…。

「カッコよかったね、あの人(^^」

コウリアは、どことなく嬉しそうに言った。

「コウリアならなれるよ。あの人みたくね(^^」

とリーノアも嬉しそうだった。

「オレもあんな風に誰かを補佐するようになるのかな?」

聖だし…。とルークが呟いた。

「コウリアもルークも強くなれると思うぜ。カンだけど」と言うアッシュに

「お前もなー。」と言い返すルーク。

「みんなで強くなろっ♪」とコウリアは、笑顔で皆に振り向いた

「ああ。」

「だね(^^」

「うんうん。(・・)”」

と3人は、それぞれ頷いた。