Ancient memory 第七部 U


U


夕焼けが終わり、ルケシオンが闇に包まれ始めた頃。
沈痛な面持ちの4人と怒りに燃える少年が1人。
砂浜に寝かせられた金髪の少女、テイルを見つめるマモとユウ。


意識が無いテイルたちを背負い、海賊要塞から戻ってきた4人の前に立ちはだかったのは黒髪の青年。
突然凄まじい勢いでテイルのことを問い詰めてきた。
一通り話すと今度は怒り始める。

「お前たちのせいでテイルは・・・!」

暗くてよく見えないが彼の目には悔し涙が浮かんでいる。
絶望にうなだれる前に怒りがこみ上げて抑えられなくなったのだろう。
今にも飛び掛りそうな殺意まで見える。

「ごめん、ごめんね・・・」
「俺たちもどうにかテイルを助けたいんだが・・・」
「言い訳なんていらねぇ!テイルを返せ!」

砂浜に寝かせられたテイルが今も呻く3人の名前。
見つめるユウとマモが触れられるほど近くにいるのに気づかない。
気づいてくれない、そんな気持ちに2人はもどかしくなるだけだった。

「あたしたちがいることを教えられないかな・・・」

何の気無しに呟いたユウの言葉に、マモが目を見開く。

「そうか、でかしたユウ。なんとか教えられるぞ」
「そんなことが・・・」
「できる。神の力をなめるなよ」

神官とは思えない、寧ろ何か悪巧みを思いついた盗賊のように口の端をニヤリと歪めた。

「ユウ、テルにパージフレアを放つんだ」

とんでもないことにユウ以外の残る5人が驚く。
ユウだけは何かわかったように立ち上がった。

「お、おい・・・パージフレアって攻撃するモンだろ?」
「うん。モンスターの邪悪な意識を消すためだけのね」
「・・・なるほどね。ミミックが邪悪な意識を送り込んだとしたら打ち消すまでいかなくても・・・」
「テイルはどうなるんだ?」
「テイルは聖職者、例えパージフレアを受けようとも邪悪な意識が無い限り外傷はないでしょうね」

一同が納得したように頷く。
ノーディは待ちきれない様子で2人の様子を見守るだけだ。

「いいか、結局はテルの意識が邪悪な意識に打ち勝つしかないんだ。ワシらはそれを手助けするだけ」
「俺は何もできないけど・・・要は応援すりゃいいんだろ?」
「そうだ!やるぞユウ」
「うんっ」

マモのかざした右手が青い光に包まれる。
ユウに向けて放った魔法は、神の恵み『グレイス』
高位の神官にしか使えない神の意思を込める、聖なる意思を込める魔法だ。
グレイスによって聖なる力を更に上げたパージフレアがテイルの胸に吸い込まれていった・・・


Hunting result
何も出来ないけれど
『応援』