ALICE  1'st Determination


Dear Alice 

少女の笑みを浮かべあなたに

人々の幸福と混沌なる世界への風景を申し上げます。

アリス・・・・・・

あなたが見た風景を私は見たい

できなるならあなたの側にいたかった

平穏。そう、全てを凌駕するこの無にも等しい心の誘い。

アリス・・・・・・

あなたの記憶が尚、ここにあるのですか?

冷たい石で覆われ快楽と憎悪で包み込まれた空間。

まるで、この場所には「支配」という言葉しか存在しないような孤独の世界。

この無情なる城にあなたが眠るなら私はこの場所を称えよう。

私が目指すものは完璧なる世界。

これを成し遂げれた時、私はあなたに一歩近づくだろう。

アリス・・・・・・あなたは死んだ・・・・・・

だが、私はあなたに支配されている。

なら、私があなたを支配してみせよう。

「支配」という言葉に魅せられた欲望の残骸なる人々がこの国に集います。

ここに平穏なる風景が見えますか?アリス。


透き通った冷たい水

生い茂った黄色い葉

それでいて包み込むように流れる風


あなたの生まれた故郷

私は今そこにいます。

あなたが好きだと言っていた

樹齢さえもわからない大きな樹木。

これから何年。いや、何千年この町を守り続けるだろう。

この大きな樹木。風が葉をすすり、葉の隙間から光がこぼれ

見ているだけで、この世の「生」というものを実感するようだ。

日々の殺戮を忘れ、今なら何を失ってもいいようで不思議な気分。

ただ、この大きな樹木でさえ、あなたの事はわからなかっただろう。

なぜ、あなたはこの町を飛び出したんですか?

あなたは本当に存在したんだろうか。

夢を見てたような気分に時々、気づかされる。

もう、あなたを知る人はこの町にいません。

一人の少女。あなたを知る人はどこにいますか?

あなたを知る人は私だけになってしまったんだろうか。

あなたは孤独だ。私も孤独だ。

初めて逢った時、私はあなたの鏡だと思った。

今、思う。私はあなたの鏡になろうとしてたんだ。

あなたの鏡の一部でしか私にはなりたたない。

なにも無い世界であなたが作り上げたかったもの。

あなたは創造主であると同時にカオスであった。

あなたの世界は作り終えましたか?

あなたの宇宙は永遠に回りつづけ、支配の先に何を見る。

たどりつこう。あなたに。私は王になろう。

もう何も恐れるものなどない。

あなたは私を恐れる日々がやがて訪れる。

あのとき、あなたは何を怖がっていたんだ。

闇を恐れ、自分に光を照らそうとした。

逃げ惑ったすえに、あなたは気づいていなかったんだ。

逃げれば逃げるほど、光はあなたを遠ざけ、闇の彼方へと引きずりこんでいたことを。

ただ、待っていればよかったんだ。自分に光が当たるように。

私はただ、あなたを見ていた。

あなたの闇が深すぎて、私には触れることさえ許されない。

小さく震えるあなたをただ見ていた。

あなたが恐れていたものは、あなた自身ではなかったんだろうか?


世界は混沌に包まれ

人々はここルアスに集い

故郷を忘れ 自分を忘れ

支配という言葉にもて遊ばれ

それでもまた闇の彼方へと向かっていく



アリス・・・・・・

そろそろ時間です。

あなたの故郷ミルレスに戦士達が集まり始めています。

あなたの見た風景。私に見れますか?

この戦争、決して終わることはないでしょう。

この城には支配という言葉は存在しないかもしれません。

この城を支配し、この世界をも支配できると人々は信じています。

私でさえ。


創造主よ。

あなたは何を作り何を消しますか?

この狭く深い宇宙で。


アリス。私はあなたに感謝します。

私に許された ただ一つの行為。

あなたが作りたかったもの。

私にだけはわかる気がする。


             THE END 

ALICE 1'st determination