I WISH ・・・5 〜窮地〜


「フッ、ざっとこんなものさ」
ドロイカンを倒し、得意げに呟くレヴン。が

「ん…いない?」
それを聞く二人の姿が見えない。

 おかしいな、そんなに移動してないはずなんだが…

ーブラストアッシュ!!   スーッ

スルトの槍に射抜かれ、煙と消えるドロイカン。

「リカバリィ!、調子いいね〜スルト。 けど今日は空き過ぎてない?」
たしかにいつもは冒険者のグループをよくみる場所だが、今日に限って人影もない。

「あ〜スルトスルト!もう一匹きたよ〜」

「ひえ〜、数も多いねぇ、レヴン何処言っちゃったんだろ。」

そんなことをぼやきながら槍を構えて走り出すスルト。

ドロイカンを射程距離にとらえたとき、
遠くから巨大な光弾がとんできて、ドロイカンに炸裂する。

「ツバメ返し!」
ドロイカンがひるんだ隙に、もう一人飛び出してきた戦士が切りかかる。

前後からの凄まじい連続攻撃を受け、ドロイカンは一瞬で煙となり霧散していった。

「あれ〜、まだ人がいたの。ここは立ち入り禁止だ」
剣を肩に担ぎ、戦士が言ってくる。

「そうそう、ここは俺たちの狩場だ、雑魚は出て行け、シッシッ」
にやけた顔つきで修道士。

そう、狩場に人がいない理由、それは彼らが手当たり次第に襲っていったから・・・

「なによそれ〜! おいだそってわけぇ?」顔を真っ赤にして怒るミレィ。

「落ち着いて、ミレィ。 けど、ここは誰かが占領していい場所じゃない。
それがわからないなら、僕が貴方たちを排除する。ルアス王宮騎士の名にかけて!」

そういって槍を構えるスルト。 彼の体からオーラがにじみ出る。

「俺たちと戦う気らしいぜ、ククク、相手になってやるよ。」
戦士は剣を構え駆け出し、修道士はうしろで掌に光を集める。

 く、、、僕たちの方が不利なのはわかってる…けど僕の正義にかけて彼らを倒す!



ボォォォォ!!

ドロイカンが青い炎を吹く。
それを瞬時に後ろに跳んで避け。手を地面に押し当てる。

 メガスプレッドサンド!

魔法により生み出された衝撃、
それにより発生した大量の土砂の津波がドロイカンを飲み込む。

 ドスン  横転したドロイカン。

その横に瞬時に人影が現れ、
その首を三日月の形をしたオーラが跳ね飛ばす。

首が地面におちるかいなかのところで、ドロイカンの両断された死体は煙と化した。

 二人とも何処にいる…なんだか、不吉な予感がする、、、!

「きゃあああああ〜スルト、スルト〜」ミレィの泣き叫ぶ声が海岸に響き渡る。

スルトは血だらけで戦士の前に倒れている。まだ息はあるが、危険な状態である。

「へっ、雑魚のくせにかかってくるからだ、ペッ」
修道士がミレィの細い腕をつかみ、無理やり引き寄せる。

「この女はもらってくぜ、雑魚い騎士さんよ〜」

「いや〜、離して、離してってば」

蹴りを懸命に入れてみるも修道士の鍛えられた体にびくともしない。

「グッ…ミレィ…を、離せ…」消え入りそうな声でスルトがうめく。

「はぁ? まだいうかこの雑魚が。とどめさしておこうか? おい」
修道士が足を上げた瞬間だった。

「なっ、なんだこの気配。」
戦士と修道士が同時に後ろを振り返る。

強烈な殺気が伝わってくる。
二刀を構え、二人をものすごい殺気を発しながら睨んでいる。

「レヴン!」

「てめえら…殺す」
いうが早いかものすごい速度で二人に突っ込んでいく。

 キンッ 剣と剣がぶつかりあう。

「なかなかやるな、、、だが、その程度じゃ俺はころせん!」

 バーサーカーレイジ!
その瞬間、戦士の気が膨れ上がる。

常人ならざる力でレヴンの剣が押し返されていく。

押し返される力を利用し、大きく後ろへ跳躍し、間を取るレヴン

「俺も本気でいかせてもらおう」

 そう、深淵の闇として…

宙に剣で魔法陣を描く、彼の魔力が急速に周りの空間へ溶け込んでいく…

 魔導剣術ーストームシールド

突風が巻き起こり、彼の黒い長髪が大きく風になびく。彼の体に風が巻きついていく。

 ブォン! 彼が動いた。

風が彼の動きをさらに速め、眼にも止まらぬ速度で疾走していく。

そして、戦士へと切りかかった。

 キンッ、キンッ! レイジで限界まであげられた戦士の剣速は彼の剣を捉えた。

が・・・

彼を取り巻く疾風で大きく体勢を崩される。

その隙を彼は見逃さない。

 一刀剣術・・・「飛燕」!

戦士の刀の下をかいくぐり、
彼の懐へ飛び込むと、高速で下から上へと切り上げる!

それは戦士の鎧をいとも簡単に切り裂いた。 

「グアッ!」
大きく後ろへ吹っ飛んだ戦士へ、彼はさらなる追い討ちをかけようと走り寄る。

が、後ろから巨大な気の塊が飛来し、彼はそれをギリギリ横へ跳ぶことで回避した。

修道士はまたも拳に光をため始める

 クッ、、、あの技はやっかいだな。 うたせない。

修道士の前に走り寄る、まだ光弾は完成していない。

容赦なく首を狙った斬撃がくりだされる、、、が、

彼は激しい衝撃を受けてうしろへ吹き飛んだ。

グッ、、、一瞬で足技にかえるとは。。。

「エネミーはフェイクだ、残念だったな!」
修道士が渾身の正拳を繰り出した。剣の刃でそれを受け止める。

 ボキッ 剣が砕け散り、正拳をもろに頬にうけてしまった。

レヴンはうしろへ吹き飛ばされ、受身も取れずに地面へ投げ出された。

「どうした〜? それまでかぁ?」

「レヴン〜!!」 手足を縛られたミレィが叫んでいる。

「まだだ、、それくらいで俺が倒せるとでも?」
と残った剣を地面につきながら立ち上がるも、
口からは血が溢れて、視界は衝撃でかすんで見えている。

不意に横に気配を感じた。
慌ててレヴンが振り向くと、戦士が大きく剣を振りかぶっている。

 ガキンッ! 

慌てて剣で受け止めようとするも、レヴンの剣は真っ二つにわれてしまった。

そのまま蹴撃を喰らい、また吹っ飛ばされ、地面へ倒れる。

 もう、戦えないのか…

「終わりだな。」
戦士が彼に剣を振りおろした。