Ancient memory 第六部 W


W

「ついたぞ、ルアスだ」
「メシ・・・」
「お腹すいたぁー」
「ワシの分のパンも食べただろう。先ずは王宮に・・・」
「メシ!」
「ご飯!」
「いや、王宮にだな・・・こら待て!!」

日が一番高くなる頃、3人はルアスに着いた。
しかし王宮へと向かおうとするマモを置いて2人は街の中を駆けていく。
匂いだけを頼りに。

「のぁっ!」
「おっと」

人が多いルアスを駆け抜けていたノーディは案の定誰かにぶつかってしまった。
相手は茶髪を逆立たせた大きな筋肉質の男、あまり痛くもなかった様子で転んだノーディの手を取る。

「す、すいません」
「大丈夫だ。気をつけて歩くんだぞ」
「おーい、ガイ!早くしろよ!」

マモが追いついたときと同時に、遠くから赤髪の男が筋肉質の男を「ガイ」と呼んだ。

「仲間が急かしているな、すまないがこれで」
「・・・ん、どしたまもっさん?」
「なんでもない」

しかしマモの顔は少しだけ、嬉しそうな笑みを浮かべていた。
それが何だかユウには理解できないけれど、マモの笑みを見ることはそうそう無いので少しだけ嬉しい気分になっていた。


「んじゃ俺キキハンバーグランチにセラジュースで」
「お肉しかないのかな・・・あ、パンプキンパイお願いします〜」
「カプリコステーキにプラコスパイスを多めに・・・あとモス酒をジョッキで」
「神官が酒飲むなっつの」
「セラジュースのお子様を卒業したらいうんだな」
「ユウも何か言ってやれよ・・・」
「え、あ、うん。飲みすぎはよくないよ?」
「いや・・・そこじゃなくてさ」
「まぁいい、食べ終わったら今度こそ王宮に向かうぞ。それより広場の様子が変じゃなかったか?」
「ああ、何か変な台が置いてあったな。それと人が全然いなくてさ、ルアスって住宅街にしか人いないのか?」
「普段なら広場に露店や住民がたくさん歩いているんだが・・・妙だな、一応気をつけておけ」

ちょうど食事が運ばれてきた。
無理矢理口にハンバーグを詰め込み、ジュースで流すように胃へと運ぶ。
そんな危険な作業を繰り返しているうちに突然巨大な歓声が響き渡った。

「やはり何かあったな、広場の方からだ!行くぞ2人とも!」
「む、むぐっげほげほ!ま、待てって!」

悲しくもそんな状態のノーディに2人は気づかず外へと飛び出していった。
残り少ない水の入ったコップを持ってノーディはあとを追いかけていく。

Hunting result
初めてのルアス
『出会い』