第12話 『雨W』


こんにちはぁ、レインでっすw

実は、今日。いつものように相方のクリスと狩りすることになってて

いつものように森へ2人で出かけて行ったの。

そしたらね。生憎天気が少しずつ悪くなってきちゃったのー。

こういう時は、『お姉さま』って感じなクリスに意見を求めようと思って

質問したら、あと1時間経ったら宿に戻るって…つもりだったんだけれど


「お姉ちゃん、助けて。」

雨が降る中。幼い女の子が、レインとクリスのPTを見かけて

そして、クリスにひっついた。


びし…っ。

効果音があるとしたら、こんな音かもしれない。

お姉さま的存在を幼い女の子に取られて、レインはちょっとムッとした。

例えて言うなら、友人を他者に取られた者の心境だろう。

(レイン、落ち着いて…落ち着くのよぉ。クリスの隣にいるのは、幼い女の子。

一人でいるのよぉ。助けを求めて来た子なのよぉ。)

と自分に言い聞かせるようにしているレイン。


それとは正反対にクリスは、

「どこから来たの?一体何があったの?」

と冷静さを失わずに、足元の少女に話しかける。

「わかんないの。でも、みんな他の町に飛ばされて…。

わたしも飛ばされたの…。気が付いたら、スオミって町に立っていたの。」

と幼い女の子は、落ち込んだ様子で話した。

「そう…。他の人たちの顔は覚えているの?」

と質問したクリスに女の子は、首を縦に振り、肯定する。


「ねぇ、…ということはよ?アッシュやみんなの居る町にも

この子の仲間がいるかもしれないってコト?」

レインが何となく言ってみる。

「そうね、アッシュにも連絡しましょ。そして、折り合いがつけば

みんなでまた合流するのもいいでしょうし。(^^」

と笑顔で言うクリス。

(久しぶりにみんなと会えるかもしれない。)

と思った途端にレインも嬉しくなってきた。

「ともかく町に戻ってからアッシュにWISしましょう。狩場だと危険だし。」

というコトでクリス・レイン・女の子の3人は、狩場を後にした。


スオミ町…。

クリス・レイン・幼い女の子の3人は、宿屋に入った途端に

おかみさんに捕まった。

「あらまぁ、ずいぶんびしょ濡れだねぇ。暖炉で暖まりなさいな。」

と言うのと同時に3人は、背中を押された。

暖炉のある空間に連れていかれた3人は、その近くに腰を下ろした。

「夕飯までまだ時間があるから、それまでのんびりしてて下さい。」

と言い残すとおかみは、厨房に入っていった。


「アッシュにWISするねーw(^^」

とレインは嬉しそうに言うとWIS機能を作動して、意識を集中している。

クリスとレインの真ん中に座っている女の子は、暖炉の前でウトウトしている。

「安心して寝ていいんだよ。ここは、狩り場じゃない。安全な場所だから。」

目の前の女の子を安心させるように穏やかな口調で話すクリス。

よっぽど説得力(もしくは、信用?)があったのかもしれない。

幼い女の子は、クリスの手を掴むとコロンと横になって眠った。

「クリ…あらら、この子寝ちゃったのね(^^;」

WISでの会話が終わり、我に返ったレインは、女の子の寝顔を見て小声になる。

「よっぽど疲れていたみたいね。それで、アッシュは何て?」

と話題をうまく促すクリスに

「アッシュ、今はミルレスの宿屋にいるんだって。他の3人も一緒だって。

だから、明日会わないかって。私達の連れている女の子の連れがいるかもだって。」

と嬉しそうに話すレイン。

「そうなんだ。じゃあ明日になったら、ミルレスに行かないとね。」

とクリスは、そう言って…暖炉から右側にある窓を見た。

ざーーーー!!

雨は、勢いを増して降っていた。

まるで勢いは衰える様子もなく…。