古の賢者達〜第8話〜


暇だなぁ・・・・・・

「なぁ、レイク〜〜〜〜」
俺と同じように、所在なげに立っていたルークが話しかけてくる。

「いつまで続くと思う?」
俺の視界に、ルークは入っていない。

ルークは俺の隣に立っているから、見えるわけはないのだが・・・

俺は(多分ルークも)目の前で繰り広げられている戦闘を眺めていた。

「さぁ・・・・・
 ガキどもが気がつくか、サーディアンが悲鳴上げるまでじゃないか?」
「多分そうだろうなぁ・・・・・」

ため息が二人分、スオミダンジョンに吐き出された。

戦士と、修道士が必死に戦い、
盗賊が駆け回り、
魔術師がきょろきょろしながら呪文を唱え、
聖職者が、慌てながら癒しをかける。

絵に描いて、題をつけるとしたら「必死」以外の何物でもない

まぁ・・・・その中で、二人だけ、落ち着いた人物が描かれてしまうか。

騎士は全体を見回して、崩れそうな部分を救い出し、
上級の聖職者は、時々思い出したように魔法を唱える。

すっごい効率でだけど・・・

その「必死」の枠外で俺とルークは、
無謀にも俺達に向かってきたモンスターを、適当にあしらっていた。

まぁ、注意してみないと、
その「必死」の絵の中に、モンスターは見当たらないんだけど・・・


「きゃ〜〜!!」
「なに〜〜〜こいつら〜〜〜〜!!気持ち悪い〜〜〜〜!!」
「おまけに気味が悪すぎるよ〜〜〜〜!!」
「どんどん沸いて、きりがないしな・・・・・」
「いつまで続くんだよ・・・・・」
「同感・・・・・・」
「疲れた〜〜〜〜〜」


ちなみに最初の声から。
シャルロット、ルーシア、カリン、ユリアン、ザビーネ、ジーク、フレデリカ。

ヒルダは呪文に手一杯で、雑談する余裕はないようだ。
今、こいつらが相手をしているのは、"ヘンスタ"と呼ばれるモンスター。

簡単に言えば・・・・・
勝手に這い回る手首。

気味が悪い上に、どこからともなく現れて、まとわりついてくる。
傍でみていると、ヘンスタと戦う冒険者ってこんなに面白いものなのか・・・

"勝手に踊ってるみたいにしか見えないからな・・・・・・"

「さて、どうするよ、レイク。
 最初は見てて楽しかったが、さすがに見飽きたぞ?」

やる気のないルークの声・・・
まぁ。。。。内容自体は同感だが・・・

「仕方ない・・・・・セリス!!」
俺の声に振り向いたセリスは、
歌うような呪文とともに、何度か胸の前で印をきる。

俺とルークに二つずつの呪文がかかる。

俺には"ベストクレリックエイド"と、"マナエイド"
ルークには"ロックスキン"と、"スキルエイド"

"声をかけただけで、やりたいことが分かるってさすがだよな・・・・"

ふとそんなことを思いつつ、
俺は呪文を完成させる・・・

ルークに視線を向けると、親指を立てて見せるルーク。
それを確認すると、俺達二人は、戦闘の中に飛び込んでいった・・・・