第6話『ナゾの修道士』


ルアス町広場、朝…。

そこは物売りや往来の人々で今日も賑わっていた。

そして、エララ・カイム・マイスター・アシッドの4人が

狩りをする前に集まる場所でもあった。

現在の4人のLvは、推定19〜20くらい。

あともうちょい狩場で頑張ればLv21服も着れるようになる。

「今日もがんばりましょ(^^」と言うエララに頷いて

4人は、狩場に向かって歩き出そうとした。

ところが…


「おい!そこの4人!!とまれ。」と一人の騎士に呼び止められた。

「?」と訳がわからない4人に

「おまえらは、知らないようだな。ルアスでは荷物検査を時折行っているんだ。

それ故、町の人たちはおろか。全ての者達がその検査下になっている。

お前たち4人もルアスにいる以上、同様だ。」

と騎士は、真面目な顔で言い出した。


しかし、この騎士の言うことは、本当はウソ。

実際に荷物検査は、騎士のやるべきことではないし、別の管轄だ。

だが、ルアスの実情を知らない4人は、困惑した。


4人は、困っていた。

4人の持ってるものとなると当然『ダガー』や『剣』が出てきてしまう。

他のものは、あんまり怪しくないとしても

カイムやアシッドの2人となると話は別だ。

何かといちゃもんをつけられてヘタをすれば、城に連行されてしまうかもしれない。

(どうしよう…。)4人は悩んでいた。


…と、その時だった。

「あら〜ん、ダーリンじゃないのぉw」

陽気な声と共に、騎士に後ろから抱き付いてる人がいた。

次の瞬間、騎士の表情が真っ青になる。

「荷物検査なんかやって、どうするのかしらぁ?

そのあと、気に入った人連れてってナニしようとしてたのかしらぁw」

と相変わらず陽気な口調は、消えない人。

騎士の顔が更に青くなっていく様が目の前の4人の目には、明らかだった。


「ねぇ、ダーリンwワタシ前に言ったわよねぇ(^^」

騎士に抱きついてる人のニコニコ顔からわずかに殺気が出ている

「ワタシ以外に浮気したら」

ガッ

「その時は」

ガッ

「絶対に」

ガッ

「お仕置きよぉって言ったわよねぇw」

ぎりぎりぎりぎりぎり・・・・

さっきまで騎士に後ろから抱き付いてた人は、締め上げ技を完成したらしく

技をかけたまま、自分の体重をかけた。

こうなるとさすがの騎士も本領発揮は、適わなかった。

締め上げ技が最高潮に達したらしい。

騎士の意識は、突っ立ったまま。真っ白になって遠のいていた。


4人は、もはや呆然としてその光景をみていた。

「つか、アンタ誰さ?」

やっとのコトでアシッドは、目の前の男に声をかけた。

「あら、ごめんなさいね。(^^」とニッコリ笑顔で言う男。

そして、笑顔から真面目な顔になると

「オレの名前は、モリト。今はLv1服のカッコしているけど、

ほんとは、Lv65の修道士です。そして、今のはオレの仕事。

正式名称は、『ルアス懲罰委員会』ってトコの役人で、ルアス王宮行って

毎月の、人殺し・強姦・窃盗といった悪事やらかす騎士を懲らしめてんの。

この『懲罰委員会』の役員は、過去にそういう被害に遭った奴とかもいるから

結構厳しいよ」

とモリトは、先ほどの気絶した騎士を縄で縛りあげながら答えた。


「ふうん、じゃあモリトも被害者か?」

マイスターは、ふと呟いた。

「まぁね。強姦ネタの方向で危ない目に遭いかけたけど、

すんでのところで今の師匠(センセイ)に助けられた。」

とモリトは、笑って答えた。

と次の瞬間…。

「お。電波きた。」

とモリトは、騎士を縛った縄の余りを持ったまま、意識を集中する。

そして、すぐに

「また事件が発生しやがったか。新たな旦那候補者登場だな」

と舌打ちしつつ、

「そんじゃまたなぁ。変な騎士に絡まれそうになったら、

WISでオレの名前入れて場所と座標を教えてくれや。

一番近いトコなら、5秒以内で行くから。」

と言い残して、モリトは気絶した騎士をズリズリ引きずって

違う場所へと歩き出した。

「なんか…面白い人だったね(^^」

カイムは、吹き出していた

「確かに。(・・」とマイスターが頷く

「でも、いい人ではありますね。信ずるに足る方のようですし(^^」

と笑顔で言うのは、エララ。

「一理あるな。」とアシッドもかすかに笑った。


彼ら4人は、知らないだろう。

この日の夕方。

8人の騎士がルアス上の尖塔から吊るし上げの刑を執行されていたとは…。

そして、吊るし上げ執行の張本人のモリトは、今日もいい仕事人(?)だったとか。