題名不明その5


今回珍しく、アップが早い・・・
とお気になさらずに、受け流してください。
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太陽が大地に飲まれ、マイソシアに闇が訪れた。
人もモンスターもいなく、静寂に包まれていた。

ただ、満月の光が不気味に辺りを照らしていた。


月光に照らされ、動く影が一つ・・・


ミルレスにある家から静かに出てきた。
町の中を通り抜け、ミルレスのはずれにある丘を目指し・・・


ゆっくり進む。月光に照らされ、影の表情は明らかになる。

まっすぐな・・・
そしてもう慣れた行動をしている、といった感じの少年が歩む。


「今日の月は満月か・・・」

空を見上げ、月を見る。

丸い・・・今の空の支配者が
大地に、光をもたらす・・・


目的の場所は、ミルレスから数分もかからず着く場所にあった。

月をバックに木が影を伸ばしていた。
そして、月はもう一つの影を照らしていた。

「・・・ん?先客??」

少年は、その影に気づき、
臨時の戦闘態勢を取りながら、その場所に近づく・・・。



「・・・」
少年は声を奪われた。その影の正体は、自分より幼く見える女の子で
あった。少女は満月をバックに踊っていた。


少年は言葉なく、ただ見つめていた。
月光に照らされた、舞台に舞う、少女。

はっきり言うと、不気味だった。だか、そのせいなのか・・・
綺麗に見えた。そう感じるのは少年自身、不思議だった。

そして、哀しく見えた・・・。

いつの間にか、少年は音を奏でていた。持ってきたハープから
出る音は、少女に合わせたのか・・・哀しく聞こえていた。

少女は、それに気づき、踊りをやめた。

・・・だが、それは一瞬だった。気にも止めず、再び踊り始めた。




少年が奏でる音に合わせて踊る、少女。
観客もいない、文字通り、二人の世界だった。




月が傾いた頃だろうか、
少年の音もやみ、少女が踊ることもやめたのは・・・。


辺りに静寂が訪れ、少女は闇に一礼する。
観客はいない、拍手さえも・・・

パチパチと拍手が聞こえる。少女が振り返ると
そこには、少年が立っていた。


少女は少年がいたことを思い出したようで、
急いでその場から降りようとしていた。

少年は少女を制止しようとする・・・。

しかし、その制止も無駄で、少女は少年が来た道を
走って、闇に溶けていった・・・。

あとには、月光に照らされながら、ただ立ち尽くす少年がいた・・・。