アスガルド物語〜序章〜その4


そこは薄暗い部屋だった。
木のかびるような臭いで木造だとわかる。

壁の木板の隙間からは、淡い光が射し込んでいた。
だが、そこに立つ者の顔が見えるほど明るさはなかった。

見たいとも思わない。
ロドカプリコは、早くその場を立ち去りたかった。

「お、おこしいただき、こ、こ、こうえいでございます。マスター」

緊張のせいかうまく喋れない。禿げあがった額には脂汗が沸きだしていた。

「ご、ご、ごようは、な、な、」

そこまで言ったところで声がでなくなった。慌てふためき喉をおさえる。
叫んでみても、うんともすんとも言わない。

「お前が、喋る必要はないのですよ。」

安らかで心地よい声を聴きロドカプリコは平静を取り戻した。

「いづれここに、小さな木彫りの人形をもった者が来るでしょう。
あなたには、それを取り戻していただきたいのです。
もともとは私の物でしてね。お願いできますか。」

返事をしたが声はでなかった。あわてて何度もうなずいてみせた。

「フフフフッ、ありがとうございます。
そうそう私の友達にも手伝ってもらいましょう。」

不意にロドカプリコの背後で気配がした。あわてて振り返るロド。

「ギャ」

驚きのあまり奇声を発してしまった。
そこには、1人のカプリコがたっていた。

鉄仮面に黒いマント、背には大剣。

伝説の三騎士の1人。

「エイアグ様〜〜〜!」
「あ、声がでる。」