第1章 :血が導いた道D


自分に聞くこと・・・・・・そう言われて私は初めて考えた。

私にとってあの詩は大好きで、知っていることが当然で・・・・・・。

寂しくなったりするとよく妹と2人で歌ってた。

”光に続くその道は・・・・・・”

考えていたら、優しい声が聞こえた気がした。

その心の声に耳を澄ませるとぼんやり・・・・・・でもはっきりと、女の人の後姿が見えた。

「・・・・・・ママ?」

思わずつぶやいた言葉に私自身、驚いた。

見上げてみるとロディーさは意を得たように頷いている。

「ママ??」

と言ったのはレヴィンくん。

「少しは思い出したかな?」

そう言いながらロディーさんが見せてくれたものは小さな頃の私と妹とロディーさん?

が3人で写っているSS(スクリーンショット)※1・・・・・・。

「シヴィルさんはね、俺の見習い時代良く面倒みてくれた人でね」

ロディーさんが再び口を開き始めた。

「1回だけだけど、家にも遊びに行った事があると言うわけさ。その時のSS。

・・・・・・もう10年前かな」

「俺には決まった師匠はいないかったし、今もいない。

正確には弟子なんてとらないって言われたんだけどね」

「俺にとっては師匠だよ。フィリアのお母さんは」

ロディーさんが私を見つめながら言った。

「フィリアみてると、生き写しでさぁ。会った時に運命感じた。変な言い方だけど」

「どういう形であれ、フィリアのことは支えていきたい。約束だからね」

「・・・・・・一つだけ教えてくれませんか?」

ロディーさんが頷いたのをみて、私はずーっと閉まってた疑問を口にした。

「私の両親って、今は・・・・・・どうしてるんですか?」

先の答えは分かってた。でも聞きたかったんだ。

「・・・・・・生きているなら、フィリアが知らないと思うかい?」

返ってきた答えに、何もいえない自分がいた。

「詩を知ってるのは、もう分かってるとは思うけど・・・・・・

シヴィルさんがずっと聞かせてたんだよ。子守唄代わりにね。

もう戻れない故郷を思って・・・・・・そしてフィリアは聖職者の道を選んだ。

その先の答えは、自分の中に眠ってるさ」

「これから冒険をして、色んなものを見て、色んな経験を積んで・・・・・・。

想い出は自分で探していけばいい。過去の思い出も、今も、未来も」

「冒険者の間にずーっと口伝えになってるこんな詩がある」

 "求めるものは違うとも
  変わらず刻まれる物 それは何か?
 
  名をあげるもの 闇に去るもの
  道はそれぞれ違うとも
  心に刻まれる者であろう

  いつしか最期を迎えようとも
  どこかで生きれる者になろう"

詠い終わった後で、古代語の意味が分かっていない私たちにその意味を教えてくれた。

「要するに一流の冒険者は力でも富でも何でもなく・・・・・・ってことだと俺は思う」

そう言いながらロディーさんが私を厳しい目で見つめた

「聖職者ってのは、生と死と・・・・・・どちらにも向き合わなければいけない。

他職でもそうだけど自分のミス一つで、大事な人を失うかもしれない。

どんなに頑張っても助けられない命もある」

「それでも!!私は、自分にできることをしたいの!!」

思わず立ち上がって言った私を見てロディーさんは大きく頷いた。

「それなら、力を付けろ。

ちゃんと力を付けられる場所を見つけろ。

技術を教えるだけじゃない、本当の師を見つけろ。そして仲間を」

「・・・・・・手伝っていただけますか?・・・・・・ロディーさん」  

教会で祈りを捧げる時のように跪いた私の手をロディーさんが取った。

その手を見上げながらもう一度、今度ははっきりと言った。

「弟子にしていただけますか?・・・・・・師匠」

「ほんとにいいのか?」

「やったぁ!!」

はっきり頷いた私に"分かった”って一言いった師匠を見てレヴィンくんが声を上げた。

「明日、ルアスに・・・・・・王宮に行く。でも、その前に・・・・・・」

そこに行っておいで。と、渡された記憶の書。※2

「紹介所で明日、待ってるからそれまでに行ってきな」

言われるまま私は、記憶の書の魔法陣に吸い込まれて行った 


※1 スクリーンショット:いわゆる写真のような物。この物語には存在するのだろうか・・・・・・? ※2 記憶の書:一度記録した場所に行く事が出来る魔法道具。ゲートやリンクもこれに同じ。         その辺で簡単に手に入らないため、とっても高い。