第1話


聖女っていうと清らかで儚げなイメージがします。

でも、こういうのもアリかな?と。

いろんなご意見いただけたら、励みになります♪

では Go♪

 

☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ〜☆ミ

 

私は、聖職者。

神に仕え、傷ついた人々を癒す為に存在する。

だけど・・・

私には、殺したい相手がいる。

聖職者でありながら私は、復讐のためだけに生きている・・・。

 

小さい頃、パパとママとで幸せにミルレスで暮らしていた記憶がある。

だけどパパはルアス王宮の騎士団で、時々ルアスに仕事にでかけていた。

パパの働きだけで十分暮らしていけるから、ママは聖職者だったけど、

私が生まれてからは、パパ以外の人とはパーティを組まなくなったの。

なのに、あの日・・・。

パパが騎士団の仕事で家を空けてから3日目。久々にママがフル装備していたんだ。

「ユーリア、すぐに戻ってくるからおりこうに待っててね?」

優しく微笑んだママは上級職の服を着ていたのを覚えている。

「ママ、どこにいくの?」

しがみついた私を困ったようにみて、ママは微笑んだ。

「ちょっとお仕事。でもすぐに戻ってくるから、ね?」

ちらりと、扉のところに立つ人影が見えた。

逆光で顔はよくわからなかったけど、大柄な戦士の男のようだった。

「うん・・・わかった」

ママが私を置いてどこかへ行く事はほんとにまれなことだったから寂しかったけど、

でも、ママはいつだってすぐに戻ってきてくれたから、私は大人しく頷いたんだ。

「明日はユーリアのお誕生日だから、おりこうにしていたらいいことがきっとあるわ」

悪戯っぽく笑ったママは、その笑顔を最後に帰らぬ人となった・・・。

 

何があったのか知ったのは、その日の夜だった。

お仕事で騎士団につめているはずのパパが、お友達の騎士の人を連れて戻ってきた。

「ママは?!」

帰るなり聞いたパパの勢いに押されて、ただ、首を振ることしかできない。

「ママは、ちょっとお仕事だって・・・まだ・・・」

「なんてことだ!!セシア!!」

パパはテーブルに顔を伏せてしまう。

どうしたの、何があったの・・・

不安にかられて私は周りをみた。

いつの間にか集まってきた町の人たちの中で、特にママと仲が良かったおばさんが

私のことを抱きしめて泣いていた。

「あぁ!あんなことなら、掲示板のこと、教えなきゃよかったよ!!ごめんよ!!」

苦しいくらいに抱きついて泣くおばさんの言葉が頭にひっかかる。掲示板?

「ユーリアちゃんの誕生日だから、ネクロスタッフを採りに行くのにちょうどいいなんて

私がすすめなきゃ!あんなどこからきたのかわからない流れ者の男に!!」

ネクロ、スタッフ?

「リアさん、もういい。リアさんは、悪くない。悪いのは、その戦士だ・・・」

力なくパパが顔を上げて言った。

涙の跡がある。

「非番の騎士が、ネクロ巣の偵察をしていて、たまたまセシアに似た聖女をみかけたそうだ。

ネクロに囲まれて、必死に回復をしている彼女を置いて戦士はゲートで逃げたとか。

うちの騎士が助けようとしたのも間に合わず、セシアはネクロに連れて行かれてしまったと・・・。

くそっ!」

戦士が、ゲートを?

ようやく幼い私の頭にも事情が理解できてきた。

ママは、見捨てられたんだ!パーティを組んでたあの、男に!

「ユーリア、ママはもしかしたらもう・・・」

まっすぐにパパが私を見つめた。私はただ、頷いた。

「掲示板にあった戦士の名前を騎士団で調べてみたが、登録がなかった。

偽名を使っているか、もしくはルアス出身の戦士ではない者か。

いずれにせよ、至急調べて突き止めてやる!」

その夜から3日間、私はたくさん泣いた。

ママとの想い出の品を並べて、ママとの言葉を思い出しながら、泣いた。

そして泣きつかれた4日目の朝、私は復讐を決意した。

いつか、この手で、あの男をママと同じ目にあわせてやる!

見捨てられて嬲り殺される恐怖を、味あわせてやるって。

 

神に仕える聖職者を選んだ私が、復讐を誓うなんて許されないことかもしれない。

だからこの気持ちは、誰にも言えない。

とりあえず人が多く集まる場所に手がかりを求めよう。

そうだ、ルアスへ行こう。ルアスで、アイツを探し出してやる!