『予想外の…〜ティアイエル〜』


ルアス町、ティアイエルの家…。

「ガチャガチャ」と音がする。

ティアイエルがスポンジケーキのタネを作っているところだった。

「えーとぉ、コレであとは型に流し込んで・・・。」

とレシピを見ながら必死で

「あれは入れたし、コレも入れた・・・。(・。・」と確認をしている。

「ティア、何をやっているんだ?(・・?」

台所で悪戦苦闘を繰り広げる奥さんを不思議に思い、

旦那のガブリエルは、思わず声をかけた。


「今ね、ケーキを作っているの(^^」と笑顔で言うティアイエルに

「そっか。でも、ヤケドとか気を付けてな。(^^;」

とガブリエルは、やや心配そうだった。

「ありがとう。もし出来たら、最初にガブリエルに味見してもらうから(^^」

と笑顔で言うティアイエルに

「了解(^^」とガブリエルは笑った。


その1時間後…。

ティアイエルが作ったケーキは、完成した。

「さっそく味見してみて(^^」と言われて

小皿に載せられたケーキを一口食べるガブリエル


しかぁし

3・2・1・・・。

「…ティアイエル、コレやばい。(^^;」とガブリエルが苦笑した。

「ええ?!何で?!煤i・◇・」と驚くティアイエルに

「食べてみれば分かるよ(^^;」といわれて

「ぱくっ!(・_・」とケーキを一口食べたティアイエル。

3・2・1…。


「…。」ティアイエルは、言葉が出なかった。

生クリームなハズなのに、何の味もしない。

スポンジが若干カタイ。コゲ目がスゴイ。


「なぁんでぇ?!(;;」と落ち込むティアイエルに

「気持ちは一生懸命なんだけれどねぇ(^^;」と苦笑するガブリエル。

「おかしい、レシピの通りに作ったはずなのに(・・;」

と慌てるティアイエル。

「え?レシピあるの?…良かったら見せて(・・」

とガブリエルに言われて、持ってたレシピを渡すティアイエル。


「ああ、なるほど!煤i・・;」とレシピを見て

「ティアイエル、見ててね。(・・」と言うとガブリエルは材料を集めた。

そして、レシピの通りにケーキのスポンジを焼いて

生クリームの材料に砂糖を入れて

時間を見て、竈(かまど)からスポンジケーキの型を出して、

型からスポンジケーキを抜くと、覚ましていく。

スポンジケーキの熱が取れた頃に

スポンジケーキを真横に切り、上のスポンジケーキを置いて

下のスポンジケーキの上にクリームと果物を載せ、

その上に生クリームを載せて上のスポンジケーキを乗っけた。

後は、生クリームで周りをデコレーション。

「これで終わり。」と言った後、ガブリエルの目の前には

ショートケーキ1箱分が出来ていた。


「わぁ・・・。(・。・」と驚くティアイエルに

「食べてみて(^^」

とケーキを切って小皿に載せ、ティアに渡す。

「いただきます。(・。・」とティアイエルは一口食べてみた。

甘い味がしっかり出ていて、美味しい。


「やっぱり私、料理苦手なのかな(;;」と落ち込むティアイエルに

「ううん、違うよ。ティアはただ、基本をいくつか間違えただけ。

スポンジを焼くときに時間を計らなかったこと。

生クリームに砂糖を入れ忘れたこと。

スポンジケーキを型にいれたままで冷ましちゃったこと。

この3つが失敗しただけであって、これを直せば美味しいケーキができるよ。

だから、元気出して(^^」

とティアの欠点を見抜いて励ますガブリエル。

こういうところは、風林氏の下でお世話になっていた功績かもしれない。

「もっと頑張らなくちゃ(・・;」と慌てるティアイエルを見て

(何か…昔の自分みたいだなぁ。)と思わず昔のことを思い出していた。

「ガブリエル…。」と自分を呼ぶ声に気が付いて

「あ、何?」と訊くとティアイエルは

「また次も味見してね(・・」と言われて

「了解(^^」と笑顔で言うガブリエルだった。