君に贈る、巫山戯た作品〜続編(? その5


またーり聖が狩りをして家の方へと歩き出していた頃…。
またーり聖の家に何かが侵入していた。

またーり聖の家の中…。

「ゴソゴソ…。」暗がりの中、何かを動かす音。
暗い部屋の中でわずかに光る2つの目。

それは…明らかに人の目だった。
またーり聖の家の中を歩き回る不審なものが一人。

不審者は、何かを見つけた。そこにあったものは…。
何か文字が書かれてある大きな紙で封をされている瓶(かめ)が一つ。

不審者の目がその瓶の封の文字を見る。

その後。不審者は瓶の封をはがすと、
瓶の中に入った液体を持っていたビンの中に注いだ。

ビンの中が液体でいっぱいになったのを確認すると、
不審者はビンのふたを締めて、瓶に再度封をした。

…とその時だ!

「ガチャッ、ガチャリ。」とドアにカギを差し込む音がした。
不審者はとっさにインビジブルで姿を消した。

「はぁ、やっと帰ってこれた(^^」
安堵の表情でカギが開いたのを確認して、またーり聖はドアを開けた。
その直後!!

「ドン!!!」と何かにぶつかった感覚がした。
しかし、そこには誰もいない。

「???気のせい…かな??(・・?」
不思議なコトもあるもんだ。
そう思ってまたーり聖は家の中へと入って行った。

インビジブルを使った不審者は、しばらく走っていた。
ところがかなり走ったところで彼の姿が現れてしまった。

彼の走っていた近くで面白半分で『ディテクション』を使った盗賊の
スキル範囲内に入ってしまったせいである。

『ディテクション』の効果で姿が出てしまった盗賊。
それは何と『トフィ』だった。

トフィ…。
彼は、イリュームという名の修とは狩り仲間…なハズなのだが
どういう訳か前回の話でイリュームがまたーり聖からもらった試薬の影響で
イリュームが女になってしまったのを見て以来。

理性が壊れた…?と言うべきか暴走したと言うべきか
…ともかく問題発言が多くなってきた盗賊であった。

彼が何故、またーり聖の家に侵入したのか?
理由は、カンタン。

『イリュームを女にしてしまった薬』を探していたのだった。
以前、またーり聖に『薬おくれ発言』したものの、却下された為。
トフィは、盗むことにした。

(イリュームを女にしてしまえば…。)
思いっきり妄想に突っ走った上で行動するあたりが
ある意味、この人の『個性』(?)かもしれなかった。

しかもこの『トフィが盗んだ薬』が使われるのは…また別の話。

そして、今宵も少しずつ夜が更けていった。

翌朝…。

いつものように守護動物とほぼ一緒に食事を取るまたーり聖。

しかし、食事が終わった後に洗い物をし終わると
またーり聖は、戸棚から真っ黒な中華ナベを出した。

我輩は今まで『またーり聖殿』の調理現場を幾度も拝見している
しかし、あのような真っ黒な容器は、見たことがない。
一体あれは何なのだろうか?

肩に乗った守護動物が中華ナベを見ているコトに気が付いて

「ああ、これ気になる?これは中華ナベって言って、
揚げたり炒めたりする料理に使うんだよ(^^」と
またーり聖は、ニコッと笑顔で答えた。

揚げたり、炒めたり…。も、もしや。
もしや我輩のコトを調理してとって食べる気なのであろうか?!

守護動物の頭に浮かんだのは、中華ナベの中に自分が入れられて
火と油で炒められた後にじゅーっと揚げられて、
意識がなくなった自分を「いっただきまーすw」と
またーり聖が食べようとしているところだった。

自分の肩の上で守護動物がガタガタ震えているのに気が付かずに

「えーっと材料はぁ…。」
と昨日買い込んだ食材をどこに置いたか思い出そうとしているまたーり聖。

ああ、我輩がバカだった!
最初は優しいお方だと思っていたが、やはりこの者も下賎なる者。
やはり我輩にとっての一番のご主人(ますたぁ)は、あのお方だけだ!!

ディカンのことを思い出した途端。
守護動物は、キッと覚悟を決めた。

そして、またーり聖の肩から思いっきりジャンプすると
ドアに体当たりして、開いたドアのすき間から逃げ出した!!

「あーあ。また一人になっちゃったなぁ。」
少ししょんぼりした、またーり聖。
しかし、ふっ…と一息つくと

「あの守護動物が、無事に飼い主の家に帰れますように」
と十字を切って祈った。

その数分後。

ぴょんぴょん…と守護動物がミルレスの町広場を飛び跳ねていた。

しかし、ミルレスの町並みでも守護動物に声をかける者はいなかった。
相変わらず、所在なさげに飛び跳ねている守護動物。
ところが次の瞬間!!

「バサッ!!」と音がしたかと思うと
守護動物は、虫取り網の網に捕まってしまった。

わ…我輩は、一体??そして、この我輩の周りにあるものは何なのだ?!

ビックリのあまり動けない守護動物。
すると「わぁ、珍しい虫を発見だぁ!!(>w<)」
と幼い声が聞こえてくる。

そして、守護動物を虫取り網の網ごしにひっつかんだ子供の聖職者は
「珍しい虫を取った記念におししょーにも見せてこよーっと!(>w<)」
と虫取り網の中に守護動物を入れて守護動物が出ないように
網の口の部分を引っ掴んでどこかへと歩き出した。

ああああああ!!!
我輩は…我輩はどこへ連れて行かれるのだぁーーー!!!(><)

守護動物の心の叫びとは裏腹に、
捕獲した聖職者は鼻歌を歌いながら歩いていった。