『予想外の…〜落胆の理由〜』


(オレが何事もなく、平和だと思って過ごしてきたあの1、2週間の間に

一体何があったんだ?!)

ソファーから立ち上がって虚ろな表情で台所へと消えたラファンに

イリュームは訳が分からずに困惑していた。


そんな時…。

「スタスタ…。」と誰かが歩いてくる音に気がついて振り向くと

そこには普段寝ているはずのクロスティアが立っていた。

「おはよ…イリューム?」とまだ寝ぼけている様子でクロスティアが挨拶する。

「おはよ。…なぁ。ラファ姉、どうしたんだ?えらく落ち込んでたけど。」

と質問したオレに

「イリュームは知らないか。ラファ姉、彼氏にフラレたんだよ。」

と次男は寝ぼけ顔とは裏腹にきっぱりとした口調で答えた。

「はぁ?!ラファ姉の彼氏ってシュアだろ?!」

「うん、そうだよ。(つ_+」と寝ぼけながらも頷く次男、クロスティア。


シュア…。

現在70Lvの魔術師でラファンの彼氏でもある人だ。

『ウィザードゲート』を依頼してくる人がいれば、笑顔で請け負う『気さく』な人で

かなり昔は、オレと一緒に組んだ『狩り仲間』でもあった。


「しかし、信じられないな。ラファ姉がフラレるなんて。(・・?」

と言うオレに

「正確に言えば…、シュアのリアルがシュアを消したんだって」

とクロスティアがつぶやいた。

「ええ?!」と驚くオレに

「まぁ、こればかりはどうすることも出来ないよ。リアルの諸事情に

僕たちはどうすることもできないしね。」

と言うクロスティアの黒い目は、外見の幼さに反して

何かを悟った者のように落ち着いた表情だった。