『ナゾの薬、騒動記』 その9


そして…無常にも3日の夜…。

どくん・・・っ

狩場で狩りをしていたイリュームの体に大きな心音が伝わってきた。

(ヤバイ!これは元に戻るのか?!)

とっさの判断でバギエリアの死角で41の修の男物の服に着替えた。

まだ肩は、すっぽ抜けてる。

しかし、どくん・・・っと体にくる心音が少しずつ体に影響を与えていた。

大きな心音が収まったのとほぼ同時にイリュームの体は、元に戻っていた。


「戻ったぁ(^ワ^)」と喜ぶイリュームの斜め後ろで

「はぁ…さっきの着替えシーンが最後か(ーー;」

と落胆気味に言うトフィの背後に殺気が1つ

「見てたのか、ゴルァ!!(・・#」と怒ったイリュームが

イミットゲイザーを打った。

「うああ、出来心だったんだー!(><」

「出来心もホトケ心もあるか!覚悟しろ!!(・・#」

怒りまくりでイリュームがトフィを追いかける!!

そして、2人はこの後。体力が切れるまで追いかけっこしてたとか。


ところ変わって、ここはまたーり聖の家…。

どくん・・・っとイリュームより3時間ほど遅れて

体に大きな心音が伝わってきた。

またーり聖は、すでにLv41男物の聖職者の法衣を着ていた。

そして、心音が収まるのを椅子に座りながら待った。


その数分後、心音が元に戻った。

(元に戻ったようだ。)41服から肩がズレてこないのを確認して

はぁ…。と一息つく。

(でも、あの薬のおかげで何人もの戦士や修道士を引っ掛けたしねぇw)

ついでに50ヘルも超えられたしwと嬉しそうに笑う、またーり聖。

(けど…。)ふっと思い出すルウドの顔。


(あんなバカ正直入ったような奴を騙し通せないなんて、

やっぱし僕も、まだまだ騙しにかけては、半人前だなぁ(−−;))

と長い溜息をついて、またーり聖は机に突っ伏した。

(…ホントに女だったら。…まぁ、いいや。)

拒否することにした。

今更ルウドにどうこう言う気もないし、その権利もない。

(女だったら好きになってた・・・かな?)

何となくそう結論付けてまたーり聖は、

緑の薬の入った大きな瓶(かめ)を遠目に眺めていた。

(ともかく、この薬の副作用は、性転換だな。)

副作用と効能を大きめの紙に書いて、瓶のふた代わりに封をした。

(僕の想いと共に今はこれをしまっておこう。またいつか使うその時まで。)

またーり聖は、女として居た時の気持ちを忘れるコトにした。

それが一番の方法だと分かっていたから…。

(それに…イリュームには謝らないとだw)と思った。

予想外のこととは言え、やはり申し訳がないのは事実だ。


しかし、またーり聖は、知らなかった。

この薬がそう遠くない頃に再び日の目を見る日がこようとは・・・。

「さて、寝るかぁ…。」窓から見える空は、もう真っ暗だった。

またーり聖は部屋の電気を消して、眠りについた。


その頃…イリュームとトフィはまだ命がけの追いかけっこをしていた。

らしい。