弟子へ


僕が目覚めたときに見えたのは

見慣れた天井だった。

 

   ・・・夢?

 

それにしても夢だとしても怖かったな・・・

見れば、僕は自分の家にいた。

 

バタン

 

突然、家の戸が開かれた。

 

「・・・起きたか・・・」

 

えーと、この声は・・・師匠の友達さんですね。

 

「・・・おはようございます。」

「・・・おはよう。」

 

あのぉ・・・重い空気なんですけど・・・

なんででしょう。というかなぜ、友達さんが僕の家に?

 

「あのぉ・・・なんで僕の家に・・・?」

「・・・・・・」

 

無言のままの友達さん・・・。

そして、突然何かを投げられた。

 

キャッチしてみると・・・それは

 

ブラッディカウルだった。

 

おぉ、僕はまだ羽など持ってもいない。

師匠に頼んでももらえなかったのだ。

 

「あいつからの最後の贈り物だ。」

「はい?」

 

最後?  え?

ちょっと待ってください・・・

もしかして・・・さっきの夢って・・・

 

「ちょっと待ってください・・・

 最後って・・・まさか、し・・しょう・・・」

「・・・・・」

 

何も言わない友達さん。

赤羽を見る・・・。血がべっとり付いていた。

・・・夢じゃなかったの・・・?

 

「ししょうーーー!!」

 

叫んでも、師匠は戻らない。

現実だった。夢じゃなかった。

夢にしたかった。でも・・・

 

僕から何かが零れ落ちた。

羽帽子に当たり染み込んでいった。

 

「・・・それとあいつからの手紙だ。」

 

そういうと視界に飛び込んできた白い紙切れ。

羽を置き、見てみる。

 

 

 

 我が弟子へ

   君がこれを読んでいるということはもう

  私はこの世にいないということだな。

  ・・・すまない。師匠ということを全然できなかった。

  いろいろ教えたかった。いろいろ見させてあげたかった。

  あいつに頼んで、君を私の弟子から外して貰っている。

  そして、最後の贈り物。私が使っていた羽帽子。

  この羽は、私にとっての師匠と呼べる人からもらったものなんだよ。

  大事に使ってくれ・・・

  最後に・・・

  いろんな人と会い、いろんなことを学び・・・

  いや、私が言えることでないか。

  君といた時間は本当に楽しかった。

  ありがとう・・・

                       君の師匠より

                        シュバート

 

 

・・・師匠。

 

「あいつは死を予期していたみたいなんだ。」

「師匠・・・はどこに!!」

「・・・あいつが好きな場所さ・・・」

 

僕は机に置いてあった手紙を手に、走った。

目指す場所は一つ・・・

        師匠と初めて会った場所