第3話 『本の中身〜皓の本音2〜』 皓の『日記』にはいろいろなコトが書かれてあった。 1ページ目は、実のリアルであるケンタと会った日のことが書かれていた。 しかし、次のページからは、ユウトのことが書かれてあった。 その記述の日付は1ページ目の記述と同じ日で・・・ 『オレのリアルだとか言う『ケンタ』がはぐれないように 手を握って一緒に歩いた。 『ケンタ』は、何でか楽しそうな顔だった。 話を聞くと広場で知り合いと会うということらしい。 オレとしては、知り合いに引き渡そうかな・・・とほんの少し思った。 けど、知り合いの顔を見て驚いた! その知り合いの名前は『ユウト』。 これだけなら分かるが、その『ユウト』の側にいるのは 以前組んで狩りを何度かしたことのある『エル』だった!!』 驚きとも取れる文章だった。 (ほー、エルっていう名前の聖か。) またーり聖は、何かを掴んだような感覚がした。 さらにページをめくって…あるページに目を止める 『X月X日 ユウトたちと別れることになった。 それまでの間、一緒に過ごしてきた時間が今になって楽しかった。 そう言える気がする。みんなでLv上げに必死になったり、 楽しく喋ったり。まるで本当のアスガルドの仲間同士みたく楽しめた。 …今はもう、リアルと話すこともできなくなった。 しかし、忘れる訳じゃない。逆に・・・思い出していくんだ。 みんなとの時間が楽しかったからこそだろうか。』 (皓って、結構いろんなことを感じているんだなぁ) またーり聖は、ちょっとだけ感心した。 そして、本をパタリ・・・と閉じた。 本を持ってスタスタと戸口の方に歩いてドアを開けると またーり聖は外へと歩き出した。 ・・・ところが、 「あっ!見つけたぞー!!」と外に出た途端に皓にとっつかまった。 「こら、マット聖。」 「またーりだってっ(^^;」 「本、見たな?(・・)+」 皓の一言にギクリとした。 「悪い?」開き直った僕の一言、しかし、その数分後・・・。 「うきゃーっ!や…やめてぇー!!あははははは!!(>w<)ノシ」 普段は、静かなこのエリアに僕の声が響いていた。 僕は、お仕置きとして「くすぐりの刑30回」を執行された。 かなり苦しかった。 それから更に数分後・・・。 「全く。人の秘密は見るなとか、教わらなかったのかよっ。」 憮然とそして、不服そうに皓が言った。 「知るか。」また開き直る僕。 「あっそ。」と言い捨てる皓。 こういうノリは、いつものコトなのでお互いに加減は、していた。 「それよりも、エルさんとは会ってないの?」 さらりと僕は、言ってのけた。 「たまになら用事で会ってるが、それがどうかしたか?」 さらりと言い返す皓。 「ふーん、てっきりエルって名前の聖女のこと好きなんだと思ってた。」 またーり聖は、いたって冷静に言ってのけた。 「…。」皓は、黙って空を見上げていた。 「図星だね。」僕は、ちょっと嬉しかった。 「…うるへー。」皓は、そう言うと奪回した本を持って そして、雑貨屋地域を後にした・・・。 「素直じゃないなぁ。」僕は皓の去った方向を見てそうボヤいた。
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