第1章 :血が導いた道B 「あの・・・・・・」 紹介所から狩場に向かおうとする彼をなんと呼ぶか、私は言葉に詰まった。 「ロディーでいいよ。まだ師匠にするって決めたわけじゃないんだろ」 あっさり言ってのけるロディーさん。 「心配しなくても、気に入らなければ断って他の紹介を待つことも出来るんだから」 と言いつつ、ルナ様からたくさんの魔法書をもらうロディーさん。 立派な法衣を着た神官様に丁寧なお辞儀をして、ロディーさんは町の出口に向かって歩いていった。 「自分のレベルに会った敵を倒してお金と経験値を手に入れないかい?」※1 服を買う時にお世話になったピンキオさんの周りには、私と同じような見習い冒険者がいっぱいいた。 が、その中でひときわ目立つ少し立派な服をきた戦士さん。 ・・・・・・って言ってもどう見たって私より年は下だし、何となく浮いてる感じがする。 「あ、お師匠様!!」 そう言いながら、男の子が駆け寄ってきた。 「レヴィン」 よく来たね、と言いながらロディーさんが恰好を崩す。 "戦士さんのお弟子さんもいるんだ・・・・・・" 意外というか、なんというか・・・・・・。 「この人ですか? 新しいお弟子さんって」 「まだ候補だけどな。ま、今日はよろしくってことだ。」 ロディーさんの言葉の意味が分からず私はきょとんとしていた。 「初めまして。僕、レヴィンといいます。とりあえず、今日一日一緒に頑張りましょ!」 なんだか張り切ってるレヴィンくん。 「改めて紹介するな。俺の弟子のレヴィン。 フィリアの狩りでのパートナーにと思って呼んだのさ」 「―――・・・えぇ!!!!!!」 私があんまり大きな声を出したもんで2人とも吹き出していた。 だって・・・・・・目の前にいるレヴィンくんは多分10歳ぐらい?? そりゃぁどう見たって私なんかよりはず〜〜〜〜っと強そうなんだけど・・・・・・。 「あのなぁ、見た目で人を判断するなよ。 レヴィンはこう見えたって、騎士志望で、王宮でも将来を期待されてる。 フィリアより1年冒険者として経験積んでるからな。」 飽きれたように言うロディーさん。 レヴィンくんは溜息をついてた。 「そんなに頼りなく見えるんですか?師匠・・・・・・。なんか自信なくしそう」 「まぁ、そんなもんさ。実力は狩で見せればいいだけだ、レヴィン」 「第一、冒険者を目指すならレヴィンぐらいの年から修行始めるのが普通なんだ。 フィリアが遅いんだよ」 「・・・・・・はい」 私がスクール時代から聞き飽きるほど言われてきたこと・・・・・・。 "なぜ、今ごろ・・・・・・" もっとも、そういう人たちは私の性格を知らないのよね。 けなされてしょぼーんとするもんですか。 その分、見返せるだけの修行を積めばいいだけなのだから。 「さっきも言ったけど、聖職者は前衛職と組んだ方がいいんだ。 もちろん、お互い相性もあるし。レヴィンに決めろって訳じゃないけど」 と言いながらロディーさんが私に近づいてきた。 "もし 合うようだったら組んでやって欲しいんだ。弟子入りの件は別として" 私が怪訝な顔をしたのを見てさらに続けた。 "見習いではあるけど、剣の腕は確かだし。 あいつに足りないものがあるとすればあるとすれば 信頼できる仲間だけだと思う" 「ま、俺は今夜の準備があるから先に2人で行っといて。すぐ追いつく。」 "プリズウェイク!" 呪文の響きだけを残して、ロディーさんは風のように去っていった。 「んじゃま、改めてよろしく!」 くったない笑顔を向けるレヴィンくん。 戸惑い気味な私をよそに手まで引かれてるし・・・・・・。 そう、これが私たちの出会いだった。 --------------------------------------------------------------------------- フィリアの本性が出てきた感じ・・・・・・。 表向きは静かな女の子。内には強い意志。 セリフと途中の文章の性格が合わないような気がするのは仕様です(汗
※1 セリフについて:ピンキオはクエスト(仕事)を与えてくれます。 仕事はレベル別に分けれていて、一定の制限があります。 与えられた仕事が完了して報告すれば、お金とアイテム経験地がもらえます。![]()
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