その4


それから数日後…。

イリュームは、ボーッとミルレスの町広場に座り込んでいた。

(少しだけは分かってきた。オレには他に3人の兄弟がいて、

オレは末っ子なんだってこと。)

クーリエから聞いた話を忘れまいと頭の中で繰り返すイリューム。

しかし、それは背後に来た違和感でいきなり止まる。


「やほぉw」と後ろからひっついてきたのは、トフィだった。

「あんた誰?」即座に切り返すイリューム。

「誰って、狩り仲間のトフィだ。+(・・」

えっへん!とでも言いかねなさそうなトフィ。

まだこの頃は、2年後の暴走キャラには程遠かった。

「オレ、記憶喪失だから。悪いけど、あんたのコトも分からない。(・・」

遠まわしに言う気はないので、きっぱりと言ったイリュームに

「気にしない+(・・」とケロリと言うトフィ。

「どうしてオレのトコに来た?オレ以外だって仲間は、居るんじゃないの?

それにオレ、前衛だろ?前衛同士で狩り行ったら危険なんじゃないの?」

とイリュームの意見は、歯に衣着せないどころか的確だった。


「愚問だな。他に仲間が居ても会わねーよ。

それに気が合う奴以外とは、狩場行く気がしねーな。

狩場っつーたって青バギだから、こっちが攻撃しなけりゃ大丈夫だ。」

と笑って言ってのけたトフィ。

しかし、彼が2年後になってイリュームのストーカー的存在(?)

になろうとは誰が予想できただろうか?


「でも、行きたくないから今日は却下。(・・」

きっぱりと言われて、トフィは一人でサラセンダンジョンへと向かった。


(さて、家に戻ろうかな?)

と思い立ったイリュームは、その場から立ち上がった。

その刹那

ヒュゥン・・・ドッ!ドサッ…。

まるで示し合わせたようにイリュームの背後にイミットが当たった!

再び、イリュームは衝撃に耐え切れずに倒れた。

考える余裕すらもなく、イリュームの意識は、闇に閉ざされた。


イリュームの意識のなくなったことを知った聖職者が駆け出してきた。

「あら、イリュームじゃないの!煤i・・;」

駆け出してきた聖職者は、イリュームの姉のラファンだった。

「リカバリ!」と3回ほど連続して唱える。

イリュームの転倒時のケガは、すぐに治った。

「お兄ちゃんのところへ搬送ですわね(^^;」

とラファンは、イリュームを背負うとクーリエの家まで走り出した。


クーリエの家。

「お兄ちゃん、イリュームがイミット当たって倒れちゃった(^^;」

と言うラファンに

「なんだってぇ?!煤i・・;」と驚くクーリエ。


無理もない。記憶喪失になった時のイリュームもまた

イミットゲイザーが当たって記憶喪失になったのだから…。


「ともかく、イリュームを横にした方がいいかもね。(−+」

いつの間に起きていたのかクロスティアが寝ぼけ顔でそう呟いた。

「そうだな。」とクーリエが頷いて

イリュームは、クーリエの家の部屋の中のベットに入れられた。

まだ彼の意識は遠のいたままで、戻らなかった。