My Way 長くて短い夜[後編] シャリン・・・・・・カチャリ・・・・・・シャリン・・・・・・カチャリ・・・・・・ 金属音が聞こえてくる まだまだ遠い 「・・・・・・ネクロかな」 小声で言う淕 もう荷物をまとめ始めている 「だろうな・・・・・・」 水をかけていたナベと、あたしが着ていた毛布をカバンに詰める 「魅悠、お前は逃げろ」 「・・・え?」 「お前まで死ぬことないさ」 ポン、と頭を叩いて言う淕 「聖職者なら、足は早いだろうな」 丁寧に磨いていた剣を、鞘から抜き放つワン 「・・・一緒に行くよ」 木で出来た杖を握り、立ち上がるあたし 「足手まといになると思うけど・・・」 「死ぬ覚悟は?」 とっくの前から、出来てますよ〜っだ 「死にたくないから、戦うんじゃないの?」 2人に言う 「あたしは、生きたい。だから、逃げたくない」 フッと笑う、2人 「あぁ。解かった」 「行くぞ」 ゆっくり、歩き出す2人 その後ろを、ついていくあたし 少し、歩いてからだろうか 明かりが見える ネクロの音がした方向だ 誰か戦ってるのかな・・・・・・? 「急ぐぞ」 「あぁ」 2人が走る あたしも、追いかける 予想通り、ネクロと思われるものと1人の魔術師が向かい合っていた レベルは、ワンたちより少し高いぐらい、暗くて顔は見えない セルフヒールで回復をしてはいる・・・・・・ でも、このままじゃ・・・・・・ 「行くぞ」 「アタリマエだ」 あたしが色々なことを考えてる間に、ワンと淕はもう、動いていた 最初に、ワンが斬りこむ ズシュッ・・・・・・ ネクロの注意がワンへ向く 「うらぁぁぁっ」 習得したばかりの、稲妻パンチ ヒットアンドアウェイの要領で、当てては下がる、淕 大半の攻撃は、ワンが受けていた 2人が戦っている間、あたしは突っ立っていたワケじゃない 「大丈夫?」 魔術師のところへ、駆け寄る 「・・・・・・どうにか」 声は、低い。 男の人のようだった 「これ、薬」 「・・・・・・ありがとう」 ずいぶん消耗しているのか、口数が少ない 「・・・・・・あの2人も、危ないな」 フラフラだが、立ち上がる魔術師さん 「大丈夫だよ、きっと」 「奇跡が、起こるのか・・・・・・」 魔術師さんは、おぼつかない足取りでネクロに近づく 左手には、真っ赤な炎のカタマリ ファイアーボール 「どけっ」 少し怒鳴り、ファイアーボールを飛ばす魔術師さん ワンも気配を察したか、ネクロの元から飛ぶ ドゥン 結構、大きな音 あたしはこのとき、初めてネクロを見た 何て、禍々しいんだろう・・・・・・ こんなものが、こんなところに居ていいのかな・・・・・・ そうとしか、言い表せなかった 「ハッ」 気合とともに、ネクロの頭に剣を振るうワン 淕も近づいては離れ、近づいては離れる 2秒おきぐらいに、繰り出されるファイアーボール あたしは、何も出来なかった このとき以上に、自分の無力さを感じた日は無かった そぉ言えば・・・・・・ 昔、1度だけ先生にマイナーヒールを教えてもらったことがあった 『貴方が助けたい人のことを考え、祈りなさい』 ワン、淕、魔術師さん 誰にも・・・死んでほしくない・・・・・・ 思いをえがく セルフヒールと、要領は同じだ 回復させたいのは・・・・・・ 自分じゃない、誰か 自分を信じれば・・・・・・ 何だって出来る!!! 目をつぶり、ワンへ杖を向ける 自分の気が、ガクンと抜ける ワンの傷が、多少だけど治ってる気がする・・・・・・ 成功した・・・・・・のかぁ・・・・・・ 調子に乗って淕や、魔術師さんにもかける あたしにも、力になれることがあるんだ・・・・・・ ザシュッ バジィ ドゥン 執拗なまでの、3人の攻め ・・・・・・勝てる? 何度目かの、マイナーヒールを唱えたあと ネクロの注意が、何故かあたしのほうへ向く シャリン・・・・・・カチャリ・・・・・・シャリン・・・・・・カチャリ・・・・・・ 「え・・・・・・」 少しずつ、近づいてくる。 3人は必死に注意をそらそうとするが・・・・・・無駄のようだった 間近に迫る、ネクロケスタ 背は2m近く 持っていた、何かの骨で出来た杖をあたしに振るう これが、最後か・・・・・・ 硬く目をつぶり、覚悟をした瞬間 グルギャァァァァァァァァァァァァァァァ ネクロは天を仰ぎ、叫び声を上げる 恐る恐る目をあける・・・・・・ そこには・・・・・・ 「魅悠に・・・・・・近づくな」 修羅のような目つきをして、ネクロの腹部に剣を刺しこんでいるワン 剣は腹部を貫通している 血液らしきものは、まったく出ていない 変わりに黒っぽい煙が少しずつもれていた・・・・・・ 「バケモンが」 ネクロの顔面へ、稲妻パンチを放つ淕 すさまじい勢いだったのか、顔が割れる 「レディは丁重に扱うものだろう?」 腰が抜けて立てないあたしを、ヒョイと抱きかかえる魔術師さん 「え?あ・・・・・・あの」 ボケーっと、魔術師さんを見つめてしまうあたし だって、凄い綺麗な人だったんだもん・・・・・・ 「もう、ネクロは死ぬだろう」 ワンは、ものすごい怪力でネクロの腹部に刺さっている剣をゆっくりしたへ下げていく 引き裂かれてゆく、ネクロの身体 淕はひたすら、頭部を殴り続ける 痛みに暴れる、ネクロケスタ あんなに恐ろしかったのに、今はもう・・・・・・ ある種の同情さえ感じてしまう・・・・・・ どんどん、2つに裂かれていく身体 割れていく頭部 抵抗する力もどんどん衰えてゆくように見える ズズズ・・・・・・ズブシュ ワンが剣を抜く 腹部から下は裂かれていた 淕も手を止める 頭部は、もうグチャグチャで、黒い煙が立ち昇っていた 「魅悠!大丈夫か!!」 剣を鞘に収めないまま、こっちへ走ってくるワン 「うん、腰が抜けただけ」 「そう・・・・・・か」 安堵したような、ワンの顔 「大丈夫だよ」 笑って言うあたし 淕はまだ、ネクロの死体を蹴り続けていた 「淕ぅ、もう死んじゃったみたいだからこっちおいでよ〜」 あたしが声をかけると、こっちへ来た 腰が抜けたままのあたしは、魔術師さんの手からワンの背中へ移された 「名前は?」 ワンは、友好的な微笑を浮かべ聞く 「俺はレイレン、そっちは?」 「DRAGON ONE」 「魅悠〜」 「淕だ」 「強いんだな、PT組んで長いのか?」 レイレンは微笑み、そう聞いてくる 「いや、まだ3日・・・・・・ぐらいだ」 「その割には、仲が良いな」 「まぁ、な」 何故か淕は、面白くなさそうに何も言おうとしない 「レイレンさんは、1人なの?」 「あぁ、魔術師は聖職者とは違ってあまり歓迎されない職業だからな」 苦笑しながら言うレイレン 「そうなの?」 「あぁ、理由はよく知らないが・・・・・・」 「これも何かの縁だし、一緒に行かないか?」 今まで黙っていた淕が、ポソっと呟く 「いいのか?」 不思議そうな顔をして言うレイレン 「あたしは全然おっけ〜」 「俺も、賛成なんだが?」 微笑むんで答えるあたしとワン 「断る理由は?」 意地の悪そうな微笑を浮かべて言う淕 「無いな」 右手を差し出し、言うレイレン 「これから、宜しく頼む」 「こちらこそ」 「よろしくね〜」 「短い付き合いにならないようにしないとな」 1人づつ、握手をしていく 旅は道連れ。ってね♪ 「ねぇ、眠たい」 ワンの背中で呟くあたし 唐突だろうが関係ない あたしは眠い 「もう、夜明けだな」 ヘイキな顔で言うワン 「早いな〜夜明け」 「俺たちは何時間戦ってたんだ?」 町のほうへ向かいながら言うあたしたち 「眠たいぃ〜・・・・・・」 あたしはもう、駄々っ子状態だ 「俺の背中で寝とけ」 ワンは、おぶったあたしに言う 「そうするぅ・・・・・・」 薄れゆく意識の中、少しだけ聞こえた声 「お姫様は、おねむかぁ」 クスクスと、笑い声がする 「世話が焼けるんだよな・・・」 「殺されかけたとき、必死になってた癖に」 「お前もお姫様抱っことかしてただろ?」 「うらやましいのか?」 「そんなんじゃネーヨ!!」 半分寝ていたあたしには、誰が誰の声だか判別できなかった これから、楽しくなるといいなぁ・・・・・・ 続く -------------------------------------------------------------------------- 粗雑な戦闘シーン・・・・・・スイマセンでした・・・・・・。 もっと精進しますっっっm(__)m
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