7話、人間やればできる 首に剣が当てられた。 このまま死んでたまるか・・・! 「バーニングデス!」 船長が地獄の炎に包まれる。 船長の服が塵になり、肉が焼け落ちた。 骨だけになった船長は、まだ俺を睨んでいた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「お嬢さん、どうしました?」 ルアスの酒場で憂い顔をしている銀髪の女性に俺は問いかけてみる。 まさかこの時はこの女性が盗賊だなんて思わなかった。 思えないほど綺麗に見えた。 「ほっといてくれる?」 「ため息を吐く女性をほっとくのは男としてできませんね」 「じゃあ私が消えればいいのね」 ぐ、かなり頑固。 「いやいや、君が憂いているのを心配しているだけですよ」 「余計なお世話と取られても仕方ないわね」 「せめて憂いる理由だけでも・・・」 「貴方には関係無いことよ」 もう泣きたい。 でもなんだか本当に心配だ、目が虚ろというか・・・生気が無いようで・・・ 「俺に出来ることがあるならやりますが?」 「じゃあ勝手に着いてきて、私には時間が無いの!」 あぁ、怒っちゃった。 結局着いてくことにしたんだけど・・・こんなヤバイ相手だとはなぁ。 魔術師としての腕には自信あったけど・・・ 度胸は正直無い奴だし、俺。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 船長に向かい、風に乗って走る。 間合いに入り、船長の剣が横に振られる。 それを船長を飛び越えながら避け、後ろに着地する。 振り向きざまに短剣を一突き。 船長はそれをなんとか避けていた。 が、体制を崩し構えが少し低くなった。 額がガラ空きだ! そこへ予備の短剣を2本投げる。 一つはギリギリで避けられたが二つ目は左の肩の骨を砕くほどいい当たりをしていた。 「ふふふ・・・そうだ。楽しいぞ。もっと私の乾きを潤してくれ!」 「そうね、これなんかどう?」 爆弾を投げつける。 それも逆に斬ってくれといわんばかりに真正面から投げた。 船長は剣でその爆弾を・・・ 斬る。 そして爆音。 爆風なら島全体に行き渡るほどじゃないかというくらいの大爆発。 「言い忘れたけど今までみたいなチャチな物じゃないわよ」 「私を・・・ここまで騙すとはな・・・」 さっきの爆発で船長は左肩を付け根から失っていた。 「本気でいくぞ!カーズオールアビリティ!」 呪いの言葉が体を包み、締め上げる。 一瞬の出来事だったが力が出ない。 自慢の足も今では普通の人並みしか速く走れそうにない。 「くっ、体が・・・!」 「終わりだ、君は十分乾きを潤してくれた」 剣が振り上げられる。 ・・・しかし剣が途中で止まる。 「なーんちゃって」 船長の後ろで魔術師がニヤケ顔で立っていた。 船長の胸は氷の槍で貫かれていた。