第29話 『目覚め』


現実世界の朝…。

「う…っ。」と目が覚めて見回すと

そこは病院のベッドの上だった。

(一体何が起こったんだ?)

とアッシュ…もとい、永谷裕二(ながたに ゆうじ)は思った。


永谷裕二…彼は小学5年生だった。

学校でも活動的で…あけっぴろげな性格からか友人が多い。

そして、今回の10人の意識不明者の一人であった。


裕二は、自分の手を眺めて動かした。

確かに手が動く感覚がする。

(感覚とか意識って普段気にしてなかったけれど、でも大切なんだな。)

久しぶりに『アッシュ』としての自分ではなく

『永谷裕二』としての自分に戻れたことがとても嬉しくなった。

(でも、みんなは?(・・?))

どうなったんだろうか?それだけがすごく気になる。

(みんな、戻れているといいな(−人−))

子供心にそう思った


…と、ふいに隣のベットで誰かが目を覚ました。

「ふわぁぁぁー。」と大きく欠伸をして起きてきたのは、女の子。

一見すると祐二と同じくらいの年齢だろうと思われる。


「おはよぉー。ふわぁぁぁーヽ(^Q^)」

と女の子は、祐二に気が付いて挨拶した。

「おはよ。(・・ノ”」とだけ挨拶し、

祐二は再びベッドの枕に頭をのせて天井を眺めた。

「ルークやアシッド・マイスター・カイム・リーノア・エララ・クリス・レイン・

コウリア…みんなどうしてるかなぁー。(−−;」

頭で考えてたことが、思わず口に出ていた。


…と、その時だ。

「もしかして、アッシュ?(・・?」

と隣のベットで横になっていた女の子が、祐二に振り返る。

「え…?(・・」と祐二も振り返った。

「私、リーノアよ!ほら、アスで女修道士のキャラでいたでしょ?(^^」

と言われて祐二は少しの間沈黙した後に

「…ええええええ?!リーノア?!煤i・□・;」と驚いていた。


「コラ、病院内では静かにしなさい。(・・#」

と折よくやってきた看護婦に叱られて

「はーい、ごめんなさい(^^;」と謝る祐二を笑顔で笑う女の子。


「そう言えば、名前を訊いてなかったよね?(・・?」と質問した祐二に

「私の名前は、皆川美奈子。

小学五年生でここから隣の市の学校に通っているの。

ねぇ、知ってる?私達、10人揃って1.18から0.5に渡った時にね

私達の体、倒れちゃったんだって。

しかもそれがニュースになって、私達『意識不明者』として

この病院に運ばれたらしいわよ(・b・」


実は、この病院で働いてるお姉ちゃんから聞いた話なんだけれどね…と

美奈子は、詳しいことを教えてくれた。


「…ってコトは…もしかしたら?(・・?」

「そう…現実世界でアスのみんなに会えるってコトよ。」

と美奈子が嬉しそうに笑う。

「じゃあ、探しに行こうか。2人で+(・・」と祐二は、作戦を考え始めた。

「いいわねぇ、行きましょっか+(・w・」と美奈子も笑う。

今は現実世界のはずなのにこの2人のノリは、まるでアスの2人そのものだった。