第21話『再会と口ゲンカ』


ルアス町広場・・・。

その中にティアイエルが現れた。

しかし、ガブリエルが一向に気が付いた気配はない。

物売りの方を向いて、しきりに武器を探している。


ほどなくして、ティアイエルの足が動き出す。

1歩、また1歩と歩き出す。

自分に背を向けてる21服の聖職者。

もしかしたら、この人かもしれない。

確信はなかったものの、何となくそんな気がしていた。

そして、近寄っていくうちにだんだんそれが確信へと変わっていく。

そう・・・声でハッキリと分かったから。


「聖職者の武器って、ない?」

ガブリエルは、未だに背後からやってくる存在に気が付いてない。

物売りの人にアイテムがあるかどうかを質問していた。

・・・とその時、肩に手を置かれる感覚がして

ガブリエルは、くるり・・・後ろを振り向いた。

そこには、会いたくなかったティアイエルが・・・居た。

「・・・よぉ(^^;ノ”」

苦笑気味に挨拶するガブリエル

「・・・こんばんは(^^」

ニコ…と笑っているものの、かすかに伝わってくる冷たい冷気。


それに気が付いたのか、ガブリエルは

「・・・ど、どうした?(^^;」

苦笑しながら、わずかに怖がっていた。

「昨日の報復しに来たの(^^」

にこにこしながら言うティアイエルに

(怖い・・・(^^;))

と再び恐怖の再確認をするガブリエル。


顔から笑いの気が引いて、マトモな顔になるティアイエル。

次の瞬間

「だぁれが偽善者ですってぇ?!大体あんたこそ何だってのよ!!

私があの部屋貸さなかったら、アンタずっと野宿か空き民家生活よ!

それに私は、顔見知りの奴にしか部屋は貸さない主義なの!

なのに、アンタは何?!人の厚意を無視して、いきなり悪口言って

勝手に消えて、ルアスでフラフラして、バッカじゃないの?(・・#」

とまくし立てた。


これにはガブリエルもムッときて

「うるせぇよ!そうやって言いたい放題、言いやがって!顔見知りだぁ?!

んじゃ、お前の理論で言えば、お前が顔見たヤツならみんなOKってコト

なんじゃねーのか?!あぁ?!それに厚意だぁ?!笑わせんな、この偽善者。

オレのコトに対して世話ばっか、焼きやがって。

放っときゃいいんだよ、オレみたいな訳分かんねーような奴。

大体、今のお前にゃ。お前を愛してくれるラティって奴がいんだろが!!

オレのコト心配する前に愛しい奴の心配でもしてやれよ!

それにルアスは、好きでフラフラしてるんだよ!悪いか!!(・・#」

と言い返した。


「なんですってぇ?そのことば、ソックリ返してあげるわよ!(・・#」

「やれるもんなら、やってみろ(・・#」

完璧に2人の怒りは、双方共に最高潮まで上がっていた。


「ぉ、ケンカだ、ケンカ。」

「どっちだ?勝つのは?」

物売りのテンションは、そこそこ高いはずだったのだが・・・。

それでもティアイエルとガブリエルの口ゲンカには、勝てなかったらしい。

アイテムを買おうとしてやって来たケンカ好きな奴らが

いつの間にかティアイエルとガブリエルの様子が分かる位置で

2人の様相を見ていた。


「大体、アンタ何、その態度!!図々しいし、神経も太いんじゃないのぉ?!

おまけに外見、可愛い系だしぃ。そのまんまの外見で誰か引っかけそうよねぇ?

引っかかった人が可哀相ってヤツよねー♪(^^」

「うるせぇよ!そういうお前こそ、お互い様だろ?ラティは、こんな女の

ドコがいいんだか。それがイマイチ分かんねーな!(・∀・」


2人の思惑なんのその。

周りで見ている観衆は、

「いいぞ、修の姉ちゃん。イミット1発かましたれー!」

「負けんな、そこの聖職者!言われて悔しいなら、言い返せー!」

思いっきり応援団のソレ並に盛り上がっていた。

「あーあ。こーんな最低なヤツだったなんてね。ガッカリしちゃった。」

「はぁ?!何が最低なヤツだ!大体なんだよ、その空気!!(・・#」


「アンタみたいなバカ、心配して損したわ。…損どころなんかじゃ

済まされないわね。大損よ!大体、ミリアさんもヘンなコト言うから

いけないのよ。あー、疲れた。もうやんなっちゃった。」

とティアイエルは、あきれ返った。


(心配されてたんだ、オレ。)ガブリエルは、言葉を失った。

(でも、ミリア…一体何て言ったんだ?)

ティアイエルの言葉が気になった。


「あー、ケンカ終わったっぽいなー。」

観客同然みたいな奴らが、各々散らばっていく。

そんな中…。

(ガブリエル:「ティアイエル。ミリアは、何て言ってたんだ?」)

ざわざわしている中、WISでティアイエルにそう尋ねた。

(ティアイエル:「ミリアさん。アンタが私のコト、好きなんじゃないかな

みたいなコト言ってたのよ。でも、デマっぽいみたいね。」)

とティアイエルは、さらりと言ってのけた。


(へ?)驚きのあまり声が出なかった。

(ええ?!)とガブリエルは、混乱していた。

(そんなまさか、そんなまさか・・・。)頭の中、否定するようにしてみるが

(あ・・・。)思い当たるフシがあった。

(そうだ、ディグバンカー行った時だ。)

(あの時、確か腹が立って・・・気が付けばヤケ起こした行動して…。)

(何でこんな時になって気が付くんだ、オレは。)

自己嫌悪でオレは、その場にしゃがみこんでいた。


「ガブリエル?」

ちょっとだけ心配になったのか、ティアイエルが声をかけた

(ガブリエル:「一つだけ訂正。」)

と顔を上げずに、ガブリエルはWISを使った。

(ティアイエル:「何が?(・・?」)

(ガブリエル:「ホント女の人って、スゴイもんだな。

ミリアの言ってたコト…当たりかもしれない。」)

相変わらず、顔を上げずにWISで話すガブリエル。

(ティアイエル:「え?!煤i・・;」)

WISで驚くティアイエルに


(ガブリエル:「ホントは、ラティと2人でひっついてるトコ見た時。

『狩場じゃなくて、町でやれ!』って思ってた。

そう思うことで精神の安定をさせようとしてた。

でも気持ちの受け流しなんて、んな器用なコトができる訳ない。

そう気が付いたら、お前からも遠ざかるしか方法がなかった。

見えなければ、考えることも不安になることもないからな。

・・・2度目の忠告だ。もうオレに関わるな。

親切心でオレに関わられるのは、ハタ迷惑だ。」)


スッ・・・と立ち上がり、ガブリエルは、ティアイエルの顔を見ずに歩き出す。

そして、ルアスの雑貨屋方向への入り口を踏んで消えた。

「もう・・・何が何だかわからないよぉ(><」

混乱するティアイエル。

はたしてこの先、どうなるのか?(・・?