暁の魔術師〜第4話〜


本編の前に・・・・・
某スレッドにて、この小説をHPにアップするといいました
が・・・・・・作業進んでません(爆)
もう暫くお待ちくださいm(_ _)m
(別にレス無いからいじけてるわけじゃないよ・・・・[岩蔭|]。。;)いじいじ)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私は、机の上に広げられたいくつかの"モノ"と格闘している。
目の前の巻物には、意味不明の文字の羅列。

なんとなく、古代文字なんだろうな、位は分かるけど、
何が書いてあるのかはまったくわからない。

"それを読むことができたら、何処かのダンジョンに連れて行ってやる"

そう、お師匠様に言われて、
私は何が何でも解読してやろうと思った・・・・・・

お師匠様から渡されたのは、巻物のほかに、

古代文字の辞書(この巻物にかかれている文字は全て載っているらしい)、
古代文字の文法を説明した本(お師匠様が使ってたものらしい)。

それと、ここ数日、サリーさんから教えてもらったことを書いた、
私自身のノート。

これらを武器に、私は巻物へと挑みかかった!!



窓の外は、綺麗な夕日が見えていた。

惨敗。

結局、巻物の10分の1ほどを解読しただけ・・・・・
お昼ご飯食べてから、ずっとしてたのに・・・・・

「無理だよ〜〜〜〜こんなの〜〜〜〜〜」

私は、図書館の中にある一つの机を一人でまるまる占領していた。
"武器たち"を脇に寄せると、机に突っ伏した。

「へ〜〜〜丁寧にやってるじゃない。
 ココまでのところ・・・・・間違いはなし。
 上出来、上出来」

声に視線を向けると(突っ伏したままで)、そこにはサリーさんが立っていた。
手に持っているのは、私が解読した分をメモした紙。

「でも、まだたったこれだけだよ〜〜〜?」
巻物の解読した部分までを、指でなぞりながら、
我ながら情けない声で言うと、

「結構早いほうよ?」
そう言うと、サリーさんは、私の髪を指で梳いてくれた。

「今日はココまでにして、夕ご飯にしよ」

言われて、あたりを見回すと、
他の机で、調べ物をしていたたくさんの魔術師たちの姿は、
一つもなくなっていた。

サリーさんと一緒に食堂へと行くと、
そこには、たくさんの人が集まっていた。

騎士の服を着た人、
魔術師のローブを着た人、
聖職者のローブを着た人。
たまに、ラフな私服を着てる人もいたけど・・・。

バイキング形式の夕飯をトレイに乗せて、
空いている席を探していると、
見慣れた、後姿がみつかった。

聖職者のセリスさんと、盗賊のルークさん。

サリーさんが、二人の座っている机の空いている席に腰を下ろしたので、
私もその隣に座る。

「ごめんね、他に席空いてないみたいだから」
サリーさんがセリスさんに話し掛ける。

「いいのよ。
 大勢の方が、ご飯は楽しいし」
セリスさんが、いつもの歌うような口調でそれに答えている。

「サーディアンは?」
いつもそばにいる、戦士さんの姿を探すサリーさん。

「サーディアンは、見張りやってるよ。
 あんな事があった後だし、警備に狩り出されてるさ」
答えたのは、ルークさん。

私はというと・・・・・・

さっきまでの、ペンと辞書という武器を、ナイフとフォークに変えて、
夕飯のお肉に挑みかかっていた。

「ルーシアちゃん。
 そんな顔してたら、美人が台無しだぞ?
 おいしく食べないと、お肉もかわいそうだろ?」
いつもながらのおどけた口調で言ってくるルークさん。

・・・・言葉遣いは荒っぽいのに、ナイフとフォークはすっごく繊細に扱ってる・・・

聞えない振りをして、
私はそのまま、親の仇のように、
お肉にナイフをつきたてる。

「何かあったの?」
私じゃなく、サリーさんに聞いているセリスさん。

「それがね・・・」
苦笑を浮かべながら、サリーさんが説明をはじめた。

「あはははは!!
 なるほどな〜〜〜それで機嫌が悪いのか、ルーシアちゃん」
説明を聞き終えて、いきなり笑い出す、ルークさん。

「だって、お師匠様、その巻物が読めたら、
 ご褒美にどっか連れてってくれるって言ってたんだよ?
 それなのに、あんな難しいの渡して〜〜〜〜」

とどめとばかりに、最後に残っていたお肉さんに、フォークを突き立てる。

「そんな巻物?見せてみ?」
そう言って、手を出してくるルークさん。

私は、カバンに詰めておいた、巻物を取り出すと、その手に押し付ける。

"どれどれ"と巻物を見つめるルークさん。

「ルークさん、古代文字読めるの?」
真剣に見入っているルークさんに、私は問い掛けた。

「ほんのちょっとだけどな。
 ダンジョンとかで、こういうもの見つけても、
 読めなきゃ価値がわからないだろ?
 だから、少しだけは習ったんだ」
目は、巻物からはずさないまま、ルークさんが答えてくる。

「私たちのPTでは、古代文字が読めるのは、
 レイクと、ルークだけかな?
 私も習ったけど、全然読めないもん」
そう言って、おどけた表情をするセリスさん。

「これ、アイシクルレインの魔術書だな・・・・・」
うん。それは、最初に書いてあったし、私もわかってた。

「・・・・?これ、もしかして、レイクの手書き?」
不思議そうな顔をサリーさんに向けるルークさん。

「それが、違うのよ」
サリーさんは、笑いながら、それを訂正した。

「手書きは手書きなんだけど、
 書いたのは、レイクじゃなくて、カルディス様。
 レイクも、ルーシアちゃんと同じように、
 どこかへ連れてってくれるって約束に飛びついて、
 王宮へ着てすぐくらいに、一生懸命読んでたっけ」

「サリーはね、レイクと同じ時期にここへきて、
 一緒に勉強してた仲なのよ?」
セリスさんが、私にそう説明してくれる。

「一緒に勉強してたのに、
 レイクの奴はすぐに魔力の扱い上手になって・・・・・
 私は、魔法の威力じゃ全然敵いませんけどね」
肩をすくめながら言うサリーさん。

「でも、サリーは、古代後に関しちゃ、レイクよりよっぽど上だろ。
 俺なんか、足元にも及ばないもんな」
そういうルークさんに、照れたように微笑むサリーさん。

「私はそういうのを調べる方が好きだったから。
 それでね、レイクがその巻物を渡されたときって、
 ルーシアちゃんが解読しちゃったところにたどり着くまでに、
 一週間はかかってたわよ?」

「そうなの〜〜〜〜?」
私は、ビックリして、思わず大声を上げてしまった。

「ホントホント。
 でも、レイクは負けず嫌いだから、誰かに手伝ってもらったりせずに、
 ずっと机にかじりついてたっけ・・・・・
 結局全部解読するのに、一ヶ月かかってたけど」

「へ〜〜〜、じゃぁ私は一週間で終わらせちゃお」
私がおどけて言うと、後ろから、

「頑張れば、いろんなところに連れてってやるよ」
いきなりお師匠様が、声をかけてきた。

「お師匠様。って、どうしたんですか?その格好・・・」
いつもなら、上級魔術師のローブを着ているお師匠様が、
今は、普段着。それも、あちこちに泥がついている。

「ああ・・・・これか?」
言って、服をつまんで見せるお師匠様。

「ディグバンカーの報告と、いろいろな雑用のあとに、
 師匠に新しく見つけた障壁の魔法の実験に付き合ってもらってさ。
 それでこのありさま。
 手加減してくれてもいいのにな〜〜」
言って、夕食の載ったトレイをテーブルに置くと、
私と、セリスさんの間の椅子に座る。

「大丈夫?回復魔法かけようか?」
心配そうに言うセリスさんに、

「ああ・・・大丈夫だよ。
 師匠のフレアバーストでも、火炎は全然届いてなかったんだよ。
 ただ、爆圧はどうしようもなくて、吹っ飛ばされてさ、
 何度地面に転がった事か・・・・・」

そう言って、食事をはじめるお師匠様を囲んで、
私を含む四人は、思いっきり笑っていた。