I wish … “Next stage”


アスク帝国首都、ルアス王宮。

そこに、マイソシア大陸に生きる全ての人々が、終結し、
王宮前の庭園に設けられた、とても大きい演説台の上に歓声を送っている。

台上の、この帝国の王 ザックス=アスクティア3世は、
民衆の歓声に、手を振りながら答え、演説台についた。

その台には、王宮魔術師マイトが、
“この日のために”用意した、音声拡散器がついている。


「今、アスク帝国国王として、諸君に伝えることがある!」
風の魔力を利用したそれは、全ての人々にとどくほど、大音量で、王の声を放送する。

「我々は、長く悲惨な戦争に、決定的な勝利をもたらした。
 敵の王、ガルフラントはもうこの世にいない。
 ここに、 我々アスク帝国、いや、今を生きる人々全員の勝利を、ここに宣言する!!!」

「うぉおおおおおおお!!」
全ての人々が歓喜の声をあげ、叫び、隣人と抱き合い、その勝利を祝った。

王宮前は、爆発したような声に包まれ、
半壊した町が、今、勝利と明日への希望でみちあふれている。

「静かに! ここに、この戦争に決着をつけてきた。6人の勇者を紹介する!!
 おまえたち、段上に上がれ!」

脇に控えていた立派な鎧と、マントをはおった騎士、スルト。
王宮専属の魔術師、レイチェル。
情報収集部、盗賊のエイリーン。
そして、修道士ミラと、聖職者ミレィが段上に上がった。

 パチパチパチパチ

拍手喝采、割れるような音が響いてくる。

「ここのものたち、6人が…いや、今は五人だが…」
王が、少し困った顔を彼らに向けた。

「レヴン=クレイツァーはまだかえらないのか?」
小声で、王がレイチェルに聞いた。

「えぇ…、まだです。」
顔を強張らせ、俯くレイチェル。

「もしかしたら…、レヴンは…」
スルトの顔もくもっている。

「バカッ! そんなこといっちゃだめでしょ。ただでさえミレィちゃん…」
恐る恐る、ミレィの顔を覗き込む王と4人。

「え? 何?」
緊張した顔つきながら、暗い表情はみえない。

 私は…貴方がかえってくるって信じているから…

人々の拍手はとまらない。
次の言葉を待っているようにもみえる。

「オホン、では、一人一人、わが国の英雄を紹介していこう」

「王宮騎士団新団長、スルト!!」
スルトが一歩前に出て、お辞儀をする。

人々の歓声もピークに達する、周りから聞こえるスルトコール。

「次、王宮魔術師…」
5人は、それぞれ順番に前に出て、会釈をしていった。

そのたびに名前がコールされ、沸き立つ民衆。

ついに、彼の順番、今はいない空席の彼。

「次に…今は消息不明だが…、我々を、もっともよく助け、勝利に導いた…」

「おい! あれみろ!」
民衆の中から、不意に驚愕の声が広がり、一点を指差している。

「え…?」

段上の彼らも、指差す方向を見上げた。

「なにあれ!?」

演説台の上空に、黒い光がもやのように集まっていく。
そして…空間が音もなく縦に裂けていく!

その中から…

 バッ!!

演説台に何者かが飛び降りた。
黒い長髪を揺らし、漆黒のマントと法衣を身に纏い、背中には巨大な剣の柄…

「すまん、遅れた。」
その男は、少し笑って肩をすぼめて見せた。

「レヴン=クレイツァー!!」
王が力の限り叫んだ。

「わぁああああああ!!」
民衆も、驚きがおから一点、怒涛の拍手喝采。

「レヴン!!」
そして、段上で仲間に次々とだきつかれる彼。

最後に…、彼はミレィのほうへと向き合った。

「ただいま、ミレィ。」

「おかえりなさい…、レヴン!」
二人はその場できつく抱き合い、そして…口付けを交わした。

二人だけの時間へはいっていき、見つめあう二人

民衆の歓声が、バックコーラスのように響いている。


レヴン=クレイツァー、ただいま帰還。

そして、物語も“Next stage”へ・・・