第4話


次の日、僕の行き先は決まった。

『ロオサーバ』…この世界で3番目に作られたもう一つのアスガルド

しかし、リアルはまだ僕のキャラを作っていなかった。

なので、今日もイアにいた。


イアのミルレス町・・・。

相変わらず、露店と露店を眺める往来の人たち。

ゲートを買う人・70魔を探して移動魔法でどこかへ転送してもらう人

ゲート以外の武器やスキルを買う人

買い物ではなく、知り合いとの会話に遊びに来る人

PT募集の声とそれに集まる人

そんな人たちでミルの町は賑わっていた

(平和だなー。)と思いながら上を見上げると

そこにあるのはリアルの表情・・・。

(上を見上げることなんてほとんどなかったから気が付かなかった)

クロスティアは上に見えるリアルの顔を見ながらそう思った


一方、リアルはというと・・・。

Σ(クロスティアのロオのキャラ登録忘れた!!)

やっとこ自分の失敗に気が付いたものの
このまますぐに消すのも不自然なので

(クロスティア、ごめんねー!)と思いながら

クロスティアを使い「落ち。」と言った後にログアウトした。

そして、すぐにロオサーバにアクセスした
 

シューッと白い光が『Asgard』の文字を描く

そしてそれがオレンジ色になって浮き上がってくると

3つの選択肢が表示される・・・即座に『new』を選んだ


『新キャラ登録』の表示に切り替わる。

毬絵は、キーボードを打ちまくった。

名前・パスワード・パスワードの再入力・キャラ設定・メルアド

リアルの名前その他もろもろを打ち込んで『OK』を押した

新キャラ作成完了。

すぐにパスワードとキャラ名を打って、アスガルドに入った

ぐるぐる回るかぼちゃの下には『now loading』の文字が点滅している


スウッ・・・と目を開けるとそこはだだっ広い平原。

「アスガルドの世界へようこそ」
という声がして振り向くと、そこには入学案内をしている女性がいた

そう・・・全てはここから始まる。

意を決して話しかけようとした時、

ちょうどいいタイミングでリアルが操作したらしい。

「スクールに入学しますか?」
「はい」

かぼちゃが再びグルグル回りだす・・・。


フッと開けてきた視界に見えたのは、学校の先生。
(本当は、詳しい説明。聞かなくても分かるけれど・・・。)

でもー。とクロスティアは困惑していた。すると
情報ウインドウがパッと開いた。

どうやらコレもリアルの仕様らしい。

一通り説明を見て次の教室へ・・・。
それを2回か3回くらいした後に僕は、平原に連れて行かれた


でも、最初とは違う場所。よーく見ると『クロエ神官』が立っている

「いいですか?1回しか説明しません。よく考えて選びなさい」

クロエ神官は、真面目な面持ちでそう言った。

(僕は。)クロスティアは、自分の目の前に見えるリアルを見上げた

(もし、意思が伝わるなら…!僕は、また戦士になりたい!!)

ほとんど懇願に近かった。伝わるかどうかも分からない願い。


わずかに、リアルの右手が動いた。その直後。

「あなたは、戦士になりたいのですね?」クロエ神官の言葉が聞こえた

「はい!」

「一度決めた職業は、二度と変えられません。それでもよいですか?」

「はい!!」

願いが叶った。リアルに感謝w

その後、僕はルアスに連れて行ってもらった。


ルアスの町・・・。

町に着いた僕は、さっそく狩りに出かけた
ピンキオのクエストを請負い、確実な方法で経験値やお金を貯める

その日は、Lv1なせいか、狩りに出るなり一気にLvを上げまくった。
結局その日1日でLv1からLv10まで上がった。

そして、リアルがログアウト後。僕は、イアサーバに行った。


イア、ミルレス薬屋地域の民家・・・。

「今日、嬉しかった。リアルがロオで僕のキャラを作ってくれて
一気にLv10まで上げてくれたんだ。」

嬉しそうに話す僕。そして更に・・・

「僕。戦士になりたいって願ってた。そしたら、叶えてくれた」

嬉しさのあまり、つい出た一言に

「多分、シンクロ(同調)したんじゃないかしら?」とラファンが言った

「シンクロ?」きょとんとする僕。

「つまりだ。無意識ではあるけれど、意識のどこかでつながったような
そんな感じだ」

とクーリエが補足説明をした。

「なるほど。じゃあ、オレがイミットベシベシ当ててるときに
リアルが『いっけー!!』とか言ってるアレも同調か?」

とイリュームがつっこんだ

「それは・・・。同調というより、テンションが同じというものでは
なかろうか^^;」

とクーリエが苦笑する

「でしょうね^^;同調は全てのことがつながるとも限らないし、
でも、同調には近いものかもしれませんね」

とラファンは、微妙なコトを言う

「同調なんて難しい言葉はともかく。どっかではつながってるかもね。

オレ達は、リアルに『創られた存在』。だから、いつかは消える。

けど、思うのさ。今までオレ達がこうして強くなれたのは、

リアルとどこかつながってて、そして共感してきたからかなってね」

(どう?)って顔してイリュームがそう言った

「まぁね。」
「確かに。」

クーリエとラファンが頷いた。

僕も何となくで納得できた気がした。


「クシュン!!」

と当のリアルの毬絵は噂されてる事に気が付かなかった。

そして、この話は・・・まだ続く