Ancient memory 第五部 U U ここはどこだ? 俺は独りなのか? ミミックは? セルシアは? ラスアは? テイルは? ガイは? ・・・俺は? どっちが地面かもわからない、上なのか下なのか。 もしかすると自分の頭の方が下で足が上なのかもしれない。 もしかすると自分の右手が左で左手が右なのかもしれない。 もしかすると前が後ろで後ろが前で、もしかすると全部違うのかもしれない。 何もわからない、真っ暗で手をかざしても何も見えない。 数センチ先も数ミリ先も暗黒で、一歩進んだら落とし穴。とか不安なので全く動けなかった。 そんな闇の中にまるで昔の映画のスクリーンのように白黒の映像が流れ出した。 そこはルアス広場のあの刑場、演技と言い5人で脱出したルアスの町だ。 セルシアが手首の錠を外し、戦うことになるのだが・・・ 「首を取れ!」 その記憶とは違っていた、王の命令が兵に伝わる。 振り上げられた剣が首に向かって勢いよく振り下ろされる。 そんなハズではない、あの日うまく手錠を外して逃げたハズだ。 鈍く光る刃が赤く染まる、そしてスクリーンは白黒ではなく真っ赤一色になっていた。 違う、違う、違う。 俺は国を裏切りセルシアたちに協力して旅に出た。 古代の道具が戦力に使われないように俺が集めようと誓った。 仲間がやられないようにとも誓った。 ・・・もし国を裏切らなかったら? ・・・国は仲間ではないと言い切れるのか? 額に汗がとめどなくあふれ出る。 仲間を守れなかった衝撃的な映像に喉が渇く。 ・・・見つけた。 スクリーンの赤が滑り落ちる、跡も残らず。 そしてまた白黒に戻り映像が流れ出す。 そこはルアス広場のあの刑場、演技と言い5人で脱出したルアスの町だ。 セルシアが手首の錠を外し、戦うことになるのだが・・・ 「首を取れ!」 その記憶とは違っていた、王の命令が兵に伝わる。 振り上げられた剣が首に向かって勢いよく振り下ろされる。 鈍く光る刃が赤く染まるその直前、スクリーンがノイズのようにブレた。 そこはルアス広場のあの刑場、演技と言い5人で脱出したルアスの町だ。 セルシアが手首の錠を外し、俺の首に短剣を突きつける。 そう、これだ。 国を裏切ったって戦争なんか起きなきゃ全部いいんだ。 古代の道具を集めて、全ての謎が解けたら俺はみんなに説明して処分を頼む。 だから、俺はここで一歩退かなければならない。 そしてセルシアに向けて槍を突き出すんだ。 そのあと国に戻れば俺は処罰されるんだぞ? ・・・そうかもしれないな、だけどそんなことしなくて大丈夫さ。 あいつらと旅していればそんなことしなくて大丈夫さ。 スクリーンが音もなくガラスのようにバラバラに割れる。 その向こうにちゃんとした配色で戦うジェイスとセルシアの姿があった。 ミルレスリンクを使い、空間が交わるシーンで闇が消え去った。 Hunting result 後悔は無い 『信念』