第7話


「しっかし、まさかリアルがこっち来ちゃうとはなぁ。」

とイリュームは、テーブルの目の前に座るマリエを見てごちた。

「確かに。でも、以前にも同じ事例があったということを考えると
マリエだけが例外ではなさそうだ。」

とクーリエは、腕組みをしてる様子でそう言った。

「でも、どうやって戻ったんでしょうね?」

ラファンもどことなく考えてるようだ。

自分の目の前で考えてる3人の表情が怖そうに見えたのか

マリエは、クロスティアから離れないようにくっついていた。


「さってとー、ほんじゃあそろそろ寝るかぁ。」

「ふわぁー」とでっかい欠伸をして、イリュームがごちた。

「そうだな。時間からしてもう夜だ。」クーリエが頷いた。

「では、明日になったら情報を集めましょう。」

とラファンも案を出した。

そして、4人はそれぞれの民家へと歩いて行く

マリエはラファンの家に泊まることになった


翌朝。

マリエが起きた時、ラファンの姿はもうなかった。

どうやら情報収集に向かったらしい。

(早いなぁー。)思わず関心してしまった。


昼・・。

「オラオラァ!」の掛け声と共に、コークスクリューを使ってるイリューム。

その足元には、ナイトモスの死骸がごろごろ落ちていた。

「随分と派手だな。」

後方から声がした。これは確か・・・。

「アプサラス?」思わず、振り向いてそう呼んだ。

「ご名答。それよりも荒れてやがんなぁ?」

アプサラスと呼ばれた男の外見は、Lv61の修の衣装を身に纏っていた。

「荒れたくもなるっつーの。それだけの理由があるんだぁぁ!!」

とイリュームは、そう叫ぶとムスッとしている。

「なんだ、また女か?」意地悪く言うアプサラス。

「半分正解・・・。」

なんだって分かるんだ?と訊き返したかったが、気力がなかった。

「ほぉ。あとの半分は?」

アプサラスがニヤリと笑う。相変わらず、食えない奴だ。


「なぁ、秘密は守れるか?」
「んぁ?・・・あぁ、まぁそれくらいなら。」

と答えたアプサラスを信じて、イリュームは事情を話すことにした。

リアルがこっちにキャラとしてやって来たこと。

リアルを元の世界に返す方法を探していることなど。

一通り、耳打ちで話した。

「・・・って訳。お前さぁ、誰かそういう情報に詳しい奴、知らない?」

とイリュームは、切り出した。

「・・・。」とアプサラスは、しばらく黙っている。

「やっぱダメかぁ。」そう言って他の奴に聞こうとしたその時。

「思い出した。・・・確か一人いたな。」とアプサラスがごちた

「IDは?!」

とっさに質問したイリュームにアプサラスだったが

「確か・・・。IDは『エル』とかっていう奴だ。聖職者だよ。」

と過去の記憶を思い出しながら言った。そして・・・。

「けどな、イリューム。オレの知ってるソイツは、2年前に会っただけだ!

今もいるかどうかは分からない。それにものすごい人見知りが激しい。

だからもし、話せたらオレの名前を出してWISで話せ!

もし、何か課題でも出されたらそのときは協力するよ。」

と言葉を付け足した。

「サンキュ!恩にきるぜ!!」

と嬉しそうに言うとイリュームは、町へと走って行った。

「ホントに女問題だったか^^;」アプサラスは一人ごちた。


ミルレス町の広場・・・。

町へと戻ってきたイリュームは、さっそく『エル』にWISをした。

イリューム:「あのー、初めまして。」
エル:「あ、は・・・はい。」
イリューム:「友人のアプサラスからあなたの事を聞きました」
エル:「あー、あの人ですか^^」

出だしは好調。しかし・・・。

イリューム:「あなたのリアルがこっちに来たというコトを聞きました。」

とイリュームが話し出すと、エルは、しゃべらなかった。

イリューム:「あの、何か話してください。」
エル:「・・・。」
イリューム:「話してくれないと困るんです!」
エル:「・・・。」

しばらくの間、エルは「・・・。」を繰り返していた。

しかし、我慢して穏便になってたイリュームは少しずつ腹が立ってきた

そしてついに・・・。

イリューム:「オレだって、困ってるんだ!オレや他の兄弟たちを

コントロールしてるハズのリアルが今、こっちに来てしまってて

一番混乱してるんだ!!でも、クーリエもラファンも考えてこそすれど

混乱の一言は、口にも出さない!それに、リアルだって困惑してるんだ!!

今は落ち着いてるけれど、早く元の世界に戻さないと大変なコトになる!」

叫ぶような感じの口調になってることは気が付いていた。

でも、それだけ深刻だということを分かってほしかった。


すると・・・。

エル:「では、情報を教える代わりに私のお手伝いをしてくれませんか?」

とエルからWISが来た。

エルの言う『お手伝い』とは、一体何なのか?