第3話


たくさんメッセージありがとうです。

調子にのって3話をアップしてみました。

たぶん4話あたりから、彼女の復讐の本番が近づきます。

でもエンディングはまだ未定(T∇T)

 

☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ

 

とりあえずルアスの師匠の家に身を寄せる事になった。

彼は何も聞かなかったし、私も何も話さない。

とりあえずゆっくり休めといわれ、疲れと緊張とが一気に噴出し、

あの日以来、初めてぐっすりと深く眠る事ができた。

 

翌日から、地獄のレベル上げが始まった・・・。

ルアスの街で、師匠は顔が広いらしく一緒に歩いているといつも声をかけられる。

師匠の知り合いは大抵、師匠と同レベルかそれに準じたレベルだった。

つまり、高レベル者。

「フォルクス、久々だな。ちっと腕ならしにデムピでもいくか?」

「いや、実は弟子を取る事にしてな。弟子の修行に向いた狩場ならいくが」

「ふむ、弟子はいくつだい?」

「もうじき10になる聖職者だ」

「じゃぁ、リグードあたりがドロ行くらしいから一緒に行くといい」

「あぁ、そうしてみるか。さんきゅ!」

デムピ?ドロ??私の頭は疑問符だらけ。

でもその疑問は数日もあれば解けることになる・・・。

 

「ぎゃぁぁぁ!でかいっ!ししょぉぉぉぉ!!」

目の前に現れたでっかいタツノオトシゴ。

ドロイカンナイト、通称「ドロ」

臆することなく前衛の戦士や修道士が突っ込んでいく。

「ほれ、見てるだけじゃ役に立たんぞ。さっさと補助しろ?」

のほほ〜んと笑いながら師匠はあごで示す。

2日で7レベル上げた。

なんとか他人に『ヒール』という回復魔法をかけられるようになった。

が!それが一体何の役に立つというんだろう。

ドロの1撃は、私がMPの続く限りマイナーヒールを放っても回復できない。

「ほれほれ、早くやらないと仲間が死ぬぞ?」

「くっそぉ!ヒール、ヒール、ヒール!!」

ちっさな頼りない光が前衛の人を包む。

「フォルクスさんって、厳しいですねぇ。ふふふっ」

笑いながら聖職者の女性が補助をしてくれた。

「スーパーリカバリ!」

あっという間にPT全員の体力が回復していく、一安心。

「ししょぉぉぉ!こんなとこ、無理ですよぉ!」

涙目になりながら必死で抗議する。

いつの間にかタツノオトシゴ、ドロはでっかい槍を残して消えていた。

「ま、何事も経験だ。ほれ、次がでたぞ」

「ぎゃぁぁぁ、真っ暗ですぅぅぅぅぅ!」

暗闇でジタバタしている私に、キラキラと暖かい光が満ちる。

「ホーリービジョン!」

茶色の服の聖女さん・・・優しいじゃないかぁ(ウルウル

「おまえぇ!ホーリーくらい覚えてるだろうが!」

師匠のゲンコツが飛んでくる、思わず首をすくめた。

「だ、だって、今まで使ったことなかったし・・・」

「それを使わんでどうするよ。ほれ、さっさと回復やんな。

頑張らねぇとメシ抜きな」

「ししょぉぉぉ!!」

一体何度、ヒールを唱えただろう。

声も枯れた・・・でも、気づいたらMP回復を待つこともなかった。

上級の聖女さんがMPまで補助してくれたという事に気づいたのは、

くたくたに疲れてベットに倒れこむ瞬間だった。

あぁ、早く上級に、なりたい・・・

 

師匠との修行の日々は、連日、ダンジョン巡りだった。

せっかく友達になった同レベルの子達とも、すぐにレベルが離れてしまう。

ダンジョンなど行った事のない友達ばかりで、話もあわない。

そのことが寂しくて、師匠に愚痴った事がある。

でも、師匠は・・・

「お前は友達を作りにルアスへ出てきたわけじゃなかろう?」

いつもの人の悪い笑みを浮かべて、そういった。

そうだった。私は早く上級になって、ママのかたきを!

 

それから、毎日毎日、師匠についてまわった。

ドロ、ジョジョ、気球、竜、海賊・・・。

いろんな言葉も、敵も覚えた。

魔法もどんどん増えた。

毎日が死に物狂いで、でも、決して死にそうな目にはあわなかった。

師匠が、守ってくれていた。

そのことに気づく余裕も、その時はなかったけれど・・・。

高レベルの人たちは、足手まといな私をよく可愛がってくれた。

みんな生死をかけた戦いをしているというのに、明るくて優しかった。

誰に頼まれたわけでもないのに、町の人のために、平和のために、戦っている。

(中にはトレジャーハントのシーフさんとかもいたけれど)

なんでだろう・・・命をかけてまで、何の為に?

 

「フォルクス!いいところに!!」

青いして駆けて来たのは、数日前に一緒に竜へ行った騎士の人だ。

「どしたい、ジュノー。お前が取り乱すなんて珍しいな」

声では笑いながらも、師匠の表情は真剣なものになっていた。

「ミリアが帰ってこない!流れ者の男とペアを組んでそのままなんだ!」

ミリアさんとは、ジュノーさんの相棒の聖さんだったはず。

金の髪が豊かな、綺麗な人だった。

「ミリアが?ちっと道草でもしてるんじゃないのか?」

「そんなはずはない!

俺が、騎士団の用があるから2日だけ別行動でって約束だった。

それなのに、もう2日も帰ってこない。

あいつは約束を破るようなやつじゃないし、それにミリアを見たやつがいるんだ」

「どこで?」

「街と、サラD。得体の知れない男と一緒だったと」

「サラD、だと?」

「あぁ、最下層だ。

最下層での話だと、大量に沸いて出たネクロのど真ん中に、

ミリアだけが取り残されていたと・・・!!!」

サラD、ネクロ・・・

言葉が、頭をゆっくりと過ぎていく。

手足が冷たく、重くなっていくような気がした。

「すまないが急いでパーティを集めるので、一緒に・・・

おい、ユーリアちゃん?大丈夫か?」

心配そうに見つめるジュノーさんに、頷く事さえできなかった。

喉の奥が乾いて、声がでない。

「おい、ユーリア。ユーリア!!!」

師匠が腕をつかんだような、気がする。

目の前は、真っ暗だ。

サラD、最下層、ネクロ・・・サラD、最下層、ねく・・・ろ・・・