第3話 課金後・・・。 数日間は、何もなく。ただ普通に過ぎていった。 いつもと変わらず、イアサーバで『ラファン』を使う毬絵。 『ラファン』に内在する魔力が、今日もHPを削られた人への救済となる そう…変な話。この毬絵と言う名のリアルは少々変わっていた。 『アスガルド』の中のプレイヤー達のほぼ8割は、Lv上げに必死である。 しかし、毬絵はあまりLv上げに熱中するほうではないらしい。 『ラファン』を使う時は、回復魔法を常に使っているが そういう日に限っては、狩りにもあまり行かないのだ。 そして、やっぱり今日も考えていた。 『ラファン』で周りの人たちを回復させながら。 (むー、クロスティアをどのサーバに置けば安定するだろう? さすがにイア以外のサーバとなると、セトアとロオの2つになるけど…。) (セトアだと、あんまり人見かけないよね^^;うーむ、困った。) 結局、今日も答えが出ずにいた。 それに反して、毬絵のパソコンのウインドウにはいつの間にか 「ありがとうw」と言いながら祈りのポーズをとる人がまた一人・・・。 その日、毬絵はいつもと同じ時間にパソコンの電源を切った。 その数分後。アスガルドの中・・・。 「リアル、悩んでるみたいねー。」 と洞察力の鋭いラファンがそうつぶやいた。 ここは、ミルレスの薬屋地域の民家の1つ その中で、4人はテーブルについて話し合っている…。 「なんの話?」と話の流れがつかめないイリュームが質問した 「クロスティアをどこのサーバに設定するかで悩んでるみたい」 ラファンは頬づえをついて答えた 「ふーん。オレを使う時は、ノリノリなのに、あのリアル。」 とイリュームは意外とでも言いたそうな表情だ。 「でも、まったく考えがない訳ではなさそうだ」とクーリエは 「ふむ。」と腕組みしている 「?」と当のクロスティアは、首を傾げた 「クロスティアにも分かるように言うよ。」と前置きしてクーリエは 「もし、リアルにとってキャラのステ振り失敗 もしくは、キャラが気に入られなかったら、そのキャラはどうなるかな?」 と質問した 「多分…考えたくないけれど、捨てられる。」とクロスティアが答えた 「正解…。といいたいが半分×」とクーリエは、半分否定した。 「半分×?解答は?」とイリュームがすかさず訊く。 「・・・なるほど、気に入られなかったキャラなどでも Lvが21いってなければ『倉庫』か『チャット用』には使えますわね。」 とラファンが呟いた。 「そう、それが残りの半分だよ^^」とクーリエは、頷いた 「そうだったんだ」クロスティアは心なしか落ち込んでる 「でも、だからといって落ち込むことはない」とクーリエは助け舟を出す 「どういうこと?」と3回目のイリュームの疑問形 「だからぁ、『倉庫』とかって言うと『役立たず』とか思うでしょ? クロスティアの場合。どうもそれとは違うみたいなの。」 とラファンがイリュームに答える イリュームは「???」と分かってない。 「リアルは、クロスティアのこともキャラとしては好きみたいなんだ。 だから、もし4キャラ使うの可能って仕様だったら、 きっと君の事もLv上げに必死になってただろうね」 とクーリエはクロスティアの方を見て、ぷくくっと笑った 「・・・え?」 ビックリした。リアルがそこまで考えていたなんて・・・。 「私たちのリアルは、それこそボロが出やすいけれど・・・。 でも、キャラを捨てるようなコトはしなかったわねw」 とラファンが笑う。 「そうそう。」とつられてクーリエも笑う 何のことだか分からないイリュームとクロスティアに2人は 「私(オレ)達。ホントは、ステ振り失敗してるの(んだ)」 と合唱して言った 「えええええーーーー?!」 僕とイリュームは驚いた。信じられなかった。 「私は『バランス聖』なの。だから全WIS聖よりMPの量が足らないの」 「そしてオレは、『微妙WIS魔』。INTにも振ってあるんだが、 他の要素にも振っちゃったんで、バランスがめっちゃ悪い」 初めて聞いた。 「だからそれ考えると、 イリュームとあなたはある意味『成功作』なのよぉー。^^;」 とラファンが苦笑した。 ちょこっとだけ僕は、自分に自身を持つことができた 僕はリアルから嫌われていた訳じゃないと分かっただけで嬉しかった 次の日・・・僕の行き先は決まった。 その世界の名前は『ロオサーバ』。