第11話『雨V』 「こうなったら、この子もミルレスに連れていこう。」 と言うルークの一言に頷くコウリア。 「でも、だとしたら…。待ってて!」 と何かに気付いたコウリアが走り出す。 「あ、ああ!待ってる!!」 と走って行くコウリアにそう言って、ルークは困惑した。 が、倒れた女の子を放っておくわけにもいかない。 (ともかくこの子も安全な場所に連れて行かなくちゃ。) 女の子を背負うと、そのままコウリアが戻って来るのを待った。 当のコウリアは、サラセンの町の中の薬屋に向かっていた。 「おじさん、リンクください。」と言うコウリアに 「コラ、そこの人間。私の名前は、おじさんじゃなくてサカだ。サ・カ!」 とコウリアにダメ出しする薬屋店主。 「じゃあ、私のことも人間じゃなくてコウリアって呼んで下さい! そしたら、私も名前で呼びますから。」 と言い返すコウリアに 「そうか…すまない。ところで、今日は何の用だ?」と訊く薬屋店主。 「だから、ミルレスリンク売ってください(^^;」 と呆れながら言うコウリア。 「すまん、すまん(^^;」苦笑しながらリンクを渡すサカに 「いえいえ(^^;」とコウリアも苦笑しつつ、お金を払った。 そして、コウリアはその場を走り去った。 「ただいま…。」と戻って来たコウリアを筆頭にPTを作り、 気絶している女の子もPTメンバーとして入れた。 「いくよ!」とコウリアがリンクを開いた! 3人の周りにメンタルロニアの呪文が浮かんで…そして、消えた。 サラセンから3人の姿は、消えていた。 ミルレス町広場…。 フッ・・・と光になって現れた3人。 しかし、女の子はまだ気絶していた。 「宿屋にもどりましょうか(^^」とコウリアが笑顔で言う。 ミルレスは未だに雨が降っていて、止みそうになかった。 「走って行こうぜ!でないとヌレネズミだ(><;」 と女の子を背負って、ルークが走り出す。 「待ってー!」とコウリアがその後を追うように宿屋へと走った。 ミルレス宿屋内…。 ザア・・・ッと降ってる雨は、まだ止まない。 「なんか、アッシュ達のコト、言えないな(^^;」 苦笑しながらルークが、肩で息をしている。 「ホント…びしょ濡れでしたね。」 コウリアも肩で息をしている。 しかし、何よりもヤバイのは…着ている服だった。 全身びしょ濡れ状態で体に張り付いてきている。 (どうしよう…。)コウリアとルークは、悩んでいた。 と、その時だった。 「おやおや、濡れネズミさんたち。これで体を拭きなさい。」 宿屋のおかみが、2人にタオルを1つずつ渡して、 そして、持っていたタオルで2人の頭をそれぞれにわしわしと拭いた。 (ルーク:「なんかおかみさんって、豪快だね(^^」) (コウリア:「そうね。まるで『みんなのお母さん』って感じw」) と2人は、WISで話して…笑った。 それから数分後…。 宿屋のドアがギィ・・・と開いて 「たでーま!」と元気なアッシュの声が聞こえた。 「おかえりなさい。…煤i///)?!」 挨拶をしてきたコウリアが真っ赤になって逃げていく。 「??」と訳の分からないアッシュに 「全く。アンタもずぶぬれかい。」 と呆れた様子で宿屋のおかみがタオルでアッシュの頭を拭いている。 「今日はみんなして、ずぶぬれだねぇ。」 とおかみは、最後にやってきたリーノアに視線をやりながら、 「ほれ。あとは、自分でお拭き。」とアッシュにタオルを渡すと リーノアの頭も同様に拭いている。 先程まで気絶していた女の子は、今はリンゴを食べて元気が出たらしい。 ちょこんと椅子におとなしく座っていた。 「それにしてもずい分と戻ってくるのが遅かったな。」 宿屋にかかってる『壁掛け時計』の時間は、もう4時だった。 「いやぁ、それがさぁ。ルー。実は、女の子拾っちゃってさ(^^」 と言うアッシュの足元に、それらしき女の子がひっついている。 「女の子?」とコウリアとルークが驚いた。 「え?じゃあ、あなたたちも?」とおかみから解放されたリーノアが訊いた。 何となく訪れる沈黙…。だが、 「あああああ!!」と2人の幼い女の子の叫び声がした。 アッシュの足元にいた女の子がいつの間にか消えている。 4人は、声の出所へ走った。 「アーシアじゃない!!」 「その声は、アーリア?!」 4人の目の前で、幼い女の子2人がはしゃいでいる。 「アーシア?」とリーノアは、不思議そうな顔で聞いた。 「あ、ごめんなさい。実は、探している人の一人が見つかりました(^^;」 とアーシアは、にっこりと笑った。 「何だってぇぇぇぇ?!」 アッシュ・コウリア・リーノア・ルークは、叫んでいた。 ところが…事態はこれだけでは終わらなかった。 (レイン:「アッシュー!」) ふいに聞こえた声。 (アッシュ:「なに?レイン。」) と質問したアッシュに (レイン:「なんかね、不思議な女の子とあっちゃったぁ。」) とレインからWISが入って来ていた。 「まじかよぉ(^^;」 アッシュは、自分の計画が微妙にズレてくるかもしれないことを予感して そして、頭を抱えた。