ディカンの観察日記(3日目) 7:00 目を覚ますともう日が昇っている。 げ、寝坊だ。 あたりを見ると家のなかには結構人がいる。 慌てて台所に向かうとそこにはヘルさんが。 朝飯を作っていたらしいので手伝おうとしたら断られた。 昨日のお礼、とか。 ヘルさんの手作りご飯は確かに食べたいですけど、それを期待して作ったわけじゃないんだけどな…。 8:10 朝食終了。 中々においしかった。 というかこのノカン肉をここまで美味しく調理できるのは一種の才能だと思う。 今度教わろ。と、ふとしたきっかけで昨日決めたことを思い出す。 紅さんはどこだろ…。 8:27 いつもいっしょにいる蒼さんを発見したので聞いてみる。 どうやら紅さん、ルアス王宮の中にいるとか。 猪突猛進的に突っ走ろうとしたら、 行かないほうがいいんじゃねぇか、とか蒼さんらしくもない忠告をされる。 笑って返事を返しながら王宮へと向かう。 9:00 ……。 なるほどねぇ。 これは怖い…ってうわぁ! 一寸先は闇というか、後ろから罠の矢が降り注ぐ。 紅さんの後を追って王宮に入ると、まあさすがにこう、罠が満載と言うか。 しかも紅さんいなくなるし…って床が落ちるー。 9:30 ひどい思いをして、王宮を脱出。 何でうちのギルドの人はまともな行動をしないんだろうと思いながら、アジトに帰ると紅さん発見。 朝どうしたんですか?と問い詰めること小一時間。 さっきの出来事を話すと、普通に笑われた。 うわ 10:10 情報ギルドの会合に行く、とのこと。 ついてくる?とか誘われたのでさっきのことも忘れてついていく。 さすがに今度は危ないとかはなかったけれど。 11:14 何かだいぶ濃い話というか、一般の冒険者が聞いちゃいけない話というか。 これ、誰かに話してもいいんですかと、紅さんに恐る恐る聞いてみると別に大丈夫だよ、と返ってきた。 基本的にあの場はギブアンドテイクの場所らしく、 さっきの紅さんがルアス王宮に入っていったのも、自分のネタ確保のためのようだ。 じゃあ、ぼくの立場って? 13:00 蒼さんが疾風怒濤のように現れる。 いや、よく分からないたとえだけど、まあ蒼さん登場。 紅さんを連れて狩りに行くらしいので成り行きでついていく。 おとといの思い出がフラッシュバックする中、ルケシオンの町へ。 15:00 まさか船長を倒しに? とか聞いてみると違うとのこと。 ほっとする間もつかの間、もっと強いやつだと聞かされてげんなり来る。 そろそろ後悔し始める。 19:00 あたり真っ暗精神真っ暗。ようやくアジトに帰り着く。 何か帽子着て白い服のモンスターと戦ったけど。 こう、遭ったことない敵なのに、見た瞬間物凄い強いなあ。と感じられて。 実はぼく、探索(ディテクション)と蜘蛛の網(スパイダー・ウェブ)と 糸きり(スパイダー・カット)を唱えるだけの、ただの便利アイテムと化してませんか? ――明日は、もっと安全な人についていこう。
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