第13話 『雨の日のおしゃべり』


ザー!!!

外では雨が相変わらず降っていた。


「雨…止まないね。」ルアスの宿屋の窓を見ながら、エララが呟いた。

「そうだね。でも、明日はアッシュや他のみんなにも会えるから

それまでに晴れてるといいね(^^」

と笑顔で言った後にお茶を飲んでいるのは、カイム。

「嫌な予感がする…。何も起こらなければいいのだが。」

エララとは違う場所の窓を見て、アシッドが溜息をついた。


「全く。みんな暗いぞ、元気出せよぉw」と一人だけ楽観的なマイスター。

「お前は、お気楽だな。この異常な雨降り現象を目の当たりにしといて、

なおかつ…子供と遊んでるなんてさ」

と肩をすくめてマイスターを見るアシッド。

その目線の先には、

髪の毛を2つに分けて白いワンピースのような服を着た幼い女の子と

楽しそうに遊ぶマイスターが見えた。

「いいじゃんwオレは、お気楽思考の持ち主なのっw」

とマイスターは、開き直った様子でえばっていた。

「はいはい(^^;」とアシッドは呆れていた。

もはや、何を言っても今のコイツにゃ意味はない。とでも思ったのだろうか。


「でも、その子供。マイスターのコト、気に入ってるみたいだね(^^」

クスッとカイムが笑った。

「ふふぇ?ひゃんで?(訳:ええ?何で?)」

幼い女の子に顔をぐにっと引っ張られて正しい言葉が喋れないマイスター。

「だって、君の側から離れないもんw」

気に入られてるんだよ。と笑顔で言うカイム

「基本的にちみっちゃい子供は、嫌いじゃないけどね。」

弟いるから。とマイスターは、幼い女の子を抱え上げた。

きゃーwと抱え上げられた女の子の嬉しそうな声がする。

「マイスターさん、何人兄弟なのですか?」

それまで窓の方を見ていたエララがみんなの方に振り向いた

「んっと…ひのふのみの…5人兄弟だよ。んでもってオレは、3男坊。」

と右手で指折り数えてマイスターが答えた。

「まぁ、奇遇ですのね(^^」とエララが笑う。

「エララん家も5人兄弟とか(・・?」と訊くマイスターに

「いいえ、私の家は『兄弟』ではなくて『姉妹』ですわね。

5人姉妹の末っ子です。(^^」とエララは答えた。

「ほぉー、5人姉妹かぁ。キッツイ系?それとも甘いのかな?」

とマイスターは、切り返した。

「どっちかと言うと、甘いですね。姉達は、しっかり者ではあるけれど

私に対しては過保護だし(^^;」

と苦笑して言うエララ。


「でも、なんかいいね。ちょっとうらやましい(^^」と言うのは、カイム。

「なんで?」と質問したマイスターに

「僕は、一人っ子だから。だからかな?兄弟とかいるところが

何となくうらやましくてね(^^」

と笑顔で言うカイム。

「オレも一人っ子だが?」と言ったのは、アシッド。

何となく…静まり返りそうになる。

気まずい空気が流れそうになったが、それを制したのは


「ま、いいじゃん。」と言い出したマイスターの一言。

「へ?」と3人の視線がマイスターに集まる。

「実際に兄弟とか姉妹とかがいる人も、いない人も確かにいるだろうけどさ。

でも、別にいいじゃん。現実は現実。こっちは、こっち。それに…。」

と言いながら、マイスターはみんなの顔を見て

「オレにとっては、…アッシュの策略にのった一人としてはさぁ。

この世界、結構好きだぜw 一緒に狩りやって来たみんなのコトも

大好きだし、兄弟みたいな感じに思ってるから(^^」

ニッコリと笑顔で自己主張をするマイスター。

3人は、あっけにとられた。けど…その後に笑い出していた。

「あーっ、ひっでぇ!オレ、これでもマジで言ったのにー!!(><」

とマイスターは力説しているものの、3人の笑いはまだ続いていた。


雨はまだ止む様子はなかった。

だが、それでも4人の中にはそれまでのピリピリした空気はなかった。