Ancient memory 第六部 X X 「早く!テイルを追いかけるんだ!」 「で、でもこんな人ごみじゃ・・・」 広場に急いで向かい、そこで見た状況はノーディたちには信じがたい光景だった。 これから探す王子が盗賊風の女性と戦っている。 そしてその後ろで拘束されている見慣れた顔・・・テイルだ。 しばらく様子を見ていたが突然処刑台が爆破し、5人が逃げ出したので反射的に追いかけていた。 「とにかく追いかけて、何が何だか説明してもらうんだよ!」 無我夢中で人を掻き分け飛び越え走り抜けて行く。 しかし外門の近くまで追いかけてきたとき、空間が捻じ曲がっていく。 一瞬光ったかと思ったら追いかけてきた対象は跡形も無くいなくなっていた。 「リンクだ、どこへ飛んだかはわからない・・・」 「くそっ!わけわかんねぇよ・・・そうだ、王宮に行って説明してもらおうぜ」 「無駄だ。というより無理だろうな」 「何でさ?とにかく俺は本当のことを知りたいんだよ」 「ワシだって知りたい、だがテルが殺される状況だったのは確かだ。そしてその地元で知り合いのワシらが王宮に行ってみろ」 「のーちゃんまもちゃーん!!」 耳に響く悲鳴が後ろで上がる。 走っていくのに気を取られユウのことを忘れていたのだ。 案の定何も考えていなかったユウは全部兵士に話してしまったようで、力ずくで連れて行かれそうであった。 「待てっ!」 「なんだ小僧」 「言え!テイルは何をした!王子は何故消えた!」 「貴様に話すことはない」 横を素通りしようとする兵士の前に今度はマモが立つ。 杖の先を兵士の胸に当て、冷たく低い声で呟く。 「その件、ワシも知りたいのだが・・・言えないか?」 「・・・っ!」 兵士は何も言わず、ユウを下ろして3人を睨みつけるとすぐ人ごみの中へ消えていった。 「とりあえず、ワシたちもお尋ね者だろうな・・・」 「あの兵士の仲間が来ないうちに街から離れようぜ」 「で、でもどこで寝ればいいの?」 「野宿だ野宿。今からミルレス向かったら森の中で夜中になっちまうよ」 「ぅぅ・・・やだなぁ、お風呂入りたいよ・・・」 「ほら、急ぐぞ」 ルアスに近い森の中、凶暴なモンスターがいない場所で3人は一息ついた。 マモが状況判断ができていないだろうと説明をし始める。 「まずわかったことはテルが王子と仲間だってことだ。で、テルが何かしたのか王子がしたのかわからないが・・・ とりあえず処刑されるほどのことを起こしたのだろう。そしてワシらもお尋ね者になった」 「とりあえずテイルに会わなきゃ何もわかんないよな・・・リンクもどこ行きだかわからなかったし」 「それじゃああたしたちどこに向かえばいいの?」 「サラセンだ」 「は?」 「明日サラセンに向けて出発するぞ」 「いやいや、サラセンっつったらモンスターでいっぱいの街だってことで・・・」 「友好的かもしれんだろ」 「・・・友好的じゃなかったら?」 「倒す」 「・・・ユウ、お祈り捧げようぜ」 「精々神に祈るんだな」 またノーディがため息を吐く。 いつもマモの突拍子の無い行動に驚いて仕向けられて、迷惑に巻き込まれてきた。 そしてユウも一緒だった。一緒にきりきりまいになっていたが3人はお互いを恨んだことはない。 それが日常でそれが楽しかった。 4人目の友が、あんな状況に陥るとは思わなかったからだ。 Hunting result 事実と疑惑 『戸惑い』