My Way 亡王の娘[前編]


コンコン

扉をノックする音が聞こえる

「淕、魅悠、起きてる?」

ワンの声だ

「あたしは起きてるよ〜、淕はまだ寝てる」

「そうか・・・・・・、俺らは買い物してくるから、淕と2人で待っててくれないか?」

「うん、わかった〜」

あたしの返事を聞くと、足音が遠のいていく



「・・・・・・誰か着たのか?」

淕は寝返りを打ち、あたしのほうへ向く

今あたしはベッドの上に座っていた

「ワンが、買い物行くって」

「アイツも買い物好きだなぁ・・・・・・」

頭をかきながら言う淕

「だねぇ・・・・・・」



静かな時間

「昨日は・・・・・・ゴメンな」

「謝ることじゃないってば!」

そう言って、あたしは淕のほっぺたに人差し指をさす

「痛っ」

淕は笑いながらほっぺたを押さえる

あたしも、淕の行動がおかしくて笑ってしまう


淕が・・・・・・いつもの淕に戻ってよかった・・・・・・

「あいつら帰ってこないかな〜」

そういうと、立ち上がり、紙をかきあげる

「帰ってくる前に風呂入るかな〜」

「んじゃ、俺も一緒に」

「・・・・・・」

あたしは何も言わずに杖を握る

「すまん・・・・・・俺が悪かった・・・・・・」

すこしおびえながら、謝る淕

「じゃ、お風呂入ります!」

淕はベッドに座って

「いってこ〜い」

と気楽に言っていた



あぁ〜・・・・・・お風呂ってイイなぁ・・・・・・

すっごい落ち着くわぁ〜・・・・・・

久々にお風呂・・・・・・

やっぱいいねぇ・・・・・・



そんなことを考えてるうちに

「ただいま〜」

ワンとレイレンの声

「おかえり〜」

ちゃんと返事する淕

「魅悠は?」

「風呂」

「てか・・・・・・スリにあった」


・・・・・・え?

あたしは急いでお風呂から上がる

手早く着替えを済ませると、3人のもとへと走る



「スリにあったの!?」

「そうそう」

恐るべしルアス・・・・・・

「で、いくらとられたんだ?」

淕は冷静に聞く

「あぁ、5百ぐらい」

少ないな・・・・・・

「少なくてよかったなぁ・・・・・・」

淕も安心したように言う

「半分ぐらい置いてたからな。買った後だったし・・・・・・」

だ、誰がスリなんか・・・・・・

「まぁ、被害も少なかったし、いいじゃん。な?」

眉をひそめるあたしの頭を軽く叩き、言う淕

昨日のコトは怒ってないんだなぁ・・・・・・

よかった・・・・・・



「まぁ、別にソレはいいんだが・・・・・・」

ワンは手近にあったいすを引き寄せ、座る

「レイレンが言うには、な。知った顔らしいんだよ・・・・・・」

あたしと淕はレイレンのほうを見る

「見つめるなよ恥ずかしい・・・・・・」

こんなときでも冗談は忘れない

「いや、早く言えよ」

突っ込む淕

「ルアス王が5年前に病死したのは知ってるか?」

「知らない」

声を合わせるあたしたち3人

硬直するレイレン

「だって、俺たちミルレス育ちだし?」

「なるほど・・・・・・」

「で?病死ってコトは暗殺か?」

さらりと言う淕

「あぁ、親父はそう言っていた。

親父は一応騎士団長を勤めてるから、そういったことはすぐ分かるらしいんだよ」

「レイレンのパパって偉いんだ〜」

「家では子煩悩だったが」

多分レイレンは可愛がられて育ってたんだろう

・・・・・・パパ好きだったんだろうなぁ・・・・・・

「話を戻して、王や王妃、皇太子も殺されて、残ったのは姫だけだったらしい」

「お姫様は生きてたの?」

「殺される前に、親父が逃がしたらしい」

かわいそうに・・・・・・

いくつだったんだろう?

「で、スリとどう関係があるんだよ・・・・・・」

ちょっとイライラした口調で言う淕

「スリは、女だった」

「え・・・・・・?」

「俺が思うに、姫だったと思う・・・・・・」





「俺たちと同じぐらいの歳だったんだ」

ワンは腕を組んで考え込む

「姫が生きているなら、17歳」

あたしよりひとつ上かぁ・・・・・・

「ルアス姫がスリ・・・・・・ねぇ」

険しい顔をして言う淕

「生きる為・・・・・・か」

ポツっと呟くレイレン

「探そうよ!!」

あたしは大声で言う

「だって、お姫様だったんでしょ?そんなことさせちゃだめだよ!

しかもスリが出来るってことは、結構腕のいい盗賊ってコトじゃない?」

「だな・・・・・・」

「姫が王宮や、関係者の下へ行きたくないって言うなら、あたしたちと一緒に行けばいいことじゃん?」

女が独りってのが・・・・・・ちょっと辛いんですよ

「俺も賛成、俺が魅悠の護衛してる間はワンのみ前衛だろ?」

「だなぁ・・・・・・」

苦笑して言うワン

う、うるさぃなぁ・・・・・・

「前衛が増えるのはイイコトだ」

「みんな賛成?」

レイレンのほうを見て言うあたし

「俺も賛成だ、親父は最後まで心配してたし・・・・・・な」

ルアスにきて最初にすること


姫を探すこと